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【Display 2005レポート Vol.2】SEDの動作原理や量産までのロードマップを紹介――基調講演より

2005年04月20日 14時49分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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ファインテック・ジャパンとDisplay 2005の開幕式典(テープカット)の直後、初日の午前10時半から、東京国際展示場の会議棟において、ソニー(株)の業務執行役員テレビ事業本部長の木暮 誠氏、松下電器産業(株)のパナソニックAVCネットワーク社副社長の森田 研氏、(株)東芝のディスプレイ・部品材料統括 統括責任者の福間和則氏による基調講演が行なわれた。会場には立ち見も出るほどの来場者が詰めかけたが、特に注目されたのはSEDの表示原理や量産へのロードマップなどを紹介する東芝・福間氏の講演だった。

ソニーの業務執行役員テレビ事業本部長の木暮 誠氏 SEDの代表取締役社長の鵜澤俊一氏 東芝のディスプレイ・部品材料統括 統括責任者の福間和則氏
ソニーの業務執行役員テレビ事業本部長の木暮 誠氏松下電器産業のパナソニックAVCネットワーク社副社長の森田 研氏東芝のディスプレイ・部品材料統括 統括責任者の福間和則氏

福間氏はまず、「昨年のCEATEC(IT関連技術と最新製品の総合展示会)でセンセーショナルなデビューを飾ったあとは、しばらく封印しておこうと思ったが、たっての願いで講演を頼まれたのでSEDの原理などを紹介する」と切り出した。そのうえで、SEDの原理をブラウン管(CRT)と比較しながら分かりやすく説明した。

CRTと比較したSEDの動作原理 CRTとSEDのフォーカスの比較 電子ビームの制御機構の違い
CRTと比較したSEDの動作原理CRTとSEDのフォーカスの比較。電子をより長く飛ばすCRTではぶれが生じやすく、フィルターまでが短距離なSEDはにじみにくいというフォーカスの差に出るという、電子ビームの制御機構の違い

SEDの表示原理は、後方から電子を打ち出してRGB(赤緑青)の蛍光体に当てて発光させるという点でCRTと共通する。ただし、CRTでは中央後方にある“電子源(冷陰極電子源)”から打ち出される電子を偏向ヨーク(磁力線を発生する装置)で走査することにより、RGBのフィルターに当てているのに対して、SEDでは超小型の電子源をRGBフィルターの直後に約300万個(フルHDの場合)配置して、各電子源を個別に駆動している、という違いがある。これにより、フィルターまでの距離が短くなるため隣接するRGBフィルターへの干渉がなく、メリハリのあるシャープな発色が可能になるという。

SEDの階調性 SEDの色再現性 SEDの動画応答性
SEDの階調性SEDの色再現性SEDの動画応答性

また、蛍光体の材料にはCRTと同じものと採用し、マイクロフィルターで余分なスペクトルをカットすることにより、NTSC比で94%という高い色再現性が可能。応答性能においても、現在最大1msという液晶パネルやPDP(プラズマディスプレーパネル)より高速さを実現するという。

SEDの黒輝度 SEDのRGBフィルター生成の様子 SEDのRGBフィルターの拡大写真
SEDの黒輝度。これが高いSEDでは、暗い部分も単なる黒一色ではなく、濃淡のある黒が再現できるというSEDのRGBフィルター生成の様子。現在はこれをインクジェットプリンターによる塗布技術で生産しているというSEDのRGBフィルターの拡大写真。RGB3色は幅615μmで形成している

輝度は、昨年のCEATECで展示した際には“黒レベル”(真っ黒の映像を表示したときの輝度)が0.3cd/m2だったが、改良を重ねて現在では0.003cd/m2を実現し、ピーク輝度は400cd/m2。暗コントラストは10万:1、明コントラストは85:1で、駆動パルスの制御により白から黒まで1024階調の表現が可能になっている。消費電力についても、光る部分だけを駆動させるため、映画のような暗いシーンが多い映像では100W程度、ニュースのような全体が明るい映像でも120W程度で、偏向ヨークの駆動がない分CRTより有利になるという。

電子源の拡大写真 電子源を生成する手順 SED量産までのロードマップ
RGBフィルターの背面に配置する電子源(RP)の拡大写真電子源(RP)を生成する手順SED量産までのロードマップ

SEDのターゲットは30~70インチクラスの大画面TV市場で、すでに試作した36インチタイプに続いて、夏には50インチタイプの量産技術を検証して、2007年度初頭には本格量産に入りたい、とロードマップを明らかにしている。


展示会場のSEDブース SEDの展示の様子
展示会場のSEDブース。会場脇にはSEDの試作機の画面を一目見ようと長蛇の列ができていたSEDの展示の様子。PDPや液晶ディスプレーと比較しながらSEDの優位性をアピールしていた

会場には36インチのSEDの試作機がクローズドな形で展示され、1時間に2回程度ずつ総入れ替えでの限定公開が行なわれた。SEDの左右には比較対象としてPDPと液晶ディスプレーが並べられ、それぞれの消費電力をリアルタイムに表示するスコアも並べられた。映像としては、特に応答速度や色再現性の高さを示すものが繰り返し流され、液晶ディスプレーではにじんでしまいがちな速い動きやテロップのスクロール、PDPでは偽色(色にじみ)が出やすいサンプルなどを挙げて、SEDの優位性をアピールしていた。なお、表示サンプルでの消費電力は、SEDが暗い映像で100W程度、明るい映像で130W程度、平均120W程度なのに対し、液晶ディスプレーはほぼ一律に178~180W程度を示し、プラズマディスプレーは暗い映像で160W程度、明るい映像では380Wとなっていた。

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