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シリコン・ラボラトリーズ、業界最小の1チップFMラジオチューナー“Si470x”シリーズを発表――基板サイズを60%以上縮小し携帯電話への組み込みを狙う

2005年04月14日 16時30分更新

文● 編集部 小西利明

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米シリコン・ラボラトリーズ社 ワイヤレス製品担当マネージャーのタイソン・タトル氏
“Si470x”シリーズについて説明を行なう、米シリコン・ラボラトリーズ社 ワイヤレス製品担当マネージャーのタイソン・タトル氏

シリコン・ラボラトリーズ(株)は14日、1チップでアンテナ入力からオーディオ出力までこなす世界最小というFMラジオチューナーチップ“Si470x”シリーズを発表した。小型で低消費電力なCMOSプロセスの利点を生かし、携帯電話やポータブルオーディオプレーヤーなどへの採用を目指す。

米シリコン・ラボラトリーズ社のワイヤレス製品担当マネージャー、タイソン・タトル(Tyson Tuttle)氏は製品の説明の前に、携帯機器向けのFMラジオチューナー市場の動向について触れ、携帯電話やポータブルオーディオプレーヤーなどへの内蔵が進んでいて、現在5億個の対応機器が存在すると述べた。そして2008年には世界で10億個の規模になり、そのうちの60%をアジア市場が占めるという予測を披露した。タトル氏によれば、携帯電話最大手のフィンランド ノキア社の携帯電話では、30製品以上がFMラジオ受信機能を搭載しているとのことだ。Si470xシリーズはこの市場を特に意識した製品である。

同社では2008年には10億台の携帯デジタル機器が、FMラジオチューナー機能を標準搭載すると見込んでいる Si470xシリーズの利点と、ターゲットにする製品。同社では特に携帯電話市場を重視しているようだ
同社では2008年には10億台の携帯デジタル機器が、FMラジオチューナー機能を標準搭載すると見込んでいるSi470xシリーズの利点と、ターゲットにする製品。同社では特に携帯電話市場を重視しているようだ

Si470xシリーズは、0.13μm製造プロセスのCMOS半導体の中に、FMラジオチューナーに必要なAD変換器や周波数シンセサイザー、自動ゲインコントロール、オーディオプロセッサーなどの機能を組み込んだ製品である。必要な機能をすべて1チップに集積してあるため、機器メーカーはSi470xと電源まわりのバイパスキャパシター1つを組み合わせるだけで、製品にFMラジオの機能を組み込むことが可能になる。対応する受信周波数は76~108MHz。パッケージサイズは4mm×4mmで、24ピンのQFN(Quad Flat No-lead)パッケージとなっている。平均消費電力は約18mA。製造は台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)社が担当する。タトル氏によれば、競合であるオランダ フィリップスセミコンダクターズ社のFMラジオチューナーチップ『TEA5767』を使った携帯電話向けの実装と比べて、必要な外部コンポーネント数は30個から1個へ、基板の面積は120mm2から20mm2へと小型化が可能であるとしている。

お詫びと訂正:掲載当初、平均消費電力を12mWと記載していましたが、正しくは12mAでした。ここに訂正するとともに、お詫びいたします。(2005年4月15日)
Si470xのブロックダイアグラム。FMラジオに必要なアナログ・デジタル回路を1チップに集積している 競合他社の1チップFMラジオチューナーに比べて、外部部品数やチップサイズの縮小により、ごく小さな実装面積でFMラジオ機能を搭載できるとする
Si470xのブロックダイアグラム。FMラジオに必要なアナログ・デジタル回路を1チップに集積している競合他社の1チップFMラジオチューナーに比べて、外部部品数やチップサイズの縮小により、ごく小さな実装面積でFMラジオ機能を搭載できるとする

CMOS半導体による小型化/低消費電力化に加えて、Si470xシリーズでは音質の良さも特徴として挙げられている。「自動車用ラジオのレベルを目指した」(タトル氏)として、競合製品が26dB程度のS/N比を示す受信条件でも、40dB程度にまでノイズを減らしているとのことだ。

Si470xシリーズには、基本機能を備えた『Si4700』と、欧米のラジオ向けデータ通信規格“RDS(Radio Data System、欧州)”や“RBDS(Radio Broadcast Data System、米国)”に対応して、放送局名や楽曲名などを表示する機能を備えた『Si4701』の2製品がラインナップされている。価格は1万個受注時でSi4700が3ドル(約324円)、Si4701が3.45ドル(約373円)としている。また機器ベンダー向けの評価ボードは150ドル(約1万6200円)。サンプル品はすでに同社が“アルファカスタマー”と呼ぶ一部顧客企業に出荷を行なっており、5~6月中には範囲を広げたサンプル出荷が行なわれる。量産出荷は今年第4四半期(10~11月頃)を予定している。

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