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“THE DIGITAL DREAMER~香港と日本、デジタルとストーリーの新たな融合~”レポートVol.1――ジョン・チュウ氏基調講演

2005年03月15日 14時58分更新

文● 千葉英寿

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シンポジウムの開催と前後して、ジョン・チュウ氏と同社のクリエイティブ・ディレクターであるフランキー・チャン(Frankie Chung)氏にインタビューし、Centro Digital PicturesがCGを導入するに至った経緯、そして、現況と今後についてお話をうかがった。

ジョン・チュウ氏
ジョン・チュウ氏。香港映画界の重要人物でありながら、物腰柔らかで、人なつっこい表情が印象的だ

チュウ氏は1985年にポストプロダクション(映像制作の後工程)会社“Centro TV”を設立。当初よりCentro TVではTV-CFの制作をメインを行なってきたが、1987年にカナダ人のアニメーターを迎え入れ、コンピュータアニメーションに取り組み始めた。しかし、当時の映画のような規模の作品に使えるようなCG技術はまだ存在しなかった。

1995年に『人間有情 The Umbrella Story』で映画を手がけて以来、デジタル化のために投資を続け、「トータルで2500万ドル(約26億2500万円)を投資した」(チュウ氏)と話す。その間はTV-CFのポストプロダクションの仕事が会社を支えてきたが、現在ではTV-CFの仕事と映画の仕事が半々にまでなっているものの、TV-CFの仕事はいまも充実しているという。中には日本のクライアント(依頼主)の仕事(缶チューハイや車など)も多いそうだ。

『少林サッカー』のような作品と、どのようにして出会ったのかうかがったところ、チュウ氏は「チャウ・シンチー監督から指名されました。彼は大変頭のいい人で、(CGで)どこまでできるか、何ができるかを理解しており、どういう手段をとればどういう映像が撮れるかがわかっていました」と語った。

チュウ氏は数多く寄せられるオファーに対して、「向こう8ヵ月の間、仕事したい映画なのか? 時間や予算は十分あるのか? といった面や戦略的な側面から見て、検討して決めます」と語っている。さらに「優れた本(脚本)であるかどうかが重要です。気に入らない本では作りたくありませんから。そして、やりすぎていないのか、きれいに見えているのか、といった“さじ加減”次第で、ストーリーとかみ合った“信じられる映像”を生み出すことができるのです」と秘訣を語った。

現在のCentro Digital PicturesのCGチームの構成について、同社CG部門のトップであるフランキー・チャン氏に説明をお願いした。CGチームは主に4つのユニットに分けられ、

クリエイティブチーム
アートディレクションを担当し、ストーリーボード、キャラクターデザインを制作する
3D Studio Maxチーム
スタッフ数25~30名
Mayaチーム
スタッフ数30名。レンダラーには『RenderMan』を使用。6人の専任プログラマ
合成担当チーム
スタッフ数20名

となる。これに『Lightwave 3D』を扱うチームや、2Dアニメーションのチームがあるということだ。

フランキー・チャン氏
フランキー・チャン氏。セル・アニメのアニメーターとして20年以上に渡ってアニメーションデザインに従事。1995年よりCentro Digital Picturesに参加して以降、同社のVFXスーパーバイザーとして現在も活躍中

Chung氏は少林サッカー、カンフーハッスルと大人気作品のVFXを担当している。次回作についてもうかがったところ、「(現時点では)詳細はお話しできませんが、チェン・カイコー監督の最新作『The Promise』(原題)に関わっています」とのことだった。

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