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ロボットサービスイニシアチブ事務局、ネットワーク経由で情報サービスを受け取るロボットサービスの実証実験――日本科学未来館などで一般公開

2005年02月18日 22時46分更新

文● 編集部 小西利明

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実験に参加したAIBOとたわむれる子供 日本科学未来館3階の“ロボットワールド”で開かれた実証実験の発表の様子。来館していた子供たちも興味津々
実験に参加したAIBOとたわむれる子供日本科学未来館3階の“ロボットワールド”で開かれた実証実験の発表の様子。来館していた子供たちも興味津々

ロボットサービスイニシアチブ(RSi)事務局は18日、東京お台場の日本科学未来館にて“ネットワークを活用したロボットサービスの実証実験”の一般公開を行なった。公開は18日より20日まで行なわれ、大阪と福岡でも公開が予定されている。

東京 : 日本科学未来館
公開日程 : 2月18日(金)~20日(日)
大阪 : 大阪ロボットラボラトリー
公開日程 : 2月26日(土)~27日(日)
福岡 : ロボスクエア
公開日程 : 3月5日(土)~6日(日)

RSiは“人と共存するパーソナルロボットの普及”を目指して、ロボットのハードウェアだけでなく、ソフトウェアやサービスの開発・標準化の促進を目的に設立された団体である。パーソナルロボットの普及には、ロボット本体だけでなく利用できるサービスの開発も重要であり、開発されたサービスを各社のロボットで利用できるように、共通規格を提案するのが目的である。現在は三菱重工業(株)、富士通(株)、ソニー(株)の3社を常任幹事として、計23社・団体が参加している。2005年3月にはサービス提供の基本ルートを公開して基本仕様を策定し、2006年2月にはビジネスのための管理やセキュリティーなどの枠組みを公開する予定とのこと。

ロボットサービスイニシアチブの役割を示した図。ロボットメーカーとサービス・コンテンツの制作・提供会社をつなぎ、共通規格を提案する RSiが目指す環境が実現すれば、ユーザーはどのメーカーのロボットを購入しても、共通のネットワークサービスを利用できる
ロボットサービスイニシアチブの役割を示した図。ロボットメーカーとサービス・コンテンツの制作・提供会社をつなぎ、共通規格を提案するRSiが目指す環境が実現すれば、ユーザーはどのメーカーのロボットを購入しても、共通のネットワークサービスを利用できる

今回公開された実験は、ネットワーク接続機能を持った各社のロボットを、インターネット経由で“RSi仕様共通サーバー”に接続させて、RSi会員である(財)日本気象協会や(株)お天気.comが提供する日本各地の天気の情報をサーバー経由で取得し、各ロボット側で利用するという実験である。サーバーから取得した天気の情報をどう利用するかは、ロボットによって異なる。

実験の概要図。ロボットはそれぞれインターネットに接続する機能を持ち、ユーザーからの指示(音声やタッチパネル操作)に応じてネットに接続し、サーバーから必要な情報を入手する
実験の概要図。ロボットはそれぞれインターネットに接続する機能を持ち、ユーザーからの指示(音声やタッチパネル操作)に応じてネットに接続し、サーバーから必要な情報を入手する

実験に参加したのは、(株)ビジネスデザイン研究所、富士通、ソニー、(株)東芝、三菱重工業の5社計6台で、多くが音声認識機能を持ち、ユーザーの声による操作に応じて必要な情報をサーバーに取りにいき、音声合成で読み上げるという動作を披露した。たとえばこんな具合だ。

ロボット:「お天気を知りたい?」
ユーザー:「知りたい」
ロボット:「知りたい地域を教えて」
ユーザー:「名古屋」
ロボット:「愛知県西部の天気だね」
  (ロボットがサーバーにデータを照会にいき……)
ロボット:「愛知県西部の今日の天気は……」

取得したデータをどう利用するかはロボット次第である。そのため披露されたロボットたちは、音声合成で天気を読み上げるモノ、内蔵カメラで撮った部屋の様子と気温を組み合わせて、ユーザーの携帯電話に部屋の様子を送るモノ、天気に合わせて乾燥機能付き全自動洗濯機に最適なパターンを設定して洗濯を行なうモノなどさまざま。天気データひとつとっても、実にさまざまな方法で活用できることを示した。

(株)ビジネスデザイン研究所の製品『ifbot(イフボット)』。目の部分は動いて、表情を作ることができる お腹のマイクで天気を読み上げるifbot。方言にも対応していて、お国言葉で喋らせることも可能とのこと
(株)ビジネスデザイン研究所の製品『ifbot(イフボット)』。目の部分は動いて、表情を作ることができるお腹のマイクで天気を読み上げるifbot。方言にも対応していて、お国言葉で喋らせることも可能とのこと
富士通の“MARON-1(マロンワン)”。カメラを搭載していて、見た画像を携帯電話に配信することもできる MARON-1の眼にあたるカメラ。公開実験では、サーバーから気温を取得して、気温が低いと部屋に置かれた胡蝶蘭(実物ではなく写真を使用)の写真と警告文をユーザーの携帯電話に送る、という動作を披露した
富士通の“MARON-1(マロンワン)”。カメラを搭載していて、見た画像を携帯電話に配信することもできるMARON-1の眼にあたるカメラ。公開実験では、サーバーから気温を取得して、気温が低いと部屋に置かれた胡蝶蘭(実物ではなく写真を使用)の写真と警告文をユーザーの携帯電話に送る、という動作を披露した
MARON-1内蔵の液晶ディスプレー。Windowsパソコンベースのシステムで動いているようだ
MARON-1内蔵の液晶ディスプレー。Windowsパソコンベースのシステムで動いているようだ
ソニーはすでに発売された無線LAN搭載犬型ロボットAIBO『ERS-7M2』を使い、音声認識、音声での天気読み上げを実演 女の子たちにも人気?のAIBOくん
ソニーはすでに発売された無線LAN搭載犬型ロボットAIBO『ERS-7M2』を使い、音声認識、音声での天気読み上げを実演女の子たちにも人気?のAIBOくん
東芝のロボット情報家電“ApriAlpha(アプリアルファ)”。無線LANや家電の操作機能を備える。自走も可能 ApriAlphaはサーバーから取得した天候や気温を元に、エアコンを動かしたり洗濯機の動作モードを設定するデモを披露した。洗濯機は東芝のネットワーク家電“フェミニティ”シリーズの製品で、Bluetoothを搭載する
東芝のロボット情報家電“ApriAlpha(アプリアルファ)”。無線LANや家電の操作機能を備える。自走も可能ApriAlphaはサーバーから取得した天候や気温を元に、エアコンを動かしたり洗濯機の動作モードを設定するデモを披露した。洗濯機は東芝のネットワーク家電“フェミニティ”シリーズの製品で、Bluetoothを搭載する
ApriAlphaはWindowsベースで音声認識などを処理するシステムと、Linuxベースで本体を制御するシステムの2系統を搭載している マイクに呼びかけてApriAlphaを動かす子供たち。しかし会場は雑音が多いのか、うまく認識できないことも多かった
ApriAlphaはWindowsベースで音声認識などを処理するシステムと、Linuxベースで本体を制御するシステムの2系統を搭載しているマイクに呼びかけてApriAlphaを動かす子供たち。しかし会場は雑音が多いのか、うまく認識できないことも多かった
(株)富士通研究所や富士通フロンテック(株)が開発する“富士通サービスロボット”。頭部に複数搭載したカメラで周囲の人の動きを感知し、音声とタッチパネル搭載ディスプレーでサービスを提供する 三菱重工開発の“wakamaru(ワカマル)”。搭載カメラで人の動きを認識し、その方向に顔を向けて声でコミュニケーションをとる
(株)富士通研究所や富士通フロンテック(株)が開発する“富士通サービスロボット”。頭部に複数搭載したカメラで周囲の人の動きを感知し、音声とタッチパネル搭載ディスプレーでサービスを提供する三菱重工開発の“wakamaru(ワカマル)”。搭載カメラで人の動きを認識し、その方向に顔を向けて声でコミュニケーションをとる

日本未来科学館での公開は20日まで行なわれている。週末にご家族連れで訪れてはいかがだろうか。

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