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KDDI、電子書籍/書籍販売のポータルサイト“EZ Book Land!”を発表――“着うた感覚”で紙の本が買える

2005年04月19日 23時03分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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KDDI(株)と沖縄セルラー電話(株)は19日、“au”ブランドの携帯電話向けインターネット接続サービス“EZweb”において、書籍関連サービスのポータルサイト“EZ Book Land!”を21日に開設すると発表した。

丸善(株)執行役員 店舗事業部長の浜田幾夫氏、KDDI 執行役員コンテンツ・メディア事業本部長の高橋 誠氏、丸善 取締役兼執行役員 情報システム統括室長 鈴木幹夫氏
左から、丸善(株)執行役員 店舗事業部長の浜田幾夫氏、KDDI 執行役員コンテンツ・メディア事業本部長の高橋 誠氏、丸善 取締役兼執行役員 情報システム統括室長 鈴木幹夫氏
お詫び:記事掲載当初、登壇者の氏名に誤りがありました。ここに訂正するとともに、お詫びいたします。(2005年4月20日)

携帯電話向け電子書籍市場が急成長

EZ Book Land! はauのコンテンツポータル戦略に基づくもので、KDDIはすでに音楽系コンテンツゲーム系コンテンツのポータルサイトを立ち上げているが、それに続く第3の分野として出版系コンテンツに着目した。EZ Book Land! は、電子書籍販売のサービス“EZブック”と、紙の書籍販売の新サービス“au Books”から構成される。EZブックは、2003年12月のサービス開始から1年4ヵ月で年間約3億円の市場規模になり、パソコン/PDA向けの電子書籍の市場規模(年間約10億円)の約3分の1に迫る勢いで成長し続けている(※1)。

※1 EZブックの市場規模はKDDIの2005年度の売上額より。パソコン/PDA向けの電子書籍の市場規模は、KDDIのプレゼンテーションで紹介された『電子書籍ビジネス調査報告書2004』(インプレス刊)より

EZ Book Land! におけるビジネスの枠組みは、音楽系ポータル“EZ Music!”とほぼ同じ。従来からのコンテンツプロバイダーによるバーチャルコンテンツ(電子書籍)のダウンロード販売事業と、KDDI自らが運営主体のリアルコンテンツ(書籍)販売の新事業をポータルサイトで活性化させ、au携帯電話における出版関連市場の拡大を狙う。記者発表会に出席したKDDI 執行役員コンテンツ・メディア事業本部長の高橋 誠氏は、「電子書籍の利用者層は10代~20代がコア、オンライン書店の利用者層は20~40代がコアとなっていいる。メール世代は携帯電話の画面で読むクセがついている。(携帯電話で読む電子書籍のよさ)、紙の本のよさ、その場で書籍が買える便利さ、こういうものが融合し、携帯電話を中心とした1つのライフスタイルができあがるのではないか」と述べた。

KDDI高橋氏 KDDI高橋氏のプレゼンテーション
「パソコンやPDAで難しかったもの(電子書籍の市場)が、携帯電話で非常に伸びている」(高橋氏)

書籍のオンライン販売は「丸善とガッチリ組んで」

EZ Book Land! のトップページ
EZ Book Land! のトップページ

EZブックは、第3世代携帯電話サービス“CDMA 1X WIN”対応機種向けのサービス。EZwebの電子書籍サイトで配信されている約7000点を対象に、タイトル/著者名/ジャンルで横断的に検索することが可能。これらの電子書籍は公式ビューアー(BREW)(※2)で閲覧する。料金および料金体系はサイトによって異なるが、小説1冊で300~500円、マンガ1話で40~50円という価格帯がボリュームゾーンとなっている。

※2 一般書籍用の電子ブックビューアーはシャープ(株)が、マンガ用のビューアーは(株)セルシスが開発

一方au Booksは、販売はKDDIが、物流システムなどのバックエンドは丸善(株)が担当し、丸善が取り扱う約45万冊(即日出荷可能)の書籍を対象にタイトル/著者名で検索して購入できる。決済はKDDIの回収代行サービス“まとめてau支払い”を採用し、携帯電話料金と合算して請求される。KDDI ECビジネス部長の長島孝志氏は、丸善をパートナーとして選んだ理由について「大量の本を持っていて、オンライン販売の実績があり、受注から発送までのノウハウを持っている。またオンライン販売を1995年から手がけるなど、先進的である」とし、「今回は丸善とガッチリ組んでやらせていただくので、今のところそれ以外の会社と販売について一緒にやっていく計画はない」と同事業でのパートナーシップが独占的なものであることを明らかにした。また丸善の競合サービスを手がける企業について高橋氏は、「(EZwebのショッピング)モールの中で書籍を販売することはあり得る。それについては、お互いの相乗効果になるだろう」と述べた。



電子書籍(小説)の画面例 電子書籍(マンガ)の画面例
電子書籍(小説)の画面例。『蹴りたい背中』(綿矢りさ、河出書房刊)電子書籍(マンガ)の画面例。『H2』(あだち充、小学館刊)

サンプル購読から書籍購入までの一連の仕掛けを用意

ポータルサイトではこれら販売メニューへのリンクのほか、新刊情報や、“今週のピックアップ”“売れてるランキング”“おすすめリンク”といった、KDDIによるリコメンド情報を用意する。また新しい読書スタイルの模索と確立をコンセプトに、マンガの最新作の一部をサンプルとして無料配信するコーナー“コミック立ち読み特集”を設け、利用者が気に入った場合はそのままau Booksから買える仕組みを用意する。サービス開始時には、(株)小学館のEZwebサイト“コミック小学館”の協力により、マンガ『H2』(あだち充)『金色のガッシュ』(雷句誠)などのサンプルを用意する。この取り組みについて高橋氏は、「着メロを買う感覚、暗証番号4桁を入れる感覚で簡単に本を買っていただけるような、出版社にとって新しいマーケティングの可能性を、小学館と探っていきたい」とした。



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