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【IDF Japan 2005 Vol.2】“インテル・デベロッパ・フォーラム Japan 2005”開催――基調講演ではデジタルエンタープライズからデジタルホーム、研究開発についての講演を行なう

半導体のスタッキングやシリコンレーザーの研究成果を披露

2005年04月07日 00時00分更新

文● 編集部 小西利明

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インテルの技術開発を統括する、インテル・シニア・フェロー兼コーポレート・テクノロジ統轄本部長のジャスティン・ラトナー氏
インテルの技術開発を統括する、インテル・シニア・フェロー兼コーポレート・テクノロジ統轄本部長のジャスティン・ラトナー氏

基調講演のトリを勤めたのは、コーポレート・テクノロジ統轄本部長のジャスティン・ラトナー氏による、インテルの研究開発についての講演であった。ラトナー氏はまず、最先端のプロセッサーを搭載する製品は、コンセプトの段階から製品に至るまでに4~5年かかるという認識を示し、新しい技術をプロセッサーに搭載するには、2~4年前から努力をする必要があると述べた。

そして2015年のプラットフォームを考えた場合の技術の例として、声や視覚を使ったり、コンピューター側のインターフェースが人間を理解して人のミスを許容して振る舞う“ナチュラルシステム”が必要と述べた。「コンピューターから“ファイルが見つかりません”なんて答えが返ってくるようではまずいのです」(ラトナー氏)。また早期に身体の異常を把握できるような家庭用メディカルシステムなどもあり得るとした。また同社で研究開発されている技術として、先のタルウォーカー氏の講演でも登場した超小型パソコンRUBYや、携帯電話内蔵カメラのような低解像度のデジタルカメラの映像を、複数フレームの情報を参照して補正することで鮮明な絵を作り出す“スーパーレゾリューション”などのデモを披露した。

インテルが研究している超小型Windowsパソコン“RUBY”。持っている男性の手から、おおよそのサイズがイメージできる

続いてラトナー氏は、今後10年間のプラットフォームの進化の方向性として、3つの例を挙げて説明を行なった。まずひとつが“並列処理”。ハイパースレッディングからデュアルコア~マルチコアへと進化したCPUが、その先には10~何百コアといったメニイコアへと革命的に進化する方向に進んでいるとした。そしてCPUの並列性を有効に活用するためには、プログラム開発が重要になるとして、“ドメイン固有のプログラミング言語やコンパイラー”が必要になるとした。これは並列コンパイラーを利用して、複数のプログラムスレッドを生成し、多数あるコアにマッピングしていく手法とのことだ。

次なる例として、CPUやメモリーなど異なったダイで作られる半導体同士を、積み重ねてひとつのパッケージを作り上げる“3Dスタッキング”の研究を挙げた。これは重ねたウエハ同士を上下方向に連結する技術で、基盤上でのチップの実装に必要な面積を減らせるだけでなく、半導体間の接続距離を非常に短くできることで、広帯域で低遅延のバスを作れるといった利点を挙げた。さらにこの技術が進めることで、CPUにDRAMメモリー、フラッシュメモリー、アナログ回路などの半導体のダイを複数枚積み重ねた“ダイ・スタッキング”の可能性も示した。

 
2枚のウェハー同士を重ね合わせる“ウェハースタッキング”の概念図

3つ目の方向性としてもっとも力を入れて紹介されたのが、“シリコン・フォトニクス”と呼ばれる分野の技術である。シリコン・フォトニクスとは半導体(シリコン)上でレーザー光(フォト)の発振回路を作りあげ、半導体製造技術でレーザー回路を作るという技術である。以前から同社はこの分野の研究を重ねてきたが、シリコンから光を発生させることについては、その実現にネガティブな反応を示されることが非常に多かったという。しかし同社は2月に、外部の光源から光を入力すると、高品質のレーザービームを連続発生する技術の開発に成功したと発表した。このシリコンレーザー回路は、製造に既存の半導体製造設備を利用したとのことで、安価な半導体中にレーザー発振器を作れることが実証された。この技術を使えば機械同士だけでなく、チップ間の接続にも光を用いる可能性が現実味を帯びてきたし、また特定波長のレーザー光を医療用レーザーを安価に実現することも可能になるとした。

ラトナー氏が持っているのが、半導体製造技術によって作られた、シリコンレーザー回路のウェハーである シリコンレーザーのダイと100円玉を並べて。ダイ上でS字を描いているのがラマンレーザーの回路
ラトナー氏が持っているのが、半導体製造技術によって作られた、シリコンレーザー回路のウェハーであるシリコンレーザーのダイと100円玉を並べて。ダイ上でS字を描いているのがラマンレーザーの回路

講演の最後にラトナー氏は、イメージした未来像を早期に実現するには、会場に集まった多くの開発者の力が必要であるとした。そして「私共にはアイデアの一部しか出すことができない。ビジョンを実現するにはさまざまなアイデアが必要で、どういった利用方法があるかは、皆さんのほうがご存じだと思う。そうした想像力、創造性、ビジョンがあって初めて、こうしたアーキテクチャーが将来に向かって進んでいく」として、10年先のビジョンに向けて一緒に取り組もうと語って、基調講演を締めくくった。

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