~どうしたら日本で本当に新しい産業が生まれるのか? 建物というより、ソフトウェア的なプロジェクト~
【こちら秋葉原一丁目ホームページ】Act.0001「秋葉原クロスフィールド」(前編)
2005年04月12日 04時17分更新
秋葉原の変貌振りを見たい
――大学と研究機関の名前はもう公開されているのですか?
内々でご説明している学校は8校ありますが、入居すると言っているのは国立法人 東京大学 大学院情報理工学系研究科、国立大学法人 筑波大学、学校法人早稲田医療学園 人間総合科学大学、学校法人 稚内北星学園大学、公立はこだて未来大学。稚内北星学園大学と、公立はこだて未来大学は、たまたまLinuxを研究している有名な丸山不二夫学長と中島秀之学長が仲が良くて、東京にサテライトがないと厳しいということで入居されました。それからデジタルハリウッド大学などですね。公的研究機関としては、独立行政法人 産業技術総合研究所は、ここに情報系の拠点を作ると。筑波とお台場にあるので、ちょうど秋葉原は良いだろうということです。あとは、民間とベンチャーキャピタルが入られます。
“秋葉原クロスフィールド”のもう1つのビルが”秋葉原UDX”だ。来年竣工の予定となっている |
――ガチガチのIT系のドットコム企業は入らないのですか? 例えば、ライブドアとか。
ドットコムは六本木ヒルズに大集合ですからね。あそこはどちらかというとソフト系といいますかサービス関係が多いですね。こちらはもう少しハードといいますか、技術志向な感じですね。それはもともと六本木から渋谷という流れで、渋谷が少し凹んで六本木に大集合したということがありますよね。こちらはフタを開けてみたら、やはり技術志向の強い会社が多い。ソフトメーカーでも、堅いソフトを作られているメーカーから引き合いがあります。
――教育系もある。
4月1日に入学式を行なう大学もあります。
――そうなんですか! 今年のですよね。
はい。ちなみに東大は柏に大きなキャンパスを作られていますが、そこと本郷をつなぐポイントということでこちらを選ばれたらしいです。交通上便利な、そしてもちろん秋葉原が良いといって入られるんですが。
――サテライトキャンパスも含めて、合計したら何人くらいの学生が出入りすることになるのでしょうか?
今のところ数字が出ていないですね。大学院大学が中心なんです。だから人数は多くないかもしれません。筑波大が比較的多いようです。
――人数というのは意外と大切だと思うのですが。シリコンバレーとかは、スタンフォード大を中心に学生がたくさんいたというのがポイントですし、中国も精華大学とか北京大学とか学生だらけなんですよ。そもそも、秋葉原の元になった須田町の露天の電気街も、近くに学校法人 東京電機大学の前身の電機学校があったからと言われています。
日本は、学問に企業の下世話なところが入っちゃダメというようなところがあって、米国だと企業名の講堂がいたるところにあったりしますよね。
――ところで、いま秋葉原は、再開発もさることながらサブカルチャー的な部分がテレビなどで紹介されますよね。日本のポップカルチャーというのは海外で非常に高く評価されている。学術的に捉えられている部分や、文化的に捉えられ始めていて、文化庁などもこれを支援していくというようなことになってきています。しかも、アニメやゲームは、もともとデジタルやITと非常に密接ですよね。そいういうコンテンツ系に関係する部分は、クロスフィールドには入るのですか? 秋葉原が純技術の街からコンテンツの街に移行しつつあるというか、コンテンツとテクノロジーがひとかたまりになってきているだとすると、コンテンツの大学の研究室とか企業はどうなんですか?
産学連携側で言いますと、技術とコンテンツは表裏一体で、どちらかだけが進んでいるというのはないですね。その最たるものは、デジハリが来るというのが分かりやすいかなと思っています。“デジタルワークショップ”という呼び方をしていますが、来年、多機能イベントホールに新しい技術を使って新しいコンテンツを生み出すようなスタジオと権利管理をする機能を設けたいと考えています。
――なるほど、権利管理の部分は大きなテーマですからね。
ええ、結構ハードルが高い部分ではありますが。それと3Dのコンテンツの制作などですね。1つのテーマとしてですが。
――御社はそれにどう関わるのですか?
そういうことをやりたい会社を誘致して、やりやすいように支援をする。当然、われわれの会社で全部できるわけではないので、長けた人に来ていただいて実施します。秋葉原だと聞くと来やすいというのはあるんですよね。産学連携の関係者でも、なんだかんだと週に何回も秋葉原に来られていたりしますからね。だったら、ここに来ちゃえばいいと。もともと、こういう関係が好きで研究者になって、やはり仕事上も秋葉原に来ないと話にならない。いま、そういう方たちが、街の変貌ぶりを自分の目で見て確認されていますよ。
(取材:松本佳代子) 【関連記事】