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日立製作所、『BladeSymphony』の機能およびパートナー企業との協業の強化を発表――Itanium 2の機能と連動した仮想化機能などを新たに提供

2005年05月31日 20時28分更新

文● 編集部 内田泰仁

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『BladeSymphony』の外観。シャーシ内にブレードサーバー/ストレージ/ネットワーク機能を搭載する

(株)日立製作所は31日、統合プラットフォーム製品『BladeSymphony(ブレードシンフォニー)』における基幹システム向け機能およびプラットフォームパートナー企業との協業によるオープン対応の強化を発表した。今回の発表には、Itanium 2に搭載されている仮想化技術“インテル バーチャライゼーション・テクノロジ”を利用した独自の仮想化機構の追加や、ビジネスグリッド技術を用いたITリソース統合運用支援機能の強化などの内容が盛り込まれている。

システムの拡張性と最適なコスト運用による“発展”、ビジネスのスピードアップとコアビジネスへの集中による“共創”、ノンストップでセキュアなビジネス/社会基盤を作る“信頼”の3つをキーワードとする統合サービスプラットフォームコンセプト“Harmonious Computing”に基づく統合プラットフォーム製品『BladeSymphony』は、ブレードサーバー/ストレージ/ネットワーク/管理ソフトウェアを1シャーシに集約した製品。

今回発表された内容は、直接製品の機能を強化するものと、パートナー企業との協業によりアーキテクチャーの強化を図るものの大きく2つに分類される。新たに発表された製品の機能強化点は次のとおり。



“日立仮想化機構(仮称)”の提供
Itanium 2が持つ仮想化技術“インテル バーチャライゼーション・テクノロジ”と連動した仮想化機構。ハイパーバイザー型の仮想化技術を利用するため、複数のOS(Windows/Linux/HP-UX(※1))を同一プラットフォーム上で同時に稼動できる。2005年度第4四半期出荷予定。
 
システム管理ソフト『BladeSymphony Manage Suite』の強化
ビジネスグリッド技術を適用したシステム構成の一元管理(ハードウェア構成管理情報とユーザーシステムを業務単位に管理したシステム構成情報)を実現。提供開始は6月30日、価格は212万1000円。
 
“PCI Express I/Oモジュール”の提供
『BladeSymphony』では、I/O部分をモジュールとして独立させているが、今回新たにPCI Expressスロット搭載のI/Oモジュールを発表。1サーバーモジュールあたり最大2スロット利用可能で、サーバーシャーシ全体では、従来製品の2倍にあたる最大32GB/秒のI/O帯域を実現するという。また、併せてファイバーチャネルポート(4Gbps)×2およびGigabit Ehternetポート×2を搭載するコンボタイプのアダプターカードを提供する。出荷時期はいずれも2005年9月。“PCI Express I/Oモジュール”の価格は21万円。
 
EM64T対応Xeon MP搭載の4wayサーバーモジュールなどの製品化
EM64T対応Xeon MP-2.83GHz/3.33GHzを最大4個、メモリーを最大16GB搭載可能な4Wayサーバーモジュールと、EM64T対応Xeon-3.60EGHzを最大2個搭載可能な2Wayサーバーモジュールを新たに製品化。すでに提供しているIPF(Itanium Processor Family)サーバーモジュールと合わせ、3種類のサーバーモジュールを同一シャーシ内に混載可能。価格と提供時期は、4Wayサーバーモジュールが106万500円~/2005年11月、2wayモジュールが61万9500円~/2005年8月。
 
“統合型従量課金モデル”の提供
サーバー/ストレージ/ネットワーク/ソフトウェアをパッケージ化した従量課金タイプの料金モデルを新たに用意。固定の初期費用に対して、追加リソース分を従量課金で提供する。月額の使用料金を各ハード/ソフトごとにではなく、サーバー/ストレージ/ネットワーク/ソフトウェアを統合し一括した料金体系となっている点が特徴。

“日立仮想化機構(仮称)”の構造“統合型従量課金モデル”の概要
ラインナップに追加されるXeon MP搭載4Wayサーバーモジュール(写真左)とXeon搭載2Wayサーバーモジュール(右)
※1 同社は今月25日に『BladeSympony』でのHP-UXのサポートを発表している

パートナー企業との協業によるアーキテクチャーの強化では、各社と共同で『BladeSymphony』用ハードウェア/ソフトウェアを開発・提供するとともに、今後のパートナー拡大に向けた取り組みとして、インターフェース仕様の開示、『BladeSymphony』の貸し出しやシステムの共同での検証、共同マーケティングを盛り込んだ“BladeSymphony統合オープンパートナープログラム”を実施していくという。日立では今後2年間で、約50社の“統合オープンパートナー”の獲得を目指すとしている。この日発表されているパートナー企業および各社と共同で提供する製品は以下のとおり。

  • 米F5ネットワークス社(専用内蔵ロードバランサーを提供)
  • 韓国NITGen Technologies社(サーバーシャーシ内蔵型ロードバランシングブレードを提供)
  • 米Brocade Communications Systems社(内蔵ファイバーチャネルスイッチを提供)
  • 米Red Hat社(BladeSymphonyにおけるLinuxカーネルの信頼性やサポート体制の強化)

同社執行役常務、情報・通信グループ副グループ長の篠本学氏

この日、東京・品川にある同社施設“ハーモニアス・コンピュテンス・センタ”で開催された記者説明会で統合プラットフォーム戦略について説明した同社執行役常務、情報・通信グループ副グループ長の篠本学氏によると、『BladeSymphony』事業では、ブレードサーバー市場シェアで国内第1位(2006年度に25%、金額ベース)、売上高1100億円(2006年度までに)、販売台数4000台(2006年度までに)を目標に、継続的な製品強化による事業領域の拡大を図っていくという。また、今回発表した製品強化やパートナーシップの強化を今後さらに発展し、“統合サービスプラットフォーム”により次世代基盤ITインフラ化と統合オープンによるROIの最大化を目指していくとした。

UFJ銀行の導入事例北海道漁業協同組合連合会の導入事例

このほか篠本氏は、『BladeSymphony』の導入事例として(株)UFJ銀行と北海道漁業協同組合連合会のシステムを紹介。前者では、シトリックス・システムズ・ジャパン(株)のサーバーベースコンピューティング・システム“MetaFrame”を用いた社内OAシステムの基盤として『BladeSymphony』を採用。後者では、小型メインフレームからの移行先に『BladeSymphony』を採用し、各支店/営業所に分散していたシステム/データの統合を行なったという。

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