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日本ストラタスとミラクル・リナックス、Asianux 2.0を搭載した無停止型Linuxサーバーの事業で戦略提携

2005年05月24日 17時30分更新

文● 編集部 小林久

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ミラクル・リナックス(株)と日本ストラタステクノロジー(株)は24日、“無停止型Linuxサーバ”の事業に関して戦略提携すると発表した。

日本ストラタテクノロジー(株)代表取締役社長の長井 正利(ながい まさとし)氏。「ストラタスは25周年を迎えた、提携によりLinuxシステム運用の不安や負担を排除するとともに、テレコム市場にの新しいインフラをターゲットにしていきたい」と述べた

ストラタスは、ミラクル・リナックスのサーバー用OS『MIRACLE LINUX V4.0 - Asianux Inside』を搭載した、無停止型(fault-tolerant)サーバーを“ftServer M”シリーズの名称で販売する予定。発売時期や価格の詳細に関しては未定。

今回の提携は「ミッションクリティカルな商用UNIX」の領域までLinuxのビジネスを拡大したいミラクル・リナックスと、テレコム業界向けビジネスを強化するために“CGL”(Carrier Grade Linux)(※1)仕様のLinuxが欲しいストラタスの思惑が一致したもの。音声通信インフラはIP化が進んでおり、コスト性能が高いネットワークアプライアンス型のソリューションを提供できる点や、MIRACLE LINUXが持つOracleデータベースとの高い親和性がストラトスの大きなメリットになるという。

※1 Open Source Development Labs(OSDL)が定めたLinuxの仕様で、通信キヤリアの事業に耐えうる高い信頼性を得るために必要な機能や条件がまとめられている。



ミラクル・リナックス(株)代表取締役社長の佐藤 武氏

両社の役割は、ミラクル・リナックスがOSの開発やftServerシリーズ上の動作検証などの業務、ストラタスがftServer Mシリーズの販売/サポートを担当するといった切り分けになる。なお、今回の戦略提携はミラクル・リナックスとストラトスの日本法人との間で結ばれたものだが、米国本社のストラタステクノロジー社との技術連携も積極的に行なっていく方針。ミラクル・リナックスが現在、中国のレッドフラッグソフトウェア社、韓国のハーンソフト社と進めている“Asianux 2.0”のプロジェクトに関する技術的な支援も受けるという。

会見に出席したミラクル・リナックス(株)代表取締役社長の佐藤 武(さとう たけし)氏は、まず始めに「Asianux 2.0はすべてがオンスケジュールで進んでおり、7月22日にはGA(General Available)版を提供できる」と報告。提携に関しては「Linuxもミッションクリティカルとなりうる」点をアピールした上で、「テレコムのマーケットにも信頼性の高いものを提供していきたい」と抱負を述べた。



日本ストラタステクノロジー(株)マーケティング部 部長の田中 直樹氏

また、日本ストラタステクノロジー マーケティング部 部長の田中 直樹(たなか なおき)氏は、エンドユーザーの価値としてエンドユーザーにとっては“商用のLinuxシステムを日本とアジア市場で容易に入手できる点”にある」と述べた。さらに、安定性の高いシステムの導入と24時間のサポート体制によって日々の保守運用コスト自体を下げられ、かつビジネス損失も防げる点を強調し、「トータルでコストが下げられる」とした。

一方、システムインテグレーターにとっては、「クラスターシステムなどを構築する場合などに必要な信頼性対策も必要なくなるため、システム開発のより重要な部分に集中できるのではないか」と述べた。

Asianux 2.0は3社から各国それぞれのパッケージで提供される。すでにパブリックβ版の配布が始まっており、RC(Release Candidate)版は6月24日、GA版は7月22日に発表される予定。国内向けパッケージの『MIRACLE LINUX V4.0 - Asianux Inside』は、10月のリリースとなる。



ミラクル・リナックス(株)コアテクノロジー部 部長の伊藤 達雄氏

ミラクル・リナックス コアテクノロジー部 部長の伊藤 達雄(いとう たつお)氏によると、Asianux 2.0の強化ポイントには「カーネル2.6の導入やCGLへの対応によってRAS(信頼性/可用性/保守性)が強化される点」「CJK(日中韓各国語)環境の最適化」レッドフラッグのデスクトップ製品で用いられているKDEベースのGUI『ReFineD』をベースにすることで「Windowsライクな操作性をサーバー製品でも実現した」点などが挙げられるという。



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