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NVIDIA SLIの実力検証

NVIDIA SLIの実力検証

2005年04月27日 00時00分更新

文● 鈴木 雅暢

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ハイエンドゲーマー注目の的である“NVIDIA SLI”に対応した製品が登場してきた。ビデオカード2枚差しでパフォーマンスはどこまで向上するのか? 今回はその効果を検証していこう。

NVIDIA SLIでは、1枚のマザーボードに2本のビデオカードを差して3D描画性能を向上させる
写真1 NVIDIA SLIでは、1枚のマザーボードに2本のビデオカードを差して3D描画性能を向上させる。GPUどうしの通信は独自のアダプタで行なう。

 NVIDIAの“SLI(Scalable Link Interface)”は、同じビデオカードを1台のPCシステムに2枚差し、それぞれのGPUに3D描画処理を分散させることで3D描画性能を大幅にアップさせるNVIDIA独自の技術だ。

 かつて3dfxが、Voodooシリーズで“SLI(Scanline Interleave)”という、似たような技術を持っていたが、当時は、ジオメトリ処理はCPUで行なっていたので、レンダリングのみ画面の走査線を奇数と偶数に分割し、それぞれ別々のチップで描画するしくみを採用していた。一方、NVIDIA SLIではジオメトリ演算も含めて2つのGPUの役割を固定せず、ドライバでフレキシブルにロードバランスを調整し分散作業する。また、3dfx SLIではアナログレベルでフレームの合成をしていたため画質劣化も問題だったが、NVIDIA SLIではレンダリング後のデータは独自インターフェイスを通じて片方のGPUに転送し、デジタルレベルで合成したうえで出力するという仕組みのため、画質劣化は起こらない。さらに3dfx SLI当時、ビデオカードの接続インターフェイスは、帯域がわずか133MB/秒(実効帯域100MB/秒前後)のPCIバスでしかなかったが、PCIバスの60倍の8GB/秒の帯域をもつPCI Express x16を利用できる点もNVIDIA SLIの大きなメリットだ。

ASUSTeKマザー「A8V-SLI Deluxe」のBIOS画面
画面1 ASUSTeKマザー「A8V-SLI Deluxe」のBIOS画面。NVIDIA SLIの“有効”“無効”“自動切替”を切り替える。デフォルトは“Auto”で、基本的にはそのままにしておけばいい。

 NVIDIA SLIによる性能向上のレベルはアプリケーションによって異なるが、高解像度の高画質設定で動くアプリケーションでメリットが大きく、最高2倍増加する場合もあるという。ここでは気になる実際の効果を検証していきたい。

NVIDIA SLI対応マザーボードと
同じビデオカードが2枚必要

GPUのプロパティにはインターフェイスが“PCI Express x8”と認識 GPUプロパティの“マルチGPU”のメニューが有効に
画面2 nForce4 SLIチップセットを搭載したシステムでNVIDIA SLIを利用すると、GPUのプロパティにはインターフェイスが“PCI Express x8”と認識される。画面3 ビデオカードを2枚差しにしてSLI構成にするとドライバのGPUプロパティの“マルチGPU”のメニューが有効になる。チェック後に再起動を求められる。

 SLIを利用するために必要なハードウェアとしては、まずは「NVIDIA SLI対応」と明示されているマザーボードが必要となる。ビデオカードを2枚差すためには2本のPCI Express x16スロットを持っていなければならないが、NVIDIA SLIでは形状だけPCI Express x16スロットの形をしていれば、中身の信号は8レーン(PCI Express x8相当)でもよいことになっている。

負荷が分割されたかを示すインジケータがオーバーレイで表示される
画面4 マルチGPUタブにある“ロードバランシング”のチェックを入れると、このように負荷が分割されたかを示すインジケータがオーバーレイで表示される。

 NVIDIAからはSLIをサポートしたチップセットとして、Athlon 64(Socket939)用にnForce4 SLIチップセットを用意している。これのPCI Expressのサポートは20レーンで、これを2本のPCI Express x16スロットに8レーンずつ割り当てることでNVIDIA SLIを実現する。現在販売されているSLI対応マザーボードはほとんどがこれを搭載したものだ。nForce4 SLI以外でも、チップセットがPCI Expressを16レーン以上サポートしていて、かつ2本のPCI Express x16スロットがあれば対応は可能で、Iwillの「DN800-SLI」のようにE7525チップセットを搭載したXeonマザーなども登場している。なお、PCI Express x16スロットの配置や間隔は厳密に決まっているわけではないため、2枚のビデオカードを接続するSLIアダプタはマザーボードに合わせた長さのものがマザーボード側に付属する。

NVIDIAのSLI対応チップセット「nForce4 SLI」 シングルGPU/デュアルGPUの切り替えセレクタ
写真2 NVIDIAのSLI対応チップセット「nForce4 SLI」。合計20レーンのPCI Expressの割り当てを変えることでSLIに対応。Athlon 64用のワンチップソリューションで、シリアルATAIIやGbEコントローラも統合している。写真3 マザーボード上にあるシングルGPU/デュアルGPUの切り替えセレクタ。デュアル側にすると2本のPCI Express x16スロットがともに8レーン(x8)で動作するようになる(A8N-SLI Deluxe)。

 そして、ビデオカードは、NVIDIAのGeForce 6800シリーズやGeForce 6600シリーズを搭載し、かつカード上にSLI用のリンクコネクタをもつSLI対応カードが2枚必要となる。インターフェイスはPCI Express x16のみで、AGPではSLIはサポートされない。また、SLIではチップ/カードともにまったく同じものが2枚必要とされており、同じGPUを搭載し、かつ同じベンダの同じモデルのカードでなければならないという。例えば、GeForce6800とGeForce 6800UltraではSLIはできないし、同じGeForce 6600GTを搭載したカードであっても、1枚はASUSTeK製でもう1枚はGIGABYTE製という組み合わせはできないということなので注意したい。もっとも、これは動作保証の関係上の制限ということであり、同じGPUを搭載していて、動作クロックなども同じであれば、動作する可能性はありそうだ。

2枚のビデオカードを接続するSLIアダプタ
写真4 2枚のビデオカードを接続するSLIアダプタ。スロット位置などの関係上、長さがマザーボードごとに異なるため、マザーボードに同梱される(GA-K8NXP-SLI)。

A8N-SLI Deluxe

ASUSTeK 実売価格:2万5000円前後

 ASUSTeKのnForce4 SLIチップセット搭載マザーボード。GPUの冷却を考慮して2本のPCI Express x16スロットの間隔を空けているほか、シングル/デュアルの区別が一目で分かるカード型のSLIセレクタ“EZ Selector”、SLI利用時に安定して電源を供給する“EZ Plug”などSLIをフル活用できる充実装備。PCI Express対応ビデオカードを高速化するPEG Link Modeなど独自機能も満載している。

対応CPU
Athlon 64/64 FX(Socket939)
チップセット
nForce4 SLI
メモリソケット
DDR×4
拡張スロット
PCI Express16×2、PCI Express1×2、PCI×3
サウンド
AC'97(7.1チャンネル出力、S/P DIF出力対応)
その他
10/100/1000BASE-T、LAN×2、IEEE 1394a、SATA RAID
URL
http://www.asus.co.jp/

「A8N-SLI Deluxe」
写真A 「A8N-SLI Deluxe」。

GA-K8NXP-SLI

GIGABYTE 価格未定

 GIGABYTEのnForce4 SLIチップセット搭載マザーボード。こちらもシングル/デュアルGPUを切り替えるカード型のセレクタを装備している。同社のフラッグシップ「8Σ」の製品で、PCI Express x1対応GbE、IEEE 1394bコントローラなど豪華なオンボードデバイスのほか、Dual BIOS、Xpress RecoveryやDownload Centerなど使いやすさで定評のある同社の独自機能もフル装備する。

対応CPU
Athlon 64/64 FX(Socket939)
チップセット
nForce4 SLI
メモリソケット
DDR×4
拡張スロット
PCI Express16×2、PCI Express1×2、PCI×2
サウンド
AC'97(5.1チャンネル出力、S/P DIF出力対応)
その他
10/100/1000BASE-T、LAN×2、IEEE 1394b、SATA RAID
URL
http://www.gigabyte.co.jp/

「GA-K8NXP-SLI」
写真B 「GA-K8NXP-SLI」。

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