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オプトウエアなど6社、次世代大容量光ディスク“ホログラフィック・バーサタイル・ディスク”の標準化を目指す“HVDアライアンス”を設立

2005年02月03日 00時00分更新

文● 編集部 内田泰仁

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(株)オプトウエア、台湾のCMC Magnetics社、東亞合成(株)、日本ペイント(株)、パルステック工業(株)、富士写真フイルム(株)の6社は3日、Blu-rayやHD DVDの次世代の大容量光ディスクメディア“ホログラフィック・バーサタイル・ディスク”(HVD)の標準規格化に向けた業界団体“HVDアライアンス”の設立を発表した。HVDの標準化と製品化の促進、市場形成や普及を目的とし、2005年春に正式発足の予定。今後、同アライアンスの趣旨に賛同するディスク/材料/デバイス/評価機器などのメーカー間での情報交換やプロモーション活動などを行なっていくという。

HVDメディア(写真中央)。写真左側の図はメディア断面の拡大モデル図で、記録層に“干渉縞”が形成されていることを示している。写真右側はメディア記録層を真上から見たモデル図で、上から見ると円状に見える“干渉縞”をわずかにずらしながら並べていくことでデータを連続記録している様子を示している従来の光ディスク(左)とHVD(右)の記録方法の違い。従来の光ディスクでは1パルスで記録できるデータ量は1bitだが、HVDでは6万bitにもなる

大容量記録メディアの特徴比較
HVDは、記録層にレーザーを用いて“ピット”を形成してデータを記録する従来の光ディスクメディアとは異なり、レーザー光の“干渉縞”(“データ・ページ”と呼ばれる最小単位を持つ独特のホログラムパターンで記録される。データ・ページあたりのデータ量は1.63KB)として記録層にデータを記録する“ホログラム記録技術”を用いる。記録層の厚みを生かして円錐形の“縞”状記録パターンを書き込むため、記録層が従来の光ディスクよりも厚くなるのも特徴。現在のところ、メディアはCD/DVDと同じ直径12cmで、記憶容量は最大200GBでの検討が行なわれており(詳細は後述)、将来的には記憶容量1TB/データ転送レート1Gbpsの実現も可能だという。



“干渉縞”を形成するための2通りの方法。現在は画面右側の“コリニアテクノロジー”を用いる方式で標準化が進められている

従来のホログラム記録では、記録層に干渉縞を形成するために、“情報光”と“参照光”という2種類のレーザーを記録層に入射し、その干渉パターンを記録する“二光束干渉法”という技術が用いられるのが一般的だったが、装置の小型化が困難、メディアの精度が非常に高くなければならないこと、透過メディアを使用しなければならないため従来の光ディスクのようなピットを利用したアドレッシング方法が取れないこと、干渉縞の形成時にはメディアの回転を止めなければならないことなどから、記録メディアとしての実用化には至っていなかった。オプトウエアはこの点を解消する技術として、情報光と参照光を同軸上の1つのレーザービームに集約して対物レンズも1つにし、さらに、反射型メディアを使用してアドレス/メディア情報が記されたピットを利用したアドレッシングを実現するなどの改良を施した記録/再生方式“コリニアテクノロジー”を独自に開発している。

標準化のロードマップ

オプトウエアは、このコリニアテクノロジーを利用したホログラム記録方式の次世代大容量光ディスク技術の標準化を目指し、この日HVDアライアンスを結成した各社と共同で、ヨーロッパの標準化団体“Ecma International”(以下Ecma)に技術検討委員会の“新設”(既存の光ディスク関連委員会内での検討ではなく)を提案。2004年12月のEcma総会で承認され、1月26日に“TC44”の名称で正式に技術検討委員会が始動している。

なお、この“TC44”では、記録型HVD(カートリッジ型ライトワンスメディア、容量200GB)、再生専用HVD(カートリッジなし、100GB)、“ホログラフィック・バーサタイル・カード”(HVC、カード型メディアで容量は30GB)、カートリッジについての標準化の検討が行なわれる。最も早く作業が進行する記録型HVDとHVCのドラフト第1版の完成予定は2005年3月で、2006年6月のEcma総会での最終的な承認を目指すという。また、そのほかの各規格については、2006年12月承認を目標とする。これらのEcmaでの承認を経たのち、国際標準化機構(ISO)への提案が行なわれ、早ければ2006年末~2007年初めにもISOの標準規格として規格化される。

オプトウエアの社長兼CEO、青木芳夫氏技術解説を行なったオプトウエアの最高技術責任者、堀米秀嘉氏

この日オプトウエアが開催した記者説明会で、HVD全般や今回の発表内容の概要を説明した同社社長兼最高経営責任者(CEO)の青木芳夫氏によると、標準化に向けた作業をEcmaで行なう理由は、ISOでの最終的な標準化に向けた準備期間が短期間であること(Ecmaでの標準化承認後、最短6ヵ月でISO標準化が可能)、光ディスク関連の議論が活発であることなどを挙げている。また、最初の製品化の時期についてはEcmaでの承認が行なわれる2006年6月を目標とし、民生を含めた本格的な普及は2008年以降を見込んでいるという。

大容量記憶メディア市場の業種別成長予測

現在世界各国では、電子メールやそのほかの電子情報の長期保存の義務付けに対する“コンプライアンス(法令遵守)”の必要性から、大容量ストレージに対するニーズが非常に高まっており、オプトウエアでは、特に近年データの大容量化が進む医療や生物科学分野に注目しているという。

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