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同時に、企業向け電子メール署名用電子証明書発行システム“ベリサイン セキュアメールID”を発表

日本ベリサインの新社長に橋本晃秀氏が就任――「電子認証から総合セキュリティーベンダーへ」

2005年03月25日 21時14分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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日本ベリサインの新社長に就任した橋本晃秀氏を中心に、前社長の川島昭彦氏(左)と米ベリサインの会長/社長兼CEOのストラトン・スクラボス氏

日本ベリサイン(株)は25日、東京・大手町のアーバンネット大手町にプレス関係者を集め、本日付で同社の代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)に橋本晃秀氏が、前代表取締役社長兼CEOの川島昭彦氏は顧問に就任したことを発表した。当日午前中に開かれた定例株主総会をもって川島氏の任期が満了し、後任に橋本氏が就任することが承認された。

同時に、メールの送信元やリンク先のウェブページをなりすまして(偽って)個人情報を取得しようとする、いわゆる“フィッシング詐欺”への対策として、一括して大量の電子メールを送信する企業・組織向けの電子メール署名用電子証明書システム“ベリサイン セキュアメールID”を4月下旬に提供開始することも発表された。価格は未定。

記者発表会には、顧問の川島氏、代表取締役社長兼CEOの橋本氏、取締役の高橋伸和氏、および米ベリサイン(VeriSign)社の会長/社長兼CEOのストラトン・スクラボス(Stratton Sclavos)氏らが出席し、2005年における同社のビジョンや戦略、具体的な取り組みなどを説明した。



日本ベリサインのミッション 日本ベリサインの提供するサービスの内訳
日本ベリサインのミッションとして、従来のPKIベンダーから総合セキュリティーベンダーへの進化を目指す日本ベリサインの提供するサービスの内訳

最初に挨拶した川島氏は、「(これまでベリサインという会社は)“PKI(Public Key Infrastructure、公開鍵基盤)”による電子認証のリーディングカンパニーとしてサービスを提供してきた。10年前からこれに取り組んできたが、当時は啓蒙・普及活動が主な役目だった。2000年に“電子署名法”が成立して、ようやく日の目を見るようになり、現在は普及・啓蒙の段階を過ぎて、新たに“総合セキュリティーベンダー”として事業を進めようとしている。これまでも米国(ベリサイン本社)との連携を進めてきた橋本にバトンを渡すことで、これまで以上にスピード感のある事業展開が行なわれると期待している」とエールを送った。

続いて橋本氏が社長就任の挨拶として、同社のビジョンである“ネットワークそのものが、新しい価値を生み出す社会へ”を紹介した上で、「(インターネットの利用者が急増した現在であっても)利用者がインフラの存在を意識することなく快適に安心してコミュニケーションやビジネスができる社会が望まれている。電話や電車のように、ユーザーは裏側や動作の仕組みを意識することなく利用できるようにしなければならない。しかし、今のインターネットはユーザーに煩雑な手続きを求める。これを削減し、安心して利用できるようにするのがビジョンである」と切り出した。

日本ベリサインのエンタープライズ事業での取り組み
日本ベリサインのエンタープライズ事業での取り組み。特に中小企業向けに注力するという

同社が総合セキュリティーベンダーになるために、従来のPKIサービスに加えて、

情報セキュリティーコンサルティングサービス(SCS)
企業が情報漏洩に対してどのように対策するべきかをアドバイスする
マネージドセキュリティーサービス(MSS)
顧客のネットワークをテストして、セキュリティー上の問題点を洗い出し、対応策をレクチャーする
RFID向けネットワークサービス
慶応義塾大学(Auto-ID Center)やエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)(NTT Com)と共同で研究開発を進め、収益構造を模索・構築する

といった事業を展開していることを説明した。特にRFIDについては、同社が運営するDNS(Domain Name Server)/ONS(Object Name Server)のデータベースと連携してウェブサービスとの連携を図るべく、研究・開発を進めていると語った。

現状のビジネス(電子証明書発行)については、「2004年12月現在で3万7600枚の証明書が使われて」おり、さらに

サーバー証明書の申請画面を改良
申し込み後のステータスを顧客側から確認できるようにした
ブランド力を維持向上
一般ユーザーがベリサインのマークを持つ顧客のウェブサイトを安心して利用できるために、認知度を上げるべく、企業広告などを展開
新たな顧客層としてSME(中小企業)の獲得を目指す
ホスティング事業との関係強化により、中小企業がウェブサイトを開設する際に、ベリサインの必要性をホスティング業者を通じて訴求する
テレセールス(電話による売り込み)の強化で、契約更新・継続を依頼する

などの具体的な施策を説明。特に中小企業向けの販売促進策として、IHV(ハードウェア開発者)/ISV(ソフトウェア開発者)向けには営業部隊だけでなくマーケティングやシステムエンジニアが出向いて組み込みを促す。SIerやリセラー/ディストリビューター向けには、従来まとまった数でしか販売しなかったところを、必要な数量だけ証明書を販売する仕組みを導入。これはトライアルとして利用・運用によるメリットを顧客に理解してらうためと説明する。

なお、米ベリサイン(本社)の開発チームに初めて日本から開発担当者が参加することも明らかにされた。本社開発チームに海外支社のスタッフが参加するのは初の試みで、日本独自のニーズを反映するとともに、技術サポートを強化するというメリットもあると述べた。

フィッシング対策ソリューションを提供すると説明 “ベリサイン セキュアメールID”を発表
今後の展開として、フィッシング対策ソリューションを提供すると説明第1弾製品となる“ベリサイン セキュアメールID”を発表

同日発表された“ベリサイン セキュアメールID”は、メールサーバーに専用ゲートウェイを設置するなどの方法で(導入する企業のメール配信システムに応じて対応するという)、特定ドメインから送信するメールに一括して電子証明書を添付するもの。受信側はOutlook/Outlook Express/Shuriken Proなど、S/MIME(暗号化した情報をメールの添付ファイルとして送信する規約)に対応したメールクライアントソフトでは、赤いリボンのアイコンが表示され、送信者についての電子証明書が付随する。S/MIMEに非対応の場合はアイコン表示はされず、電子証明書ファイルが添付される。

“ベリサイン セキュアメールID”で電子証明書を添付したメール
“ベリサイン セキュアメールID”で電子証明書を添付したメールの例。メールクライアントソフトはOutlook Express 6

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