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公正取引委員会、インテルに独占禁止法違反で排除勧告

2005年03月08日 00時00分更新

文● 編集部

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公正取引委員会は8日、インテル(株)に対し、競合他社のCPUを採用しないようにリベートや資金提供を行なったことが、独占禁止法違反に当たるとして排除勧告を行なった。

これは、インテルが、2002年5月ごろから国内のパソコンメーカー5社に対して、同社製x86系CPU以外のCPUを採用しない、あるいは他社製CPUの割合を10%に抑えれば、割戻金や資金提供を行なうと約束したことで、公共の利益に反して、国内のパソコンメーカー向けCPUの販売競争を実質的に制限したというもの。独占禁止法第2条第5項の私的独占に該当し、独占禁止法第3条の規定に違反するとしている。該当する他社製CPUは、日本エイ・エム・ディ(株)とトランスメタ(株)が販売する製品。これにより、国内のCPUの総販売数のうち、2002年で約24%を占めていた競合他社製品のCPUが、2003年には約11%まで減少したという。

勧告には、インテルが今後、CPUの販売にかかわる営業担当の役員と従業員に対して、独占禁止法に関する研修、法務担当者による定期的な監査を行なうために必要な措置を講じることが含まれている。措置の内容についてはあらかじめ公正取引委員会の承認を受け、取った措置をすみやかに同委員会に報告しなければならない。

勧告に対する諾否の期限は18日で、応諾しない場合には審判手続きが開始される。

勧告に対し、インテルは、同日付けで見解を発表。公正取引委員会の主張と勧告を精査した後、10日以内に対応を決定するとしている。同社では、同社の商取引は公正かつ法律に遵守していると確信しているとしている。同時に、日本の公正取引委員会の勧告が、現在世界中で一般的に受け入れられている独占禁止の原則を反映していないことに懸念を表明。米インテル社副社長兼法務担当役員のブルース・スウェル(Bruce Sewell)氏は「競争政策の中核となる原則の一つは、競争政策は健全な経済原理に基づくという考え方である。競争当局は、消費者が不利益を被るという証拠がある場合にのみ介在するべきである。公正取引委員会の勧告は、これらの重要な原則を十分に考慮していないのは明らかである」と述べているという。

一方、同日付けで日本AMDは、公正取引委員会の排除勧告に支持を表明。同社のシェアが2000年から2002年に増大したことを契機に、インテルが違法なビジネス活動を行ない、公正な市場環境を歪め、日本および海外の消費者の選択の自由を制限していたことが明らかになったとしている。米Advanced Micro Devices(AMD)社の法務担当エグゼクティブバイスプレジデント兼最高総務責任者のトーマス・マッコイ(Thomas M. McCoy)氏は「公正取引委員会は、インテルの行為が日本におけるマイクロプロセッサー市場の公正な競争環境を歪め、競争を不当に制限していたと認定しました。インテルの行為は、日本のみならず、世界のPCユーザーの利益を害したのです。市場での地位を不当に利用して、技術革新を、さらにより重要なこととして、消費者の選択の自由を制限することは、到底容認されるべきではありません。各国の独禁当局は、自国の市場も同様の被害を受けていないかどうか、慎重に調査するべきであると考えます」と述べているという。さらに、欧州委員会が2004年に、インテルがヨーロッパ市場において、反競争的行為を行なっている疑いがあるとして調査を再開しており、現在も続行中であることを付け加えている。

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