Athlon 64の性能と消費電力
Windows XP Professional x64 Editionの登場を近くに控え、俄然注目を浴びているAthlon 64にフォーカス。気になる性能や消費電力などを改めて検証する。
3種類のコアが混在
省電力のWinchesterが人気
AMDが1999年秋にx86の64bit拡張技術として“AMD64”(当時“x86-64”)を発表してから5年半あまり、Windows XP Professional x64 Editionの登場を近くに控えた今(編集部注:4月23日に店頭販売が開始されている)、ようやくコンシューマレベルでも64bitコンピューティングが現実的なものになろうとしている。そして、これを機会に、市場での存在感を増しているのが、そのAMD64に対応したAthlon 64だ。当初からAMDがアピールしていたように、Athlon 64/Athlon 64 FX/Opteronは、ソケットの形状を問わず、すべての製品でAMD64をサポート。ハードウェアレベルでは2年以上前から64bit Readyといえた。
AMD64対応CPUは、同社おなじみとなったモデルナンバーでグレード分けされている。一般向けの主力であるSocket 939版Athlon 64は、1万円台半ばで購入できる3000+から、最上位モデルの4000+までラインナップされている。Athlon 64の場合はモデルナンバーが性能の目安であるため、モデルナンバーが同じでも仕様が違うこともあってややこしいのだが、下記の表にまとめたとおり、Socket939版に限ればそれほど複雑でもない。
現状、CrawHammer、NewCastle、Winchesterの3つのコアが混在しているが、中にはOpteron用のSledgeHammerコアを採用しているとして販売されているものもあるようだ。このうち明確な違いがあるのはWinchesterコアで、他のコアのプロセスルールが130nm SOIであるのに対して、Winchesterでは90nm SOIと微細化されており、消費電力も低くなっている。これだけは覚えておきたい。
CrawHammerとNewCastleとの違いは、今のところL2キャッシュの容量だと判断できるが、正直よく分からない。Athlon 64 4000+にしても、CPU ID情報を見るとCrawHammerと出てくるのでCrawHammerと書いているが、初期のCrawHammerと同じとは思えない。どうもAMDのコアネームはいつの間にか当初の開発コードネームの意味するところと違っていることがあり、あまりアテにならない印象もある。コアごとにきっちり仕様を分けて考えようとすると混乱するだけなので、実用上意味がないものに関しては深く考えないほうがいいかもしれない。現在のところは「Winchesterコアは省電力」とだけ覚えておけばよいだろう。ちなみに、Winchesterは3500+以下の下位グレードのみに採用されている。最近販売されている3500+以下のSocket939版Athlon 64はほとんどがWinchesterコアに置き換えられているようだが、まれにNewCastleも混じっていることもあるので、購入時には確認しておきたい。
●主なSocket939対応Athlon 64/Athlon 64FXの仕様
クロック | コア | プロセスルール | L2キャッシュ | TDP | TDP(最低) | |
---|---|---|---|---|---|---|
Athlon 64 FX-55 | 2600MHz | CrawHammer | 130nm | 1MB | 104W | 25W |
Athlon 64 4000+ | 2400MHz | CrawHammer | 130nm | 1MB | 89W | 22W |
Athlon 64 3800+ | 2400MHz | NewCastle | 130nm | 512KB | 89W | 22W |
Athlon 64 3500+ | 2200MHz | NewCastle | 130nm | 512KB | 89W | 22W |
Winchester | 90nm | 512KB | 67W | 20W | ||
Athlon 64 3200+ | 2000MHz | Winchester | 90nm | 512KB | 67W | 21W |
Athlon 64 3000+ | 1800MHz | Winchester | 90nm | 512KB | 67W | 21W |