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マイクロソフト、POS端末向けに最適化された組み込み向けWindows、『Windows Embedded for Point of Service』を発表

2005年02月23日 18時51分更新

文● 編集部 小西利明

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『Windows Embedded for Point of Service』の概要を説明するマイクロソフト モバイル&エンベデッドデバイス本部 シニアプロダクトマネージャの石川大路氏
『Windows Embedded for Point of Service』の概要を説明するマイクロソフト モバイル&エンベデッドデバイス本部 シニアプロダクトマネージャの石川大路氏

マイクロソフト(株)は23日、POS端末への利用に最適化された組み込み機器向けのOS、『Windows Embedded for Point of Service』(WEPOS:ウイポス)を、2005年春より提供すると発表した。同社としては初の特定業種特化型のWindowsである。東京ビックサイトにて3月1日より4日まで開催予定の流通業向けIT製品展示会“RETAILTECH JAPAN 2005(第21回流通情報システム総合展)”にて、WEPOS搭載端末のデモンストレーションが行なわれる予定である。

マイクロソフトOSとPOS端末との変遷。スライドには書かれてないが、Windows NTもPOS端末では幅広く採用されている
マイクロソフトOSとPOS端末との変遷。スライドには書かれてないが、Windows NTもPOS端末では幅広く採用されている

スーパーマーケットやコンビニエンスストアのPOSレジ端末などで、Windowsが利用されているのを見たことのある人も多いだろう。同社のOSはMS-DOSの時代からPOS分野で利用されており、現在ではPOS分野向けとしては、パソコン用のWindows XPをベースにした『Windows XP Embedded』(Windows XPe)と、組み込み機器向け専用OSの『Windows CE 5.0』が提供されている。WEPOSはWindows XPeのService Pack 2(SP2)をベースに、POS端末やATM、デジタルキオスク向けに必要な機能だけに最適されたOSとなっている。フル機能のOSから、POS端末には不要と考えられる機能を省いているため、OSコア自体が必要とするHDD容量は約250MBへと縮小されている。OS自体は英語版と共通で、そこに言語パックを組み合わせて使用する。日本語の言語パックを組み合わせた場合のHDD容量はトータルで300MB程度になるという。セキュリティー機能の強化されたWindows XPe SP2をベースとしているため、“Windowsファイアウォール”やセキュリティー設定の拡張されたInternet Explorer 6なども利用でき、店舗のPOS端末とフランチャイズ本部間のXMLウェブサービスの提供なども可能となる。

Windows XPとWindows XPe、WEPOSの製品間の違いのイメージ。WEPOSがPOS端末向けに特化されていることが分かる
Windows XPとWindows XPe、WEPOSの製品間の違いのイメージ。WEPOSがPOS端末向けに特化されていることが分かる
WEPOSの主な機能の概要。Windows XPベースのアプリケーションやサービスを利用できるPOS端末向けOSであることがポイントである

不要な機能を省いたとはいえ、Windows XPを元にした組み込み向けOSならではの機能もある。たとえばPOS端末用の周辺機器(スキャナー、金額表示などに使うラインディスプレー、暗証番号入力用のPINパッドなど)をプラグ&プレイで利用する仕組みがサポートされている。逆にUSBメモリーデバイスの接続を禁止するといった制限をかけることも可能だ。またWindows Mediaテクノロジーなどのマルチメディア機能もサポートされており、たとえばレジ端末の液晶ディスプレーに、WMV形式の広告ビデオをストリーミングで配信するといった機能も実現可能となる。アプリケーション動作環境としては、Win32 API互換と.NET Frameworkをサポートしており、デモではβ前のバージョンWEPOSをノートパソコン上で動作させて、その上でExcelやウイルス対策ソフトなどを実行してみせ、Windows XPとの高いアプリケーション互換性を示した(製品版のWEPOS上でOfficeが動くかどうかは未定とのこと)。またJavaPOS(JavaベースでPOSシステムを構築するための規格)、OPOS(Open Point of Service:Windows環境下でのPOSシステム構築のための規格)、Unified POS(JavaPOSとOPOSで定義されたAPI仕様を統合する仕様)といったPOSシステム向けアプリケーション標準もサポートしている。ハードウェアに対する要件は以下のとおり。

ノートパソコン上で動作しているWEPOS(build 312)のデモ。標準付属のアプリケーションも必要最小限に絞られている ベースはあくまでWindows XPなので、Windows Media Playerを使ってストリーミングビデオを流すのも簡単だ。高機能のレジ端末やキオスク端末には重要な利点となりうる
ノートパソコン上で動作しているWEPOS(build 312)のデモ。標準付属のアプリケーションも必要最小限に絞られているベースはあくまでWindows XPなので、Windows Media Playerを使ってストリーミングビデオを流すのも簡単だ。高機能のレジ端末やキオスク端末には重要な利点となりうる
Windows Embedded for Point of Serviceのハードウェア要件
最小要件 推奨要件
プロセッサー Pentium II-233MHz Pentium II-300MHz以上
メモリー 64MB 128MB
ストレージ 250MB(コア部分のみ)
各種ドライブのサポート HDD、RAMディスク
現時点ではフラッシュメモリーディスクはサポートされていないが、将来のサポートは流動的とのこと。

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