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●Pentium 4 570J・WinchesterコアAthlon 64

●Pentium 4 570J・WinchesterコアAthlon 64

2005年04月13日 00時00分更新

文● 鈴木 雅暢

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ベンチマークテスト
クロックどおりの性能上昇

 今回はPentium 4 570J(E0ステップ)と同560(D0ステップ)、Athlon 64 4000+(NewCastleコア)と同3500+(Winchesterコア)の4つのCPUを用意して、性能と消費電力を見るためのベンチマークテストを行なった。Athlon 64は、Cool'n'Quietのオン/オフ両方で計測したものを掲載している。また、Pentium M 755と、Pentium 4 570Jを3.40GHzにダウンクロックした550J相当の結果も掲載しているので参考にしてほしい。570Jをダウンクロックしたものが実際の550Jと同じ消費電力を示すとは限らない(高クロックでの動作を想定していない実際の550Jのほうが少ないはずだ)が、Pentium 4 550はちょうどAthlon 64 3500+と実売価格(3万円前後)が同レベルでもあるので、性能面では参考になるだろう。テスト環境は別掲したとおりだが、GPUはIntelがX800XT、AMDがX800XT PEだが、後者のコア/メモリクロックを1GHz/1GHzにダウンし、X800XT相当として利用している。

●今回のテストで使用したビデオカード

ASUS AX800XT/TVD/N/256M

ASUS AX800XT/TVD/N/256M
ASUSTeKのRADEON X800XT PE搭載ビデオカード。ビデオ入出力、コンポーネント出力用ケーブルのほか、GameFaceLive、Video Security Onlineなどの独自ツールが付属する。今回はコア/メモリスピードはX800XTと同じ500MHz/1GHzにダウンして利用している。。

XIAi PCX800XT-DV256

XIAi PCX800XT-DV256
PCI Express x16インターフェイスに対応したXIAiブランドのRADEON X800XT搭載ビデオカード。ピクセルパイプライン16本、コア/メモリスピードは、500MHz/1GHz。256MBのGDDRを搭載している。ビデオ入出力、コンポーネント出力用ケーブルが付属。


●テスト環境

Pentium 4

マザーボード
Intel D925XCV(Intel 925X)
メモリ
PC2-4300 DIMM×4(1GB/4-4-4-12)
ビデオカード
XIAi PCX800XT-DV256(RADEON X800XT/PCI Express x16)
HDD
Seagate 7200.7(ST3160827AS)160GB
OS
Windows XP Professional SP2

Athlon 64

マザーボード
MSI K8T Neo2-F
メモリ
PC3200 DIMM×2(1GB/2-2-2-5)
ビデオカード
ASUS AX800XT/TVD/N/256M(RADEON X800XT PE/AGP 4X)
HDD
Seagate 7200.7(ST3160827AS)160GB
OS
Windows XP Professional SP2

Pentium M

マザーボード
AOpen i855GMEm-LFS
メモリ
PC3200 DIMM×2(512MB/3-3-3-8)、ただしPC2700(2.5-2-2-7、シングルチャネルで動作)
ビデオカード
ASUS AX800XT/TVD/N/256M(RADEON X800XT PE/AGP 4X)
HDD
Seagate 7200.7(ST3160827AS)160GB
OS
Windows XP Professional SP2
掲載当初、ベンチマークテスト環境に誤記がありました。お詫びして訂正いたします。

各種ベンチマークテストの結果

●Sandra 2005(CPU)

Sandra 2005(CPU)
整数演算/浮動小数点演算/SSE演算の性能を見るテストで、FSBやキャッシュは影響されない。Pentium 4 560から200MHzクロックが上がったPentium 4 570Jは、順当にスコアを伸ばしている。

●Sandra 2005(メモリ帯域幅)

Sandra 2005(メモリ帯域幅)
Athlon 64の好成績は、CPUにメモリコントローラを内蔵しており、メモリアクセスにチップセットを経由しないため。利用しているメモリモジュール自体のレイテンシが短いことも影響している。

●FinalFantasy XI Vana'diel Bench2

FinalFantasy XI Vana'diel Bench2
高解像度(HIGH)と低解像度(LOW)の両方を掲載したが、傾向は共通だ。Athlon 64の成績がよく、Athlon 64 3500+でもPentium 4 570J以上の高スコアをマークした。Pentium Mも健闘している。

●3DMark05(1024×768ドット)

3DMark05(1024×768ドット)
通常のゲームシーンの描画性能はGPU性能がほとんどを占めるためCPU別の差はほとんどない。ジオメトリ演算をCPUにさせるCPU Scoreでは高クロックが有利に働いたか、Pentium 4が優勢。

●PCMark04(CPU Test Suites 1)

PCMark04(CPU Test Suites 1)
CPUテストの個別スコア(その1)。ここに掲載したものはマルチスレッドテストとして分類されているもので、ハイパースレッディングに対応したPentium 4に有利な内容になっている。

●PCMark04(CPU Test Suites 2)

PCMark04(CPU Test Suites 2)
CPUテストの個別スコア(その2)。文法チェック、オーディオ変換ではAthlon 64の成績が良い。また、文法チェックは負荷が軽いのか、Cool'n'Quietオン時のスコアは極端に低下している。

●PCMark04

PCMark04
System/CPUのテスト項目には、マルチスレッド対応のテストや、エンコードテストなども含まれるためPentium 4の成績が良い。Athlon 64では、Cool'n'Quietのオン/オフで若干差が出ている。

●Windows Media Encoder 9

Windows Media Encoder 9
270MBのAVIファイルをDVDクオリティのWMVファイルに変換するのにかかった時間を計測している。これまでの傾向どおり、ハイパースレッディングがあり、SSE性能も高いPentium 4の成績が良い。

●TMPGEnc Xpress 3.0

TMPGEnc Xpress 3.0
270MBのDV_AVIファイルをMPEG-2ファイルへ変換するのにかかった時間を計測。SSE3へ最適化されたプログラムのため、Pentium 4がダントツで速い。負荷が重いほうが差は顕著に出ている。

 PCMark04では実際の処理をベースに各パーツの性能を見るものなので、より実在のアプリケーションでの動作に近い。ただ、マルチスレッドに対応したテストが多く含まれているので、全体的にはPentium 4に有利なテストといえる。個別の項目を1つ1つ見ていくと、文法チェックとオーディオ変換ではAthlon 64が高速になっている。また、文法チェックではCool'n'Quietをオンにすると大きく性能が低下しているのが目立つ。負荷が軽いと判断され、クロックが上昇しないのだろう。なお、PCMark04のこの項目以外では、すべてのテストを通じてCool'n'Quietの性能への影響は誤差程度にとどまっている。そのほかのテストはグラフを見ての通りで、3DゲームではAthlon 64が強く、エンコードではPentium 4が強いというこれまでの結果の延長戦上にある結果で、性能面での新鮮味は薄い。

C1Eステートの効果は約20W 効率の高いWinchester

 消費電力はサンワサプライのワットチェッカー(TAP-TST5)を使って、アイドル時、エンコード時、Webブラウズ時と3つのシーンでのシステム全体の消費電力を実測した。エンコードは、Windows Media Encoder 9でのエンコード作業中、また、Webブラウズ時というのは、Web上にあるFlashムービーの再生中に変動する消費電力を書き止め、その平均値を出したものである。

消費電力ベンチマークテストの結果

●実測消費電力

実測消費電力
Pentium 4 570Jは、560よりもアイドル時に17W、Webブラウズ時も10Wほど電力が低く、C1Eステートの効果が見てとれる。また、Winchesterコアの省電力性はTDPの数値以上に素晴らしい。

 C1Eステートの消費電力はたしかに確認でき、Pentium 4 570Jでは、200MHzクロックが低い560よりも17Wほどアイドル時の消費電力が低く、Webブラウズ時も10Wほど低くなっている。同クロックならアイドル時で20W減程度の効果はあると判断できる。クロックを3.40GHzまで下げた仮想550Jではアイドル時に100Wを切り、負荷時でも200Wを超えない。

 Athlon 64は、NewCastleコアの4000+でもすべてのシーンで仮想550Jよりも低い水準にあるが、Winchesterコアの3500+はさらに素晴らしいの一語。Cool'n'Quietを利用しなくともアイドル時76Wでエンコード時も106Wと低い。Cool'n'Quietを利用するとアイドル時66Wと、Pentium M 755(SpeedStepオフ)に迫る。SpeedStepオンでも5W下がるくらいなので、性能とのバランスを考えれば非常に優秀といえる。

 最後に、性能と消費電力の効率をみるために、エンコード時の電力量を算出したものを表に示す。これは数字が低いほうがより効率が良いことを表すが、これまでPentium Mが他を圧倒していたが、Winchesterがかなり近いレベルまで迫っている。

●表4 電力量ランキング
電力量(Wh)
Pentium M 7556.06
Athlon 64 3500+(Winchester)7.57
Athlon 64 4000+(NewCastle)9.37
Pentium 4 550J(570Jダウンクロック)11.52
Pentium 4 570J11.88
Pentium 4 56012.37

 CPU本来の目的を考えると、消費電力の数字だけをあまり追いすぎるのも考え物だが、デスクトップPC用のCPUに対しても、性能以外にもスポットライトが当たるようになってきたのはいい傾向である。やはり普段利用するPCの冷却に対して、過剰な神経を使わなければならないというのは正常ではない。これまでことあるごとに消費電力の高さ、発熱の高さが指摘されてきたPrescottだが、E0ステップの製品ではかなり扱いやすくなっていると判断していいだろう。今後の進展にも大いに期待したい。

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