ワコムの「Intuosシリーズ」は、映像クリエイターやデザイナーが動かす指先を敏感に読み取る筆圧感知、分解能(ペン座標を取り込む精度)を持った、プロ仕様のタブレットだ。その基本性能をさらに強化し、ファンクションキーの追加など操作性の向上を果たしたのが、この「Intuos 3」である。
従来の2倍の精度
さらに6種類の書き味を選べる
写真1 本体カラーは写真のグレー以外に、シルバーモデルも用意されている。同社タブレットのフラッグシップモデルだけあって質感は高い。 |
まず基本性能についてだが、分解能は従来機「Intuos 2」の2倍にあたる0.005mm、応答速度は秒間200ポイントとなっている。通常、人間が鉛筆ですばやく紙に線を書いても、秒間140~150ポイントの移動量となるため、Intuos 3ではほぼ完全に手の動きを再現できることになる。実際に曲線を描いてみるとレスポンスも良く、指の微妙な動きがモニタ上に伝わっていくのが気持ちいい。
筆圧はボールペンで書く半分の強さ(荷重値30g)がデフォルト値となっている。設定変更すればさらに軽い荷重値10gから書き始めることができるため、削りたての鉛筆のようなシャープな線や、筆のような力強いラインまで幅広い描画が可能だ。
写真2 ペン以外に4ボタン+スクロールホイール搭載のマウスが付属する。タブレット上でのみ動くワイヤレスマウスとして使用可能。 |
低価格なタブレットでは、電磁ノイズの影響で、ペン先を静止させているにもかかわらず、わずかにカーソルが揺れることがある。しかしIntuos 3を使用した限りでは、そういった現象が発生することはなかった。
写真3 オーバーレイシートは透明ではないため、トレースが必用な場合は別途「透明オーバーレイシート」を購入する必要がある。 | 写真4 交換用の芯は左からストローク芯、フェルト芯、ポリアセタール芯。芯がペンに挿さった状態からラジオペンチなどで軽く引き抜いて取り替える。 |
ペンについては、グリップからペン先にかけて重心を置いたデザインで、長時間の使用でも疲れにくい。ボールペンのような書き味を持つポリアセタール樹脂を使用した標準のペン芯以外に、サインペン風の感触を持つフェルト芯、バネつきでやわらかい感触のストローク芯が付属する。さらにオーバーレイシートは別途オプションで摩擦係数の高いものに貼り替え可能となっているため、6とおりの書き味から好みのパターンを選べる。
写真5 A5サイズの入力領域を持つ「PTZ-630」(写真下)のほかA6サイズの「PTZ-430」(写真上)、A4サイズの「PTZ-930」がある。PTZ-430のエクスプレスパッドは左側のみ。 |
エクスプレスパッドに任意の
キーストロークを登録可能
写真6 「エクスプレスパッド」は両脇に1つずつあり、各々別の動作を割り当て可能。ファンクションキーのストローク深は浅めだがクリック感はある。 |
Intuos 3の左右には「エクスプレスパッド」と呼ばれるファンクションキー/トラックパッドが備えられている。ファンクションキーは各々に任意のキーストロークを設定可能、トラックパッドにはスクロールやズームなどの機能を割り当てることができる。このエクスプレスパッドの設定内容はアプリケーションごとに変更可能だ。
入力デバイスとしては少々高価な製品だが、長年タブレットを開発してきた同社のノウハウがたっぷり詰まった製品と言える。より豊かな描画表現を求めているユーザーの期待に適う製品と言っていい。
Intuos 3 PTZ-630の主なスペック | |
製品名 | Intuos 3 PTZ-630 |
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読取方式 | 電磁誘導方式(電磁授受作用方式) |
読取可能範囲 | 203.2×152.4mm |
読取分解能 | 最高0.005mm |
読取速度 | 最高200ポイント/秒 |
筆圧レベル | 1024レベル |
傾き検出レベル | ±60レベル |
消費電力 | 最大300mA |
インターフェイス | USB 1.1 |
本体サイズ(W×D×H) | 345× 261.5×13mm |
重量 | 1kg |
対応OS | Windows XP/2000/Me/98 SE、Mac OS X 10.2.6以降 |