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【IDF Japan 2005 Vol.2】“インテル・デベロッパ・フォーラム Japan 2005”開催――基調講演ではデジタルエンタープライズからデジタルホーム、研究開発についての講演を行なう

2005年04月07日 00時00分更新

文● 編集部 小西利明

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デジタルホームのビジョンについて語るインテル デジタルホーム事業本部長のドナルド・マクドナルド氏
デジタルホームのビジョンについて語るインテル デジタルホーム事業本部長のドナルド・マクドナルド氏

タルウォーカー氏に続いて登壇したデジタルホーム事業本部長のマクドナルド氏は、“すべての家庭にデジタルライフを”と題した講演を行ない、今年から来年にかけて登場するデジタルホーム向けのプラットフォームやプロセッサーについて語った。マクドナルド氏はまず昨日の記者会見でも述べられたように、コンシューマー向けのデジタルデバイスの市場が大きく拡大していることに触れ、世界中で10億世帯ほどが、なんらかの形ですでにデジタルホームになっていると述べた。そしてこうしたデバイス同士がネットワークでつながることにより、“メトカーフの法則”のようにデバイス同士がつながることでネットワークの価値が増大するとした。そして著作権保護されたコンテンツをネットワーク経由で楽しむために“DTCP/IP(Digital Transmission Contents Protection over IP)”や“DLNA(Digital Living Network Alliance)”といった業界団体の取り組みが進んでいることや、同社と米マイクロソフト社が共通の“デジタルホームビジョン”を持って、消費者ニーズの調査やマイクロソフトの著作権保護技術“Windows Media DRM”とDTCP/IPの相互運用性の実現などに取り組んでいるとした。また同社ではCentrinoで行なったのと同様に、2億ドル(約216億円)のファンドを用意して、デジタルホーム実現のための技術革新や製品開発を行なう企業に、世界規模での投資を行なっている。

続いてマクドナルド氏は、同社のデジタルホーム製品向けに予定しているプラットフォームやプロセッサーについてのロードマップを披露した。デジタルAV家電向けのプラットフォームとしては、2005年中にPentiumプロセッサーとIntel 830/854チップセットを供給するほか、デジタルディスプレー向け半導体を手がけていたイスラエルのOplus Technologies社を2月に買収することで合意したことにより、“Rembrand(レンブラント)”デジタルディスプレイプロセッサー、“Matisse(マチス)”デジタルビデオデインターレーサー、“Monet(モネ)”マルチメディアデジタルディスプレープロセッサーなどのデジタルディスプレー関連プロセッサー群(いずれもコード名)も供給可能となった。またスマートフォンなどの多機能携帯機器向けには、2005年にはXScaleアーキテクチャーのIntel PXA27xシリーズのCPUと“Hermon(ハーモン)”プラットフォームを組み合わせて提供。2006年にはその後継プラットフォームを提供するとしている。

デジタルAV機器向けのプラットフォームロードマップ(インテルの基調講演資料より引用)。Oplus社買収により、一気にデジタルディスプレー向けのプロセッサー群を手に入れた
デジタルAV機器向けのプラットフォームロードマップ(インテルの基調講演資料より引用)。Oplus社買収により、一気にデジタルディスプレー向けのプロセッサー群を手に入れた

もっとも興味を引くパソコン分野では、2005年から2006年にかけて、デスクトップとモバイルそれぞれに2つずつプラットフォームを提供する。ひとつは先のタルウォーカー氏の講演でも登場した2005年のデスクトップ向けプラットフォーム“Anchor Creek”で、これにはCPUとしてPentium Dまたはデュアルコア版の“インテル Pentiumプロセッサ エクストリームエディション”(プロセッサナンバーは840、名称がPentium 4ではない点に注目)、チップセットにはIntel 945/955X Expressチップセットを含む。またチップセット内蔵グラフィックス機能は、現行のIntel GMA900から、GMA950へとアップデートされる模様だ。64bit拡張技術“EM64T”もサポートされる。2006年のデスクトップ向けプラットフォームは“Bridge Creek(ブリッジクリーク)”と称されており、次世代のデュアルコアCPU“Presler(プレスラー)”、次世代チップセット“Broadwater(ブロードウォーター)”、新しいGbEソリューションなどが含まれるとされている。

一方2005年のノートパソコン向けプラットフォームは、1月に発表されすでに製品も多数登場している“Sonoma(ソノマ)”プラットフォームを展開する。大きく変わるのはデュアルコアCPUに対応する2006年のノート向けプラットフォーム“Napa(ナパ)”となる。Napaには65nm製造プロセスで作られるモバイル向け初のデュアルコアCPU“Yonah(ヨナ)”、内蔵グラフィックス機能を強化した新チップセット“Calistoga(カリストガ)”、無線LANチップセット“Golan(ゴラン)”などが含まれる。

デスクトップ及びノートパソコン向けプラットフォームのロードマップ(インテルの基調講演資料より引用)。内容自体は既報のもので、特に新しくはなっていない
デスクトップ及びノートパソコン向けプラットフォームのロードマップ(インテルの基調講演資料より引用)。内容自体は既報のもので、特に新しくはなっていない

マクドナルド氏はデジタルホームでのマルチコアアーキテクチャーの優位性を示すため、デモを披露した。2コア内蔵&ハイパースレッディングテクノロジーに対応した『Pentiumエクストリームエディション 840』(論理CPU数は4)を搭載したAnchor Creekベースのホームパソコンを使い、リビングではHD品質のビデオコンテンツを再生しながら、別のところでは3Dゲームを軽快に動作させるといったデモで、既存のパソコンでは実現困難な高負荷アプリケーション同士の同時実行でも、マルチコアCPUなら快適に実行できる可能性を実証してみせた。パソコンメーカー各社もデュアルコアCPUを搭載したパソコンをリリースする予定があるとして示されたスライドでは、日本電気(株)や富士通(株)、ソニー(株)や日立製作所(株)など、日本のメジャーなメーカーの名前も挙げられている。

デュアルコアCPU搭載パソコンでHD品質のビデオを再生するデモの様子。2コア+HTで論理CPU4基を実現するPentiumエクストリームエディションを使用しているので、中央のTVの画面右下にCPUの負荷グラフが4つある
デュアルコアCPU搭載パソコンでHD品質のビデオを再生するデモの様子。2コア+HTで論理CPU4基を実現するPentiumエクストリームエディションを使用しているので、中央のTVの画面右下にCPUの負荷グラフが4つある

またマルチコア以外のデジタルホーム向けの技術として、仮想マシン技術“Intel Virtualization Technology”を利用したマシンの保護のデモも披露された。家族で共用しているパソコンが、親側のマシンと子供側のマシンの2台に仮想化されているという設定で、子供側のマシンにスパイウェア入り込んだ際に、“リバート”と呼ばれる機能で親側から子供側の環境をスパイウェアが入る前に戻すという処理が実演された。

講演の締めくくりでマクドナルド氏は、ハードウェアの進化やコンテンツの普及によって、「デジタルホームは単なるビジョンではなく、現実のものとなってきた」とした。そしてデジタルホームのビジネスチャンスを確信させる製品として、米モトローラ社のスマートフォンやシャープ(株)の“液晶IT-TV”などと並んで、厚さがわずか20mmほどしかない、CPUにYonahを使用した超薄型デスクトップパソコンのコンセプトマシンや、家庭用ゲーム機ほどの大きさのホームサーバーパソコンのコンセプトモデルを示し、来場した開発者に向けて「ぜひ皆さんもデジタルホームに、大きく賭けるべきだと思う」として、デジタルホームの領域には大きなチャンスがあると訴えた。

ノート向けのデュアルコアCPUを使用するという、超薄型の“スレンダー・フォームファクタPC”のコンセプトモデル。現行の薄型PlayStation2を意識しているようにも見える ホームサーバー用途に使えるデュアルコアCPUを搭載する小型パソコンのモックアップ。前面のパネルには再生中のコンテンツの情報が表示されるのだろうか
ノート向けのデュアルコアCPUを使用するという、超薄型の“スレンダー・フォームファクタPC”のコンセプトモデル。現行の薄型PlayStation2を意識しているようにも見えるホームサーバー用途に使えるデュアルコアCPUを搭載する小型パソコンのモックアップ。前面のパネルには再生中のコンテンツの情報が表示されるのだろうか

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