デジタル制作が増えつつあるアニメ業界にとって、3DCGアニメやデジタルアニメのツールには興味の集まるところ。出展者の中には国内外のデジタルアニメを制作するツールを紹介するブースも多く見受けられた。
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ボーンデジタルは、3DCGソフト(Maya、3ds max、SOFTIMAGE|XSI)や関連の書籍を紹介していた。ブースに設けられたプレゼンテーションコーナーでは、イラストレーターの吉井 宏氏がペイントソフト『ZBrush2』を紹介していた |
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ペイントソフト『ZBrush2』のインターフェース。ワコム製タブレットとペンを使って、大変軽い操作感で直感的に3Dモデリングが行なえる。Windows 2000/XPおよびMac OS Xで動作する |
●アビッドテクノロジー(株)/ソフトイマージ
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3DCGソフトの『SOFTIMAGE|XSI』のアビッドテクノロジー(株)のブースでは、同製品を活用して制作された『アップルシード』などの事例を紹介していた。ブースの担当者によれば「昨年、投入した『XSI Foundation』は7万8000円という低価格でありながら、上位バージョンに引けを取らない機能を備えています。しかし、『XSI essentials』の方に人気が集まってしまい、日本ではあまり知られていません。今後は特にアニメ業界向けにアピールしたいと考えています」と語った |
●海外のアニメーションツール
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ハリウッドのアニメ制作会社への導入実績も多いアニメーションツール『Toon Boom Studio』を擁するカナダのToon Boom Animation社は、アニメーション制作ソリューション『Toon Boom Harmony』を発表した。同社バイスプレジデントのスティーブン・チョウ(Steven Chu)氏は「日本での展開はまさにこれからになります。ぜひ日本のアニメ業界のみなさんにToon Boomを知っていただきたいと思います」と語った |
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岡田貿易(株)は原画から原画の16倍の中割カットを自動作画し、スムーズなアニメーションを生成するという『Win Animate』を紹介していた。2つの原画の間に自動的に絵を生成するもので、いわゆるモーフィングのようなイメージだ。同社代表取締役の岡田利久氏は「まだまだ開発中なので完成度は十分ではないのですが」と謙遜しているが、アニメの原点を思わせるユニークなサービスと言えるだろう |
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“日本のアニメをつくった20人”顕彰式の模様 |
初日(3月31日)には特設ステージにおいて第一回特別功労賞“日本のアニメをつくった20人”の顕彰式が行なわれた。今回の受賞者は全員が物故者なので、多くは親族が代理で登壇した。
手塚治虫氏の受賞には親族代表として息女の手塚るみ子氏が登壇し、手塚氏が生前残していた「アニメにはなにかメッセージをこめなくちゃならん」との言葉を引用した。また、(株)竜の子プロダクションを創設し、45歳という若さで亡くなった吉田竜夫氏に代わって登壇したのは、吉田氏の娘で同社で「よばれてとびでて!あくびちゃん」を手がけるキャラクターデザイナーの吉田すずか氏。すずか氏は、父とアニメに対する思いを語り合った子供のころの思い出を披露しながら、時折言葉を詰まらせていた。
受賞者は以下の通り(敬称略)。
- [草創期のパイオニア]
- 幸内純一(1886-1970)
- 北山清太郎(1888-1945)
- 下川凹天(1892-1973)
- 村田安司(1896-1966)
- 山本早苗(1898-1981)
- 政岡憲三(1898-1988)
- 大藤信郎(1900-1961)
- 横山隆一(1909-2001)
- 持永只仁(1919-1999)
- 森 やすじ(1925-1992)
- [プロダクション設立者]
- 大川 博(1896-1972)
- 鷺巣富雄(1921-2004)
- 藤岡 豊(1972-1996)
- 手塚治虫(1928-1989)
- 吉田竜夫(1932-1977)
- [原作者]
- 長谷川町子(1920-1992)
- 藤子・F・不二雄(1933-1996)
- 横山光輝(1934-2004)
- 梶原一騎(1936-1987)
- 石ノ森章太郎(1938-1998)
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会場内に設置された特別功労賞特別展“日本のアニメーションをつくった20人”では受賞者のプロフィールとともに貴重な資料が展示されている |
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特別企画展“やなせたかしとアンパンマンの世界”のワークショップでは、セルシスと日本工学院の協力によりデジタルアニメの製作体験教室が行なわれていた |
このほか、クリエイターの育成に関連した出展やイベントも見られた。クリエイターを養成する教育機関の出展もいくつかあり、自社内でアニメ制作会社も持つ(株)ワオ・コーポレーションは構造改革特区に認定された杉並区で、2006年4月に“WAO大学院大学”の開学を目指して計画中であることを発表した。同社はすでにWAOクリエイティブカレッジとして、CGアニメなどの分野に1万人近い人材を輩出しており、さらに大学院を設置することで人材不足が指摘されている演出や監督などを育てようしている。文部科学省への申請は6月を予定しており、これから講師陣などの具体的な調整を行なっていくということだ。
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WAO大学院大学の発表では、杉並区長の山田 宏氏(左)と(株)ワオ・コーポレーション代表取締役社長の西澤昭男氏による記者会見が行なわれた |
クリエイターズワールドは、アニメ業界で第一線で活躍する経験豊かな若手クリエーターや前回アニメフェアの受賞者、国内外のコンペティションで受賞経歴の多い才能豊かなクリエーターがビジネスチャンスとして活用する場として開催される。今回は14組のクリエーターが参加しており、オリジナリティーあふれる作品が集まっていた。ほとんどのクリエイターがデジタルで制作しており、こういうところかららもアニメのデジタル化が浸透していることが実感できた。
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クリエーターズ・ワールドの様子 |