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【こちら秋葉原一丁目ホームページ】Act.0005「“新世界菜館”主人が見た神田の過去・現在・未来」

2005年08月25日 22時10分更新

文● 遠藤諭

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大きな上海蟹は何万杯のうちの数匹なんです!

本店“新世界菜館”。3店舗の中で、一番グレードが高い。話題の上海蟹は9月下旬から!

【傅】20年前の上海蟹はひどかったです。なにしろ定期的に畜養しているところはなくて。今でこそ、陽澄湖は有名ですが、昔は電話も車もなんにもなかったです。あの地区はみんな蟹を山のように食べていたんです。あれ、害虫ですから。蟹って夜行性なので、月夜の晩に湖から這い出してイネを切ってしまうんです。頭いいから、切って穂を食べちゃうんです。雑食で、なんでも食べちゃうんです。今でこそ、40cmくらいの高さの囲いを立てて、逃げないようにしていたんですけど、昔は畑を守るためにやっていたんです。今は違います。蟹が高いから。
 とにかく道も電話もない農家の家を訪ねていって、買い付けしていたんですけど本当に大変でした。湖まで行くのに道がないので、「あそこになんかありそうだ」って歩いて。

――最近ですよね。日本でこんなに上海蟹が食べられるようになったのは。

【傅】香港であんな上海蟹が食べられて、なんで日本でないんだ。って、実は流通ルートの問題だったんですよ。それを自分でやらないとダメだって気づきましてね。

――香港から持ってきたら新鮮じゃなくなっちゃうんですかね。

【傅】経由になると新鮮でなくなっちゃう。今は便数も増えたので、朝5時に仕掛けるとその日の午後5時には日本に着いて、午後10時にはウチに着く。

――香港みたいに、店の前に並べないんですか?

【傅】ダメダメ、それは水槽のいけすと一緒でどんどん味が痩せちゃう。一番いいのは冬眠させるんです。ある温度帯で湿度を保ちながら、紐で縛って動かさない。

――香港だと店の前というかデパートの一階とかで、ガラスのケースに入れたりして並べていますよね。ときどき、霧吹きで水分を与えたりしていますが。

【傅】中国の人というのは食べ物は活きていないとダメなんですよ。気に入ったのを食べるという習慣があるので。
 われわれは産地で縛って飛行場へ直送してます。それで鮮度が違います。うンまいですよー、上海蟹。
 紹興酒と同じで、みなさん上海蟹あんまり好きじゃない人が多いんですけど、美味しいの! それだけでも、もう、なんとも言えないです。感動します。ウチだけでも1万杯売りますから。季節の最後は2月で、蟹味噌は一年中。ウチの場合、チェックはしますが、もし開けて味噌がなかったら無償で取り替えます。基本はお客さんに選んでいただくんですけど。この業界ではほとんどの人がウチを知っていると思いますけど。

――昔って、日本では上海蟹はほとんど食べられるところがありませんでしたよね。口コミで、どこで食べられるか伝わっていましたね。ボクは、'89年くらいから、毎年香港まで上海蟹を食べに行っていましたが。

【傅】その必要なくなりましたからね。誤解されるのは、上海蟹って大きいものは「何年ものですか?」って聞かれるんだけど、違うのよ。大きいやつは何万杯の中の何匹か。というのは、食欲のあるヤツは食べてどんどん大きくなる。脱皮を年間4~5回するらしいのですよ。で、「そんなに脱皮したら海が埋まっちゃうじゃないか」って言ったら、「その皮を食べちゃう」んだって。なるほどなーって。蟹は食いしん坊ですからね。
 育つには、ある程度の流れがないとダメ。結構難しいんです。日本にも蟹はいっぱいいるんですけど、日本の川って流れが速くて痩せているんで、あんまり大きくならない。四万十くらい緩やかな川になると、デカイのがいる。

――子供のときに家の近くの川で結構デカイの見ましたよ。淡水の蟹でした。あれは、上海蟹みたいなものだったのではないかと思うんですが。食べなかったけど……。

【傅】いやぁ、あれは蒸したらうまいんですよぉ。

――ああ、そーですか!

【傅】ほかには、ウチではクラゲを輸入しています。クラゲは私どもが仕入れて、日本で業者で分けてます。高級食材しかやらないんです。その他の食材は、いろんな業者さんがいらっしゃるので。ネットワークがあるので、いろんなものはやらない。一番になれるものだけを隙間を狙って。

――高級といえば、フカヒレですね。

【傅】フカヒレは一番になれないので、やらない。すごい業者がいて、勝てないなぁって。一応ウチも気仙沼の業者に頼んで、ある程度の卸はやっているのですが、とてもかなわない。今は中心は気仙沼から香港に移しちゃいましたけど。中国の景気が良いので、高級食材が全部、中国に行っちゃうんですよ。高級食材の原料はすべて日本産。あわび、ナマコも。

――すごい額でしょうね。

【傅】すごい額ですよ。全部ジェラルミンで運びますが、1つのジェラルミン1億円ですよ。現金でしか取引しないんです。青森の一戸とか二戸とかあの界隈の漁師たちはグラムいくらの値段を付けます。大変ですよ、みんなボディガードつけて。

――ボディガード!

【傅】だって、現金でしか取引しないから。

――クラゲも?

【傅】クラゲはね、中国だからコンテナで。そんな何億というものじゃない。ただ、産地は現金ですよ。絶対にガードマン付けてね。買うときは、船がクラゲを持ってくると、まず血抜きをして船から降ろして山に積み上げて、その山でいくらという“山買い”を加工前にします。90%は水ですから(笑)、それからミョウバンと塩で水抜きをするんですが、山のようなのがほんとーに小さくなっちゃう。分厚いのが薄っぺらに。見た目は気持ち悪くて汚いんですけど、キレイに皮をむいて……大変な作業です。中華食材に欠かせないです。
 それも今、中国で食べだしたので、フカヒレ、アワビ、クラゲがどんどん高騰して、困っちゃいます。

【取材協力】

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