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VAIO type S VGN-S92PS

VAIO type S VGN-S92PS

2005年05月11日 00時00分更新

文● 編集部・小西利明

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type Sのここが気になった!?

 手元に届いてから1ヵ月半ほど経った。VGN-S92PSには非常に満足している。メインマシンのパワーとアプリケーションを、どこにでも持っていけるというのは実に快適だ。一方で、落として壊したりしたときのために、データやシステム全体のバックアップもまめに取るようにしている。最近は周囲でも「ノートパソコンを盗まれた」という話をよく聞くので、データ漏洩防止の対策も施したいのだが、たとえば“マイドキュメント”以下のフォルダーを暗号化したりすると、システム障害時にデータの回収などが極めて困難になることが分かり、今のところうまい手が見いだせていない。

 VGN-S92PSで困った点もあった。たとえば内蔵HDDのパーティション分けだ。VAIOは以前から、HDDをCドライブとDドライブにパーティション分けした状態で出荷されていて、DドライブはAVコンテンツ保存用に、大きな容量を割り当てている。VGN-S92PSでもこれは同様で、60GBのHDDのうち、Cドライブには10GB程度(細かい数字は記録を取っていなかったため不明)しか割り当てられていなかった。パーティション分けの趣旨は理解しているし、それ自体に反対はないのだが、マイドキュメントやアプリケーションのインストールに使われるCドライブの容量が少なすぎるのは問題だ。たいていのアプリケーションはインストール時にドライブを指定できるとはいえ、実態としてはデフォルト設定(大抵はC:\Program Files以下)以外に変更すると、動作に支障を来たすアプリケーションすらある。マイドキュメントも同様だ。なんとかしてCドライブを増やしたい。

 VGN-S92PSの場合は、リカバリーディスクを使ってシステム全体のリカバリーを行なう際に、パーティション割り当てを変更できる。ただしリカバリーディスクは付属していないので、“VAIOリカバリユーティリティ”からユーザー自身で作成する必要がある。これにはCD-Rを6枚必要とする。またHDD全体をフォーマットしなおし、Windows XPの再インストールを行なうので、データはあらかじめ退避しておかなくてはならないし、一度環境を構築してしまった後では、一からやり直しとなる。もちろん時間もそれなり(2時間程度)かかる。筆者の場合、この方法を知ったのは環境を完全に構築してしまった後だったので、リカバリーディスクでのリストアから自分でインストールしたアプリケーションの再インストールなどで、非常に多くの時間を浪費した。これからtype Sを購入し、パーティション分けを変更したいという人は、購入後ただちにリカバリーディスクを作り、自分に合ったパーティション分けを行なうことをお勧めする。できることなら、ソニースタイルでの注文時にHDD割り当て量を指定できればありがたいのだが……。

リカバリユーティリティで作成した6枚のリカバリーディスク。システムで4枚、付属アプリケーションで2枚、計6枚のCD-Rが必要。リカバリー用データはHDD内の隠しパーティションに記録されているので、パーティション割り当ての変更等をしない場合は、ディスクを作る必要はない
リカバリユーティリティで作成した6枚のリカバリーディスク。システムで4枚、付属アプリケーションで2枚、計6枚のCD-Rが必要。リカバリー用データはHDD内の隠しパーティションに記録されているので、パーティション割り当ての変更等をしない場合は、ディスクを作る必要はない。

 もうひとつ、気になったというよりもこれは予想どおりだったのが、バッテリー駆動時間の短さだ。Sonomaプラットフォームはシステム全体の高速化が進んだ分、バッテリー駆動時間が短くなったと言われる。VGN-S92PSでも同様で、付属のバッテリーパックでの駆動時間は約3.5時間(JEITA測定法1.0)ということだが、実際に使っていると3時間強で、バッテリー残量10%未満の警告が出る。今のところはバッテリー駆動時間の短さを念頭に置いて使用しているため、取り立てて困ったということはない。しかし今後は大容量のバッテリーパックの購入(ソニースタイル価格は4万1790円)も、検討した方がよいかなと考えている。もっともバッテリー駆動時間は重視しないという前提でVGN-S92PSを買ったのだから、これについて文句はない。ただ現在では松下電器産業の「Let'snote LIGHT Y4」のように、Sonomaプラットフォームベースでも長いバッテリー駆動時間を実現している製品があるので、バッテリー駆動時間を重視する人は、これらも念頭に置いて検討するのがよいだろう。

 ネガティブに聞こえる話題が最後につづいてしまったが、筆者はVGN-S92PSにとても満足している。どこにでもメインマシンを持ち出せて、しかもゲームさえこなすパワーを備えるのはとても快適だ。「モバイルノートといえども、パフォーマンスには妥協したくない」というこだわりのあるパワーユーザーならば、type Sシリーズにきっと満足できることだろう。

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