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全国IT推進研究会、第2回定時総会を開催――中小企業向けの取り組みについて経産省、マイクロソフトなどが講演

2005年08月19日 23時25分更新

文● 編集部 内田泰仁

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全国IT推進研究会は19日、今回で2回目となる定時総会を開催し、この中で、総会出席者、ITコーディネーター、報道関係者向けの講演会が行なわれた。全国IT推進研究会は、2001年に創設された“ITコーディネータ(ITC)制度”の資格保有者のうち、会計士や税理士のITコーディネーター(会計人ITC)(※1)を中核に、“中小企業経営者とITベンダーとの橋渡しを行ない、経営に役立つIT投資を推進・支援する”というITC制度の目的達成を目標として、手法の基礎からの研究や習得、新たなビジネスモデルの確立、事例の積み上げなどを行なっていく組織。運営および活動資金面での援助やIT業界関係者との橋渡し役として、マイクロソフト(株)が支援を行なっている(※2)。

※1 同会によると、中小規模事業所の経営者にとって、会計人は重要な経営に関する相談相手だといい、会計人ITCは、経営者との信頼関係の強さを持つ、企業の経営資源の概要/財務力/業種特性や固有特徴などを理解している、財務会計/管理会計や周辺業務や基幹系システムを熟知している、経営者の指南役として情報インフラの要求事項を導ける、などの強みを持つとしている

※2 2003年11月に発表した文教/地方自治体/中小規模事業所IT支援施策“全国IT推進計画 II”の一環として。


第2回定時総会の中で行なわれた講演会では、経済産業省、ITコーディネータ協会、マイクロソフトの代表者が登壇、各々の中小企業向け施策の実施状況や今後の展開などについての説明を行なった。

経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課 情報化人材対策室の青田優子氏“新しいe-Japan戦略”の策定に向けた動き

経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課 情報化人材対策室の青田優子氏は、同省の取り組みについて説明。同省では、2001年発表の“e-Japan戦略”(IT関連インフラの整備/普及が中心)、2003年発表の“e-Japan戦略II”(特に先導的な分野におけるITの活用/利用を推進)に続く“新しいe-Japan戦略”の策定を進めているというが、“アジアへの広がり”“ユビキタス”“安心・安全の追求”“共通統合基盤の形成”を基本的な方向性として、国民生活/企業ビジネス/行政サービス/社会的課題について、ITの活用による課題解決力向上や競争力強化を目標としていくことに重点を置いているとしている。

これを踏まえて同省が公表している“情報経済・産業ビジョン”における、中小企業にフォーカスした取り組みでは、以下が主要なポイントとなっている。

  • IT導入の障害となっている3つの“壁”(IT不信などによる導入の“壁”、IT経営への理解不足による経営の“壁”、従来の取引関係などが原因となる企業間連携の“壁”)を中小企業が越えやすくするための環境整備が必要
  • 上記に向けて、中小企業経営者自身が経営課題とそれに対応したIT利活用の課題に気付き、解決に向けた継続的な改善活動を行なえる支援策整備という視点が重要
  • ITコーディネーターをはじめとする支援者の組み合わせからなるネットワークを構築し、官民連携/地域連携などを推進し、ITを通じた中小企業の経営改革や新種の連携に対する支援を行なうべき
  • 全体最適化を目指した動きから遅れがちとなりやすい中小企業に対してIT装備支援を行なうことが必要
  • ITを活用した遠隔教育方式を発展させた遠隔経営相談、IT活用相談、法務/税務/財務相談が行なわれるような“プラットフォーム”の形成も重要

“IT経営応援隊”事業の組織概要中小企業のIT化成熟度に応じた支援“情報セキュリティ対策ベンチマーク”の概要新連携事業支援の体制と目的

これらのビジョンに対する具体的な施策としては、

  • ITコーディネーターをはじめとする専門家、民間企業、金融機関、地方自治体、中小企業支援機関、経済産業省が協力して設置する“IT経営応援隊”事業による中小企業のIT化成熟度に応じた支援の展開
  • 中小企業における情報セキュリティーガバナンスの確立に向けた“情報セキュリティ対策ベンチマーク”の提供
  • 異分野を含む中小企業/大学・研究機関/NPO・組合などによる“新連携”(異分野事業者による有機的な連携、経営資源の有効な組み合わせ、新事業活動と新事業分野開拓)を促進する新連携事業支援(中小企業事業活動支援法による)

の展開を挙げている。講演の最後に青田氏は「国の施策は使ってこそ意義があるので、中小企業の皆さまにはどんどん施策を利用していただきたい」と述べ、中小企業の積極的な制度・支援施策の利活用を訴えた。

ITコーディネータ協会 事務局 広報担当の松下正夫氏“ITコーディネータ資格”の有資格者数の推移ITコーディネータ協会と“IT経営応援隊”事業の連携

ITコーディネータ協会 事務局 広報担当の松下正夫氏は、同協会の活動状況の概要を説明。これによると、“ITコーディネータ資格”の有資格者は、2005年4月末時点で5921名となり、2001年以降順調に増加しているという。現在では全国の各都道府県に有資格者が分布し、NPO法人や協同組合、任意団体などといった同協会への届出組織も141組織に達し、組織の法人化の進展により有資格者によるITコーディネーター・ビジネス集団に移行しつつあるという。

同協会は、経済産業省の施策と連携した支援スキームをこれまでにも実施してきているが、今後の活動では、同省の“IT経営応援隊”事業との連携や活動支援をより一層強め、金融機関との連携のさらなる推進、ITコーディネーター届出組織間の情報交流の促進、外部団体/企業との連携強化などを進めていくとしている。

マイクロソフト ゼネラルビジネス統括本部 IT推進統括部 統括部長の石澤一良氏“全国IT推進計画”の概要マイクロソフトの2006会計年度の中小企業向けの取り組みプラン
マイクロソフトの中小企業向け製品

最後に登壇したマイクロソフト ゼネラルビジネス統括本部 IT推進統括部 統括部長の石澤一良氏は、同社の中小企業向け施策などについて講演を行なった。マイクロソフトでは、前述の“全国IT推進計画 II”などの取り組みを通じて、中小企業に向けてIT啓発活動や導入/活用支援、中小企業向けパッケージの販売などをパートナー企業/団体と連携して行なっている。この取り組みの一環として同社は、中小規模企業向けサーバー『Microsoft Windows Small Business Server 2003』を展開しており、2005会計年度(2004年7月~2005年6月)では成長率200%をマークしたというが、石澤氏によると「(日本での売り上げは)北米市場と比較するとまだまだ少ない」としており、支援活動のさらなる拡大を含めた製品普及への取り組みに今後も継続して取り組んでいくと述べた。

また同氏は、日本企業の今後について、すでに競争力の面で日本をリードしている製造業だけでなく、知的財産関連の業種(ソフトウェア開発など)においても中国を中心とするアジア諸国が急激に成長しており、「将来の日本の国力、国際競争力の低下に対する危機感を感じる」と述べ、中小企業においても積極的な経営へのIT導入と活用を進めるなど、国際競争力を高める努力をさらに続けていくべきだと訴えた。



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