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アップルコンピュータ、サーバー市場への展開を加速!バイオ研究者向けのクラスターの提供もアピール

2005年02月02日 05時20分更新

文● 編集部 小板謙次

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アップルコンピュータ(株)は1日、報道関係者を対象に同社のサーバー製品に関する説明会を開催した。今回の説明会では特別な新製品の発表はなく、1月31日に発表された『Oracle Database 10g for Apple MAC OS X』と『Oracle JDeveloper 10g for Apple MAC OS X』、1月5日発表のSAN(Storage Area Network)ファイルシステム『Xsan(エックスサン)』などを踏まえた、同社のサーバー市場への展開をアピールする色合いの濃いものだった。

Xserve G5とXserve RAID Xserve RAID
会場にはラックに入ったXserve G5とXserve RAIDが稼動。背後では米QLogic社のファイバーチャネルスイッチ『SANbox 5200』に接続していた
SANを構築していくデモ XsanAdmin
“XsanAdmin”を使ってメタデータコントローラー(制御用コンピューター)を指定し、SANを構築していくデモが行なわれた

同社プロダクトマーケティング Xserve担当課長の鯉田潮氏は、まずサーバー市場について「金額ベースの成長はほとんどみられないが、台数ベースでは伸びている」現状を示し、特に低価格サーバーの需要が高まっていると紹介した。今年の1月に新モデルが登場している同社の“Xserve G5”については、2.3GHzのPowerPC G5の『デュアルプロセッサーモデル』を例に挙げ、他社の代表的な同クラスのデュアルプロッセッサーサーバーと比較し、低価格である点をアピール。同プロセッサーの発熱量もインテルのXeon-3.6GHzの発熱量の半分である点を取り上げて、その性能の高さをアピールした。また、クライアントのアクセスライセンス数を増やすケースについては、他社製品にWindows Server 2003の25クライアントを追加した場合を引き合いに出し、Mac OS X Serevrの無制限ライセンスの付属の有利性について強調した。

サーバー市場は2003年の12月にやっとマイナス成長 金額ベースではサーバーの成長率はほとんどないが台数ベースで伸びている
サーバー市場は2003年の12月にやっとマイナス成長から0成長に回復した金額ベースではサーバーの成長率はほとんどないが台数ベースで伸びている
“Xserve G5”の『デュアルプロセッサーモデル』の発熱量比較 他社の同等クラスの1Uサーバーとの金額比較
“Xserve G5”の『デュアルプロセッサーモデル』の発熱量比較他社の同等クラスの1Uサーバーとの比較

同社のサーバーOSである『Mac OS X Server Ver.10.3』は、このG5に最適化されており、オープンソースベースのサーバー機能がビルトインされており、素早くサーバーサービスを立ち上げられる点、Ver.10.2から150を超える機能が追加されている点が紹介された。氏が強調するのはクライアントアクセスのライセンスが付属している点だ。「サーバーのサービスを追加することで、アクセスライセンスの追加コストが発生しないのは魅力だ。例えばファイルサーバー、ディレクトリーサーバー、VPNサーバー……などをたてる場合、マイクロソフトのケースでは複雑なライセンス形態になってしまいライセンスコストがネックになる。例えば、Mac OS X Server Ver.10.3では10クライアント版が5万9800円で、Unlimited版が9万8000円。10クライアント版はWindowsの接続に関しては制限がない仕様になっている」と話した。

次に上半期に登場予定の“Tiger Server”(Mac OS X Server v10.4 Tiger)の新機能についていくつかが紹介された。まず氏が紹介したのは“アクセス制御リスト(ACL)”だ。これはファイル、フォルダー、ネットワークサービスに対してアクセス権を割り当てるための機能で、Windowsサーバーと互換性がある。また、ネットワークホームディレクトリーサービスをモバイルにも展開したという“Portable Home Directories”では、サーバー側のホームディレクトリーとモバイル側にあるホームディレクトリーを同期し、オフィスや外出先からオンライン、オフラインの両方でアクセスできるようにする機能を紹介。“Software Update Server”では、管理者がユーザーのアップデートタイミングをコントロールし、各クライアントが同時にアップデートをかけても帯域の占有などを防ぐことができることなどがアピールされた。このほかにも個人ユースからグループのプロジェクト進行管理まで利用できるWeblogサーバーや、分散コンピューティング環境を構築するための“X grid 1.0”の実装などが紹介された。

昨年10月に新しくなった『Xserve RAID』については、3Uのラックマウントサイズの中に14台のHDDを搭載可能で、最大5.6TB(テラバイト)のストレージ容量といった高密度を挙げた。氏は「米デル社など同等クラスの製品と比較しても搭載容量は2倍近くなり、ギガバイト当たりの単価は約270円足らず。ストレージ容量のニーズが高まっている時代にあった製品だ」と強調した。

Xserve RAID Xserve RAIDのパフォーマンス
Xserve RAIDXserve RAIDのパフォーマンス

また、SANファイルシステム『Xsan』では基本機能のほかに、マルチプラットフォーム環境でのSANの展開も可能となっている点が紹介された。米Advanced Digital Information(ADIC)社のSAN共有システム『StorNext Managemat Suite』を活用すればWindowsやLinux、UNIXといった混在環境でもSANの環境を構築可能であるとした。アップルコンピュータは、米ADICの販売代理店である(株)ティアックシステムクリエイト、米QLogic社のファイバーチャネル(Fibre Channel)製品を扱っている日本ソルテック(株)と混在環境での検証を実施しており、これから両社と協力しながら拡販を行なっていくという。

分かりやすいXsanの管理ツール“XsanAdmin”
分かりやすいXsanの管理ツール“XsanAdmin”

さらにこれらの動きを加速するためにパッケージソリューションを展開していくとした。同社では研究室レベルで使えるスーパーコンピューターを提案していく“Apple Workgroup Cluster for Bioinformatics”でバイオ研究者向けのワークグループクラスターの提供を行なっていく。氏は「バイオ研究者が扱うバイオデータはムーアの法則をしのぐデータ量となっている。まさにこのデータの研究に自分が使えるコンピュータパワーが必要だろうと考える」と話した。このバイオクラスターパッケージは2ノード以上のXserve G5と必要に応じてXserve RAIDをオプションで提供。このほかネットワークスイッチ、ラック、無停電電源がセットになっている。また、SANのGridエンジンをベースにしてクラスターを構成を行なうソフトウェア『BioTeam iNquiry』やXserve管理・監視ツールが付属する。BioTeam iNquiryはバイオ研究者が通常用いる200以上のアプリが実装されていいる。日本での販売は関してはアップルコンピュータが行なう。

バイオ研究者のためのクラスターパッケージを提供 ウェブベースのツールなので分かりやすいとアピール
バイオ研究者のためのクラスターパッケージを提供ウェブベースのツールなので分かりやすいとアピール

「クラスターへのアクセスはウェブを使うため、研究室でもかまわないし、ネットワークを通じてサーバーを運用することも可能。また、演算した結果はウェブベースで表示され、必要に応じてファイルにおとすことができる。複数のユーザーで共有し、ユーザー管理もシンプルだ」とアピールした。2ノードから16ノードまで予算に応じて構成が組めるが、2ノードで約200万円(アカデミックシステム)くらいで構成できるような価格を想定しているという。

掲載当初、日本ソルテック(株)の社名が誤っておりました、ここにお詫びし訂正いたします。

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