このページの本文へ

東芝、聞き分け/お供が行なえる“生活支援ロボット”を開発――愛知万博の“NEDOプロトタイプロボット博”で公開

2005年05月23日 22時09分更新

文● 編集部 佐久間康仁

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
左が聞き分けロボット“聞き分けapri君”、右はお供ロボット“アテンダ君”
左が聞き分けロボット“聞き分けapri君”、右はお供ロボット“アテンダ君”

(株)東芝は20日、東京・芝の本社ビルにプレス関係者を集め、現在開催中の愛知万博(愛・地球博)の中で6月9日から19日まで開催されるロボット関連イベント“NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)プロトタイプロボット博”(会場:モリゾー・キッコロメッセ)に出展予定の“生活支援ロボット”2タイプを披露した。



発表会の出席者
発表会の出席者。右から執行役常務 研究開発センター所長の有信睦弘氏、研究主幹の松日楽 信人氏、ヒューマンセントリックラボラトリー室長の重中圭太郎氏

発表会には執行役常務 研究開発センター所長の有信睦弘(ありのぶむつひろ)氏、研究開発センター ヒューマンセントリックラボラトリー室長の重中圭太郎氏、同研究主幹の松日楽 信人(まつひらのぶと)氏らが出席し、デモンストレーションを交えて開発の背景や狙いなどを説明した。

聞き分けロボット/お供ロボットの主な用途
聞き分けロボット/お供ロボットの主な用途

今回発表された2つの“生活支援ロボット”は、球体のボディーに2つのカメラとマイク、スピーカーを持ち、内蔵バッテリーで車輪走行する自律自走タイプ。それぞれの名称とスペックは、“聞き分けロボット”が『ApriAlpha_v3(アプリアルファ・ブイスリー)』、愛称は“聞き分けapri君”(ききわけあぷりくん)。直径約380mmで、高さは約450mm、重量は約10kg。“お供ロボット”は『ApriAttenda(アプリアテンダ)』、愛称は“アテンダ君”。外径は最大約450mm、高さ900mm、重量約30kg。

聞き分けロボットのデモの概要 お供ロボットのデモの概要
聞き分けロボットのデモの概要お供ロボットのデモの概要

聞き分けapri君は、本体上部に6方向の志向性マイクを搭載し、到達音(波形)の違いから音声発生の方向と距離を計算(位相差解析)、特定する。さらに音声認識機能を持ち、ユーザーの求める行動(明かりをつける、TVをつける、メールをチェックするなど)を代行。最大6人が同時に異なる方向から呼びかけても、音声を個別に解釈し、順番にコマンドを実行できるという。

聞き分けロボットのデモ1 聞き分けロボットのデモ2
聞き分けロボットのデモ。このように左右から同時に声を掛けても……正しく聞き分けて、それぞれの方向を向き、コマンドを実行する
試作機では、音声認識・解析した結果をモニター表示し、方向を図示できる 首の後ろ(?)に液晶ディスプレーを内蔵し、単体での音声認識・解析モニタリングが可能
試作機では、音声認識・解析した結果をモニター表示し、方向を図示できる首の後ろ(?)に液晶ディスプレーを内蔵し、単体での音声認識・解析モニタリングが可能

アテンダ君は、2つのカメラで撮影、画像認識することで、あらかじめ登録したユーザーの居場所を探し出して一定距離を保ちながら追跡するのが特徴。画像認識機能により登録したユーザーの写真(主に衣服の模様など)から背景と人物を判別し、2つの視差をつけたカメラで方向と距離を算出する。常に距離を確認しているため、一定距離以上に離れた場合は距離を縮めようと近づき、逆に近づけば距離を開けようと離れる動作をする。また、壁越しなど目標物(ユーザー)を見失うと、「どこですかー?」と合成音声を発して声をかける機能もある。なお、アテンダ君の画像処理技術は、東芝と東京理科大学が共同開発したものだという。

お供ロボットのデモ1 お供ロボットのデモ2
お供ロボットのデモ。あらかじめ登録したユーザーを見つけると……ユーザーの方向をカメラで追跡し、車輪で自律走行して追尾を行なう。将来的には荷物の運搬など、補助機能を付けたいという

会場のデモでは、聞き分けapri君が「TV(テレビ)をつけてください」を「明かりをつけますね」と誤認識・誤行動するなど、実用化への課題の一端も浮き彫りになったが(メールの確認やエアコンをつける、などほかのコマンドは正しく認識した)、3人が同時に掛けた声は、正しく方向を認識していた。

音声信号処理機能の概要 画像認識機能の概要
聞き分けロボットに搭載した音声信号処理機能の概要お供ロボットに搭載した画像認識機能の概要

同社では5、6年後に実用化、販売を目指して開発を続ける。また、ORCA(オープン・ロボット・コントローラー・アーキテクチャー、オルカ)の採用や開発成果のフィードバックを積極的に行なうという。「各社がそれぞれのアイディアを早く形(ロボット)にすることが重要」(有信氏)と述べ、今後も家庭向けロボットの開発に積極的に取り組む姿勢を示した。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン