インフォニックス(株)は24日、MVNO参入事業者向けの、課金計算(ビリング)エンジンを中心としたアウトソーシングサービス“MVNEサービス”を9月1日より販売すると発表した。
MVNOとは仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator)のことで、無線通信サービスの免許を持たないが、それを持つ移動通信事業者から無線ネットワークを借りて、独自の価値を付けてサービスを提供する。一方、MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)とは、MVNO参入事業者に対して、事業計画からシステムやネットワークの構築支援、課金/請求業務やカスタマーサポートなどのビジネスプラットフォームを提供する事業者のこと。MVNO産業が盛んな欧米では、MVNO参入事業者が顧客獲得や付加価値の開発に専念するための1つの手段として、MVNEはすでに確立した事業となっている。
インフォニックス常務取締役の藤田聡敏氏 |
常務取締役の藤田聡敏(ふじた あきとし)氏は、“MVNEサービス”の特徴は“速い”“安い”“複雑な計算に対応できる”の3点だと説明した。速さについて藤田氏は、「基本機能を中心にした構成であれば、最速で翌月サービスインも可能」とした。価格と複雑な計算への自信は、いずれも同社の経験/実績からくるものであり、「新規開発と比べて、保守・運用のありがちな“落とし穴”や、料金の誤請求の発生リスクも可能な限り抑えられる」と強調する。提供価格は個別交渉で、エンジンを中心とした基本構成であれば「月数十万円から提供できる」という。
サイボウズもMVNO参入を検討
なお、インフォニックスの親会社であるサイボウズ(株)も、約2万1000社の顧客基盤を頼りに、法人向けアプリケーションと移動通信サービスをパッケージにしたMVNO事業の展開の検討を始めている。“MVNEサービス”の販売目標について藤田氏は、「移動通信事業者のMVNOに対する政策もよるが、サービス開始1年で十数社と契約したい」と述べている。