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日本アイ・ビー・エム、メインフレームの新製品『IBM System z9 109』を発表──仮想技術を利用して企業内のリソースを効果的に統合

2005年07月28日 22時48分更新

文● 編集部 小林久

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日本アイ・ビー・エム(株)は28日、都内で記者会見を開き、米IBM社が26日に発表した“システム製品事業の中期戦略”と、製品投入を予定しているメインフレーム製品『IBM System z9 109』に関して説明した。

IBM System z9 109 内部構造
IBM System Z9 109、54Way構成に対応し、従来機に対して最大約2倍のパフォーマンスが得られるという
プロセッサー・ブック マルチチップ・モジュール
プロセッサーやメモリーを格納する“プロセッサーブック”(左)とプロセッサーユニットやキャッシュメモリーなどを実装した“MCM”。MCMのサイズはほぼ3.5インチFDと同じで、厚さは1cm

IBM System z9 109は、2000年に登場したz900、2003年のz990に続く、zシリーズでは第3世代となる製品。3年間の開発期間、12億ドル(約1344億円)の投資、5000人の技術者によって開発されたという。5モデルが用意されており、プロセッサーやメモリーを格納する“プロセッサー・ブック”を各モデル4つまで搭載できる。プロセッサー・ブックは下位4モデル(S08、S18、S28、S38)では12PU(Processor Unit)、上位の1モデル(S54)では16PUタイプのブックを利用。下位機では最大38Way構成、上位機では54Way構成が選べる。ちなみに、16PUタイプのブックを4つ搭載した場合は64個、12PUタイプでは48個のPUが搭載されるが、残りのPUは冗長化に使用する。

ブックあたりのL2キャッシュが約40MBに増えた点とマイクロコード面での改良により、従来機のz990に対して、ユニプロセッサー時のマシン性能は約1.35倍向上。最上位のS54では、搭載するCPU数が増えるためシステム全体では最大2倍の性能向上が得られるという。また、メモリーの最大搭載容量も2倍の512GB、I/Oバンド幅が約1.8倍となった。OSはz/OSバージョン1.7など5種類に対応する。

仮想化機能も強化され、単一システム上で数100個の仮想サーバーを稼働させ、z990の最大30個に対し、最大60個の論理ハードウェア・パーティションを設けられるようになった。また、プロセッサーブックは新たにホットプラグにも対応した。製品投入時期は、下位4モデルが2005年9月。54Wayモデルが2005年11月。

出澤氏
日本アイ・ビー・エム執行役員システム製品事業担当の出澤研太氏

発表会には日本アイ・ビー・エム執行役員システム製品事業担当の出澤研太(でざわ けんた)氏が出席。米国で26日に発表された米IBM社の中期戦略“IBM System Agenda”について紹介した。同氏は、サーバー単価が下がる一方で、氾濫するさまざまなプラットフォームのサーバーを管理運用するためのコストがハードウェアに対する投資と逆転している現状があると指摘した。

この現状を改善するために、IBMは“Virtualization”(仮想化)、“Openness”(オープン化)、“Collaboration”(顧客との協業)の3つをキーワードとした戦略を進める。IBMは、異機種が混在する環境のITリソースをうまく管理するために仮想化の技術を利用し、今回の製品を含めたメインフレーム製品を企業インフラのハブとしていく考えのようだ。

仮想化に関しては、同社が昨年4月に発表したサーバー仮想化技術の“Virtualization Engine”を2.0にバージョンアップし、ウェブサービスを利用したサーバーやストレージの連携を強化。出澤氏は「IAサーバーでは、米ヴイエムウェア(VMware)社との提携を進めてきたが、VMWareもVirtualization Engineの中で位置づけられている」とした。オープン化に関しては、オープンなコミュニティーに対する参画/貢献や業界標準技術の積極的な実装を行なう方針で、既存の取り組みに加えて、BladeCenterを中心としたコミュニティー“Blade.org”を設立する意向を表明した。このコミュニティーには、米インテル社や米シスコシステムズ社など8社が参加する。

なお、IBMは従来“IBM e server”で展開してきたサーバー製品のブランド名を“IBM Sysytem”に変更。本日発表されたメインフレーム製品を皮切りに、すべてのサーバー製品に適用する。ブランドの移行は2006年上半期に終了する見込み。



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