JEITAの専務理事の吹譯正憲氏(左)と情報端末委員会委員長の川上 英氏 |
(社)電子情報技術産業協会(JEITA)は8日、東京・神田駿河台の同本部内会議室にプレス関係者を集め、2004年の情報端末装置(※1)に関する出荷台数や出荷金額などの実績と市場動向、ならびに2007年(プリンターのみ2008年)までの出荷予測に関する“市場調査報告書”を発表した。
※1 情報端末装置 JEITAでは、ディスプレー/プリンター/HDD/ネットワークストレージ/光ディスクドライブ/イメージスキャナー/OCRを指して情報端末装置と総称している。会場には、JEITAの専務理事の吹譯正憲(ふきわけまさのり)氏、情報端末委員会委員長の川上 英氏、ディスプレイ専門委員会委員長の西 嘉一氏、プリンタ市場分科会委員長の岩崎真理雄氏、磁気記憶装置専門委員会委員長の池上昇平(いけのうえしょうへい)氏、ネットワークストレージ専門委員会委員長の中森伸一氏、光ディスク専門委員会委員長の布施剛之氏、イメージスキャナ専門委員会委員長の山本正道氏、OCR専門委員会委員長の高橋 清氏らが出席し、それぞれの委員会でまとめた報告の詳細を説明した。
ディスプレイ専門委員会委員長の西 嘉一氏(左)、プリンタ市場分科会委員長の岩崎真理雄氏(中央)、磁気記憶装置専門委員会委員長の池上昇平氏 |
最初に挨拶した吹譯氏は、2004年12月に公表した2004年の電子工業生産の見込みの数字(約20兆4826億円)に届かず、生産額合計の実績が約19兆8500億円になったことを報告し、「見込みはやや下回ったものの、電子工業の成長・拡大が順調に進みつつある」と総評した。
ディスプレー、プリンター、HDD、光ディスクドライブなど、各委員会が発表した実績と2007年の見込み(一部抜粋)、および委員長のコメントは次のとおり。
ディスプレー
- 世界市場規模
- 2004年実績/前年比
- 2007年予測/2004年比
- ディスプレー全体
- 1億2728万台/109%
- 1億4600万台/115%
- CRTディスプレー
- 5964万台/89%
- 2186万台/37%
- 液晶ディスプレー
- 6764万台/136%
- 1億2414万台/184%
- 日本市場規模
- 2004年実績/前年比
- 2007年予測/2004年比
- ディスプレー全体
- 634万台/96%
- 582万台/92%
- CRTディスプレー
- 48万台/44%
- 3000台/0.6%
- 液晶ディスプレー
- 586万台/106%
- 582万台/99%
「CRTディスプレーから液晶ディスプレーへの変化の流れの中にあり、2004年は劇的に動いた。サイズ別で見ると2003年までの15インチ/XGA表示から16~17インチ/SXGA表示へと大型化・高解像度化が進み、全体の62%を占めるようになったのが特徴的。一方、CRTディスプレーは前年比86%で、初めて液晶ディスプレーがCRTディスプレーを上回った。今後日本国内では2006年までに、ワールドワイドでも2007年までに液晶ディスプレーの出荷が大半(ほぼ100%)を占めるようになるだろう」(西氏)
プリンター
- 世界市場規模
- 2004年実績/前年比
- 2007年予測/2004年比
- プリンター全体
- 1億1389万台/112%
- 1億3644万台/120%
- ドットマトリックス
- 298万台/97%
- 266万台/89%
- インクジェット(※2)
- 8972万台/110%
- 1億974万台/122%
- ページプリンター
- 1662万台/119%
- 1836万台/110%
- ページ複合機
- 457万台/122%
- 568万台/124%
- 日本市場規模
- 2004年実績/前年比
- 2007年予測/2004年比
- プリンター全体
- 805万台/100%
- 736万台/91%
- ドットマトリックス
- 16万台/96%
- 13万台/84%
- インクジェット
- 639万台/99%
- 563万台/88%
- ページプリンター
- 107万台/103%
- 102万台/96%
- ページ複合機
- 43万台/116%
- 57万台/133%
「2004年は、欧米市場が回復し、日本は景気低迷、中国を主体とするアジア地域の好調などが相まって、前年比112%、金額ベースでも109%と回復している。ページプリンターはカラー化がいっそう進み、8台に1台がカラー対応になった」(岩崎氏)
ネットワークストレージ専門委員会委員長の中森伸一氏(左)、光ディスク専門委員会委員長の布施剛之氏 | イメージスキャナ専門委員会委員長の山本正道氏(左)、OCR専門委員会委員長の高橋 清氏 |
HDD(※3)
- 世界市場規模
- 2004年実績/前年比
- 2007年予測/2004年比
- HDD全体
- 2億9580万台/117%
- 3億8974万台/132%
- 2.5インチ(※4)
- 6816万台/132%
- 1億1298万台/166%
- 3.5インチ
- 2億2764万台/113%
- 2億7677万台/122%
※4 2.5インチ 集計は2.5インチのほか、より小型の1.8インチタイプ、1インチタイプなどを合わせた数字。
- 日本市場規模
- 2004年実績/前年比
- 2007年予測/2004年比
- HDD全体
- 2755万台/117%
- 3389万台/123%
- 2.5インチ
- 1018万台/120%
- 1318万台/129%
- 3.5インチ
- 1737万台/115%
- 2072万台/119%
「日本で2.5インチタイプの出荷実績の比率が高いのは、ノートパソコンの普及が進んでいるため。また2007年まで年平均10%の割合で増える見込み。これには、HDDレコーダーなどの急速な普及や、ポータブルオーディオプレーヤーによる伸びが期待できるため」(池上氏)
光ディスクドライブ(※5)
※5 光ディスクドライブ 集計には家庭用ゲーム機、DVDプレーヤー/レコーダーに搭載されている光ディスクドライブは含まない。- 世界市場規模
- 2004年実績/前年比
- 2007年予測/2004年比
- 光ディスクドライブ全体
- 2億4351万台/110%
- 2億5957万台/107%
- CD-ROM
- 6200万台/89%
- 3032万台/49%
- DVD-ROM
- 3520万台/99%
- 3120万台/89%
- CD-R/RW
- 4440万台/79%
- 2000万台/45%
- CD-R/RW&DVD-ROM
- 4650万台/128%
- 4600万台/99%
- 記録型DVD
- 5400万台/235%
- 1億2700万台/235%
- MO
- 140万台/83%
- 105万台/75%
- 日本市場規模
- 2004年実績/前年比
- 2007年予測/2004年比
- 光ディスクドライブ全体
- 1875万台/91%
- 2014万台/107%
- CD-ROM
- 230万台/75%
- 80万台/35%
- DVD-ROM
- 85万台/43%
- 3万台/4%
- CD-R/RW
- 60万台/28%
- ――/0%
- CD-R/RW&DVD-ROM
- 460万台/77%
- 210万台/46%
- 記録型DVD
- 920万台/155%
- 1480万台/161%
- MO
- 120万台/83%
- 91万台/76%
「記録型DVDが伸びている。日本では2004年、世界全体でも2005年にCD-ROMの出荷を逆転した。この理由は、HDDの大容量化やCPUの高速処理によって動画の編集やアーカイブが可能なパソコン本体が増えたためと見ている。今年後半には青紫色レーザーを使った新型ドライブも登場するが、当初は価格の高さなどから、まだしばらく記録型DVDドライブの堅調な伸びが予想される」(布施氏)