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NTTソフトウェア、ビジュアル情報を3D空間内に表示するブラウザー『SpaceBrowser』を発表――10月から企業向けに販売

2005年08月11日 20時45分更新

文● 編集部 小西利明

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画像やウェブページを3D空間内に表示する『SpaceBrowser』
画像やウェブページを3D空間内に表示する『SpaceBrowser』

エヌ・ティ・ティ・ソフトウェア(株)(以下NTTソフトウェア)は11日、3D空間内にウェブページや画像を3D空間内に配置して表示する新世代ブラウザー『SpaceBrowser』(スペースブラウザ)を、10月から販売開始すると発表した。

SpaceBrowserはJPEGやPNGといった一般的な画像や、HTMLなどのウェブページを、3次元空間内に配置。ユーザーが選択した画像やページを拡大して表示する機能を備える。レンダリングエンジンにはInternet Explorerを利用。3D表示には3Dアクセラレーション機能を備えるグラフィックスチップが必要であるが、Intel 855/865チップセットの内蔵グラフィックス機能程度でも十分動作する。対応OSはWindows XP/2000。

デモを実演したマシンは、1.1~1.2GHz級のPentium Mを搭載するノートパソコンだった。グラフィックスチップはIntel 855GMEチップセットなので、高い3D性能がなくても動作するようだ
デモを実演したマシンは、1.1~1.2GHz級のPentium Mを搭載するノートパソコンだった。グラフィックスチップはIntel 855GMEチップセットなので、高い3D性能がなくても動作するようだ

SpaceBrowserは3D表示を用いることにより、ビジュアル情報をサムネイル化して3D空間内に一覧配置することで、多数の情報のおおまかな全貌を、ユーザーが簡単に把握できるとしている。また奥行きのある空間に情報が配置される見た目の上のインパクトや、多数の情報を3D空間に配置して表現することでの分かりやすさ、使いやすさも特徴としている。サムネイルをクリックすれば拡大表示され、ウェブページなどならInternet Explorerで表示させることも可能だ。

表示方式には主に3つのパターンが想定されている。まず1つは、表示対象のデータを、データに関連づけられた項目ごとに分類して、3D空間内に表示する“3軸(X、Y、Z)配置表示型”。デモでは100種類のワインを価格や知名度、香りといった3要素で分類して表示。“価格は高いが知名度は低いデータ”はどれかが、簡単に把握できる様子を披露した。3Dなので、表示する角度や奥行き方向などは自由に変更できるし、分類項目を変えればデータの配置も変わる。

“3軸(X、Y、Z)配置表示型”のデモ。ワインを価格や知名度といった3つのパラメーターで分類し、それぞれがどこに位置するかを立体的に表示。個々の画像をクリックすれば、拡大表示される。パラメーターを変更すれば表示の仕方も変わる

2つめの“3D空間配置表示型”は、施設案内などへの利用を想定した方式である。3Dグラフィックスソフトで作成した建物データを取り込み、建物の中にビジュアルデータを配置する。デモでは美術館と展示物データをモデルとしたバーチャル美術館風の実演が行なわれた。3Dで表現された美術館の各フロアに、展示物の配置に合わせて展示物データが置かれ、ユーザーは建物を拡大縮小/回転などして、任意の展示物データを参照できる。3つめの方式は一覧性を重視した“規則的配置表示型”で、たとえばファイル名で画像を並び替え、円柱状に規則的に並べて表示するといった用途が想定されている。細かい分類を行なわず、大量のデータの一覧表示したいという場合に利用するようだ。

“3D空間配置表示型”のデモ。美術館をイメージした3Dの建物の中に、実際の展示物同様にデータが配置されている。ユーザーは好きな角度や位置から、データを一覧できる
“3D空間配置表示型”を利用した例。NTTソフトウェアの会社案内地図を立体化。同社が入居のビルに近づくと、同社の製品やサービスのウェブページがビル内に配置されている
“規則的配置表示型”のイメージ。大量のビジュアル化情報を一覧するのに役立ちそうだ
“規則的配置表示型”のイメージ。大量のビジュアル化情報を一覧するのに役立ちそうだ

3D空間にどのようなデータをどこに配置するか、ユーザーインターフェースはどう設計するかというオーサリング作業は、Microsoft Excel上でワークシートにデータを入力する形で行ない、それを同社が提供するExcel用マクロにてXMLデータとして変換出力する。表示するクライアント側にはSpaceBrowserのプログラムをインストールしておき、単独のプログラムとして実行したり、Internet ExplorerでXMLデータをダウンロードすると、自動的にSpaceBrowserが起動して、表示を行なう。“3D空間配置表示型”のように、指定した位置に指定のデータを表示させる場合は、ワークシートに位置座票を定義する必要がある。グラフィカルユーザーインターフェース上で、データを配置するようなオーサリングツールは用意されていない。

SpaceBrowserの販売は企業向けに行なわれる。そのため少々残念だが、一般コンシューマーが自分のパソコン上で、ウェブブラウザーとして利用する、ということにはならないようだ。同社では用途として、以下の3種類を想定している。販売形態や価格も、これらの3種類に分けて行なわれる。

スタンドアローン型
情報案内端末などに組み込んでの利用を想定。ソフトウェアのOEM提供や装置組み込みでの販売。
価格:20万円~
ネットワークアクセス型
ECサイトやコンテンツ配信サイトなどが一般ユーザー向けにSpaceBrowserを配布し、サイトやコンテンツの閲覧に利用させる。コンテンツ制作会社、ウェブページ制作会社などに販売。
価格:300万円~
システムインテグレーション型
基幹系業務の3D表示インターフェースとして活用する複合プロジェクトでの利用を想定。ソリューション化してシステムとして販売。
価格:1000万円~

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