Pentium Mとi855GME-LFSを使えば、特に対策をしなくとも十分静音なマシンを作ることができる。しかし、ちょっと工夫すればさらに快適になる。より静音な自作PCの構成例を紹介しよう。
徹底的に静かさにこだわった自作PCの詳細
●電源ユニット
「音無」OTN-400WOF
- 岡谷エレクトロニクス
- 1万7000円前後
「音無」OTN-400WOF |
出力容量400Wのファンレス電源ユニット。精悍なブラックボディと背面方向に張り出した巨大なヒートシンクのビジュアルもグッドだ。在庫が少なくなっている350Wモデルでも問題ない。
●ビデオカード
D.CHROMES8-A256H
- 玄人志向
- 1万4000円前後
D.CHROMES8-A256H |
S3のDeltaChrome S8を搭載したファンレスカード。AGP 8X/4Xに対応し、ビデオメモリは256MB。コア/メモリのクロックはそれぞれ250MHz/500MHz。
●光学ドライブ
GSA-4160BB
- LG電子
- 9800円前後
GSA-4160BB |
2層のDVD+Rを含めて、すべてのDVDメディアへの書き込みをサポートする万能ドライブながら、実売価格1万円以下と安い。ベゼル色はケースに合わせてブラックを選んだ。
●ケース
ALTIUM S6 U38VB(電源未搭載/ブラック)
- ソルダム
- 2万7615円(ソルダム・オンライン価格)
ALTIUM S6 U38VB |
MicroATXフォームファクタの定番ケースのブラックモデル。フロントに2基のUSB 2.0とIEEE 1394コネクタがあるのもポイント。電源は別途用意するので未搭載モデルを選択。
●CPU
Pentium M 745
- インテル
- 3万5000円前後
Pentium M 745 |
10月下旬の価格改定でPentium Mもグッと安くて身近になってきた。コストパフォーマンスの点からオススメなのが、このPentium M 745。Dothanコアで動作クロックは1.80GHz。
●メモリ
DD4333K-512(CFD販売)×2枚
- CFD販売
- 2万円前後
DD4333K-512 |
Intel 855GMEチップセットはDDR333までの対応だが、市場価格はDDR400も変わらない。品質に定評あるCFD販売のモジュールがオススメ。
●HDD
Deskstar 7K250(HDS722525VLAT80)
- 日立GST
- 1万6000円前後
Deskstar 7K250(HDS722525VLAT80) |
回転速度7200rpm。独自ツールの「Feature Tool」によりシーク音の静音化が可能。シリアルATAモデルもあるが、あえてUltra ATA/100モデルを選んでいる。
さらなる静音化のためには
電源ユニットがポイント
ここではi855GME-LFSのスペックを生かした静音マシンの構成を紹介する。i855GME-LFSに付属しているCPUクーラーはフルスピードで回しても非常に静粛なので、普通に自作するだけで、特に何もしなくとも十分な静音効果が得られるはずだ。しかし、構成によっては例外もあるし、また、CPUクーラーの音がしなくなるとこれまで気にならなかった音まで気になってくることがある。実用例を紹介しつつ、静音マシンのポイントを押さえていこう。
静音化を目指す場合に、CPU以外でもっとも重要といえるのは、電源ユニットだろう。最近では静音設計のユニットが増えてきたが、古いタイプのユニットでは電源ファンの騒音はかなりのもの。最新の静音設計の電源ユニットを購入すると驚くほど静かになる。究極はやはりファンレス電源で、岡谷エレクトロニクスの“音無”シリーズなどを使えば完璧だ。Pentium 4の場合はファンレス電源では出力容量の心配が先に立つが、消費電力が低いPentium Mではまったく問題にならない。実質250W程度の出力があれば、よほど変わった構成でない限り十分だ。
今回は電源ユニットに「音無(OTN-400WOF)」を選んだ関係で電源を内蔵しないケースを選んでいるが、静音電源ユニットを内蔵したケースも販売されているので、リーズナブルにまとめたければそういったものを利用するのがよいだろう。オウルテックの「OWL-PCBM-02」などがオススメだ。
i855GME-LFSが搭載しているIntel 855GMEチップセットは、グラフィックス機能を内蔵しているため、別途ビデオカードを用意しなくてもPCが組める。ただ、内蔵グラフィックスの3D描画性能は非常に貧弱で、3Dゲームは起動すらできないことも多い。3Dゲームをプレイしたければ、AGPスロットにビデオカードを差すことになる。ここで注意したいのは、Intel 855GMEチップセットは主流のAGP 8Xには対応せず、AGP 4Xまでの対応であること。基本的にAGP 8X対応のカードであればAGP 4Xとしても動作するが、AGP 4Xでの動作をサポートしていないカードも一部にはあり、そういった製品は動作しない。AGP 4Xでの動作も可能かどうかを確認しておきたい。また、NVIDIA製GPUを搭載したカードを利用する場合には、BIOSメニューの「Advanced Chipset Features」項目で「AGP Aperture Size」を「128」に設定する必要があるということなのでこれも注意したい(最新BIOSではこの設定がデフォルトとなっている)。
今回はAGP 8Xに対応したファンレスカードとして、玄人志向の「D.CHROMES8-A256H」とギガバイトの「GV-N68128DH」をテストしたが、どちらもビデオカードとしては問題なく動作した。ただ、後者のほうはSpeedStep&ファンコントロールツールのSilentTekを起動するとハングアップすることがあった。原因は分からないが、SilentTekユーティリティとの相性がよくないのかもしれない。
PCIバス帯域は節約したい
HDDはUltra ATA/100で
●【Feature Tool】 効果に定評のある日立GSTのHDD静音化ツール。同社Webページ(http://www.hitachigst.com/hdd/support/download.htm)からダウンロードできる。最新バージョンはV1.94。 |
i855GME-LFSにはIDEケーブルが1本しかはいっていない。HDDはシリアルATA対応モデルをオンボードのシリアルATAコントローラに接続して……という前提なのかもしれないが、性能を考慮するとあまりオンボードのコントローラの使用はお勧めできない。なぜなら、オンボードのシリアルATAも2つのギガビットLANもIEEE 1394も、すべてPCIバス経由で接続されているからである。それぞれ単体で利用するぶんには影響ないが、これらを同時に利用すると帯域が不足して性能が低下する。できるだけPCIバスを使わないのがベター。PCIスロットにTVチューナカードなどを差す予定があるならなおさらである。最近のトレンドからは外れるが、サウスブリッジ標準のUltraATA/100を有効に利用したほうがいいだろう。今回、日立GSTの「Deskstar 7K250」を選んだのは、同社の独自ユーティリティ“Feature Tool”で静音化ができることもポイントになっている。シークタイムが若干遅くなるが、かなり効果は高いので、シーク時の“ゴリゴリ”という音が気になるなら、ぜひ試して欲しい。
パーツ | 製品名(メーカー名) | 価格 |
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CPU | Pentium M 745(Intel) | 3万5800円 |
マザーボード | i855GME-LFS(AOpen) | 2万9800円 |
メモリ | DD4333K-512(CFD販売)×2枚 | 1万9600円 |
HDD | Deskstar 7K250(日立GST) | 1万5800円 |
光学ドライブ | GSA-4160BB(LG電子) | 9480円 |
ビデオカード | D.CHROMES8-A256H(玄人志向) | 1万3800円 |
電源ユニット | OTN-400WOF(岡谷エレクトロニクス) | 1万7800円 |
ケース | ALTIUM S6 U38VB 電源未搭載(ソルダム) | 2万7615円 |
合計 | 16万9695円 |
その他の構成は別表のとおり。その構成でのベンチマーク結果も併せて記載しているので参考にしてほしい。
3DMark03 スコア | 2127 |
---|---|
3DMark03 CPU スコア | 593 |
PCMark04 System スコア | 3068 |
FinalFantasy XI Vanadiel Bench2 LOW | 5022 |
Final Fantasy XI Vanadiel Bench2 HIGH | 3550 |
アイドル時消費電力 | 49W |
アイドル時消費電力(SSオン) | 45W |
エンコード時消費電力 | 60W |
3Dゲーム時消費電力 | 60~70W |
実測騒音 | 常に30dB以下(測定不能) |