サーバー/デスクトップパソコンの生産・出荷を行なう昭島事業所のプレス見学会を実施!!
日本HP、サーバー/ストレージ製品の検査・設置まで含む高付加価値サービス“HP Factory Express”を開始
2005年06月29日 00時00分更新
日本HPの昭島事業所。同社の国内の生産拠点はここ1ヵ所のみ |
日本ヒューレット・パッカード(株)は29日、東京・昭島の昭島事業所にプレス関係者を招いて、サーバー/デスクトップパソコンの生産・カスタマイズなどの現場を公開するプレス見学会を開催した。これは、同日発表された高付加価値サービス“HP Factory Express(ファクトリー・エクスプレス)”の現場を紹介すると共に、同サービスを実施する狙いや背景をより深く理解させるために企画されたもの。
HP Factory Expressとは、同社のサーバー/ストレージ製品群について顧客の導入・管理コスト(稼動開始までの時間や人的・金銭的リソース)を低減するために提供される新サービスで、7月1日に受注開始する。対象となる製品と参考価格は以下のとおり。
サーバー製品・周辺機器・ストレージ製品
- HP Integrityサーバ
- HP 9000サーバ
- HP ProLiantサーバ
- HP BladeSystem各種機器(『HP bc1000 blade PC』を含む)
- ネットワークスイッチ製品
- HP StorageWorks各製品(ディスクアレイ/ライブラリ/SANスイッチなど)
OS
- HP-UX
- Windows Server 2003
- Linux
ソフトウェア
- HP製ソフトウェア、ならびに日本HPが販売する他社製品
参考価格
- サーバー1台のキッティング(組み立て)とOSインストール、RAID設定
- 1万2600円~(Level 1)
- サーバー5台のラッキング(ラックマウントへの装着)とキッティング、ケーブリング(各種ケーブルの配線)、RAID設定
- 15万7000円~(Level 2)
- サーバー5台のラッキングとケーブリング、OSインストール、RAID設定、現地設置と動作確認
- 29万5400円~(Level 3)
HP Factory Expressについて説明する、テクノロジー・ソリューション企画統括本部の山本 久氏(左)、エンタープライズ ストレージ・サーバ統括本部インダストリー スタンダード サーバ製品本部の上原 宏氏(中央)、同ビジネスプランニング部の富田浩次氏(右) |
HP Factory Expressには、顧客の要望に応じて“Level 1~5”までの5段階のパッケージメニュー(定型サービス)と、オプションサービス(他社製OSのインストールや他社製オプションの追加、コンサルティングなど)がある。Level 1~5の概要は次のとおり。
- Package Level 1 Integrate
- サーバー製品に筐体単位で希望するオプションを追加/セットアップ(5営業日で出荷)
- Package Level 2 +Racking
- Level 1のサービスに加えて、ラック単位での周辺機器の追加/セットアップ(6営業日で出荷)
- Package Level 3 +Install
- Level 2のサービスに加えて、セットアップ済みのラックを顧客先へ設置/動作確認(6営業日で出荷)
- Package Level 4 +Complex
- Level 3のサービスに加えて、顧客先の要望に合わせたシステム構成の変更、およびシステム構成書の提出(7営業日で出荷)
- Package Level 5 +Design
- Level 4のサービスに加えて、専任技術者がコンフィグレーション設定値の設計を支援(7営業日で出荷)
HP Factory Expressの概念 | 従来のサーバーシステム導入におけるリスク | |
HP Factory Expressに用意された5つのメニュー | 日本HPが提供する既存のサービスとの違いと位置づけ |
同様のカスタマイズサービスは、同社の特定サーバー製品(HP ProLiant)において行なわれているが、新たに主要サーバー製品/ストレージ製品に統一メニューを用意することで、より多くの顧客に高付加価値サービスが提供できるとしている。また、従来のオンサイトサービス(技術者を現地に派遣して、組み立て/動作確認などを行なうサービス)“HP Care Pack”と比べると、約1/3という大幅なコスト削減になる(サービス内容によって削減幅は異なる)。これは、事業所内で集中的に組み立て/検査などの作業を行なうことによるボリューム効果のほか、設置先では十分な作業スペースや時間的余裕がないなどの制約が多いためどうしてもコスト高になる、と理由を説明する。このほか、部品を個別に搬入して顧客先で組み立てる場合と比べて、完成品を輸送することで、パッケージや緩衝材など消耗材(リサイクル品)が抑制できるなど、顧客側/日本HP側ともに多くのメリットがあると説明する。
このサービスは、米国/欧州で今年2月から提供開始しており、順調に受注が来ている(具体的な受注件数は非公開)。日本でも7月1日の開始から1年間でサーバー1万台(出荷数の10%)、売り上げ金額6億円を目標にしているとのこと。
既存サービスとHP Factory Expressの違い | 従来のオンサイトサービスとの価格比較 |
概要の説明の後で、実際にHP Factory Expressの組み立て/検査の工程や、デスクトップパソコンの製造ラインを見学するツアーが実施された。昭島事業所は4階建てで、1階は部材の受け取りや完成品の出荷を行なうトラックの荷積みに使われ、2階は事務所/会議室など。3階が組み立てラインのあるフロアで、床面積は6600m2弱に500人ほどが従事してる。4階は部材や完成品の一時保管場所となっている。
昭島事業所の各フロアの役割 | HP Factory Expressのワークフロー。事業所の作業スペースに張り出されている |
HP Factory Expressの提供に当たって、人員配置の一部変更はあったものの、新たな人員の追加は行なわなかったという。これは、前述のとおり特定機種で従来からカスタマイズサービスを提供していたためで、営業と工場(製造現場)から人材を集めた専門組織を作った。現場では、顧客の要望をリストアップした発注書に基づいて1台ずつ組み上げ、HPで規定された動作確認プログラムを実行する。その後で、銀行や官庁などのサーバー停止時間が取れない(あるいは最小限しか許されない)場合には、事業所内でプログラム/データのダウンロードやセットアップも行ない、完動状態にして納品することもあるという。
HP Factory Expressで納品されるサーバーは、本体のほかに周辺機器/マニュアル類で3箱程度で済む | 従来の顧客先で組み立てるサーバーの場合、一般的にこの程度の数の箱が届けられ、中身を確認しながら組み立て/動作確認の作業になる | |
納品される箱の違いで一目瞭然 |
ちなみに、デスクトップパソコンの製造工程は、ライン生産とセル生産を組み合わせた独特の構造になっている。これは同社がB.T.O./C.T.O.(カスタムメイドサービス)で受注するため、基本的なスペックは共通なので流れ作業(ライン生産)で行ない、オーダーによって変更するスペックのみ個別作業(セル生産)にし、作業効率を高めているとのこと。