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【「なつゲー」レビュー Vol.3】アトランチスの謎

【「なつゲー」レビュー Vol.3】アトランチスの謎

2005年02月04日 10時09分更新

文● 文・内田 幸二/イラスト・戸塚 伎一

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【「なつゲー」レビュー Vol.3】アトランチスの謎

サンソフト/NTTコミュニケーションズ

アトランチスの謎

 前回の『いっき』しかり、当時のサン電子は“へんてこなモノを出す会社”だった。『ファミスタ』(ナムコ)の大ヒットで野球ゲームがブームになった時にサン電子の出したゲームは、『なんてったってベースボール』。当時、小学校高学年だったが、そのネーミングセンスになんとも“もやっと”した気持ちになったのを覚えている。また、『いっき』から数年後に発売された『へべれけ』などは、『いっき』の系譜とも言える作品で、“色物ゲーム”的なニオイを出しつつもしっかりとしたゲーム性を持ち、いま遊んでも色あせないファミコンの隠れた名作と評価されている。そんなサン電子だが、実はもうひとつの顔を持っていた。それは“エンディングを見るのが難しいゲームを出す会社”という顔だ。その走りとも言えるのが、今回紹介する『アトランティスの謎』である。

シーン1
(C)SUNSOFT

 突然の地殻変動で南大西洋上に姿を表した、謎の巨大な島“アトランティス”。島へ調査に赴き行方不明になった師匠を探すため、新米探検家“ウィン”が単身、冒険に乗り出すというアクションゲーム。基本は、『スーパーマリオブラザーズ』のような横スクロールのジャンプアクションだが、ステージは順送りの一本道でなく、出口が複雑に仕掛けられ、逆戻りもある迷路構造になっている。いま風のキャッチフレーズを使えば、“どこに行くのか分からないマルチステージを採用!”ってな感じだ。ドアを間違えると、また元の場所に戻されたり、ステージクリアーの先に実はもうひとつのドアが隠されていたりと、「ウィンの師匠もこのマップに惑わされたか……」と思われるほど、ややこしく入り組んだステージ構成になっているのだ。ゲームのタイトルにもある“謎”は、このマルチなステージが、大きく関わっていると思われる。

爆弾
この爆弾を当ててもダメッ!!

 また、このゲームの主人公は、とにかく貧弱。敵に触れば石化されてしまうし、敵の落とす巻きグソに当たってもやられてしまう始末(いや、猛毒を含む強烈な巻きグソかもしれないが)。武器の“ポン”などは、当ててみても多くの敵がダメージすら受けず、タイムラグのある爆発の後の“爆風”でやっとダメージを与えられる手間のかかるものだ。しかも敵によっては、これらをガードするヤツもいる始末。こんな貧弱な人が主人公のため、ゲームの難易度は極めて高い。とにかく死にまくるのだ。この貧弱仕様で、さらに迷路のようなマップをさまよわなければならない。まさに、ファミコンゲーム史のなかでも伝説級の難しさといえる。



爆風
爆風に巻き込んで倒すのだ!!

 正直、凡人にはクリアーするのが難しいレベルに達していると思う。私も当時、あまりの難しさに先へと進めず、心が折れたのを覚えている。そのため、先に進みにくいゲームでもあり、まだ見ぬステージのその先は、選ばれた人にしか遊べない“謎の世界”そのものだった。自分は、心の折れた人なので、確認はできていないが、最後に登場するウィンの師匠は、カマや竹やりで突き進む“あの主人公”だと聞いたことがある。本当なのか? これぞ、まさに謎! ファミコンが生んだ都市伝説とも言える究極の謎だ。



シーン2

シーン3

 当時、自分と同じように心が折れた人も多いと思う。そこで、20年ほどたったいま、再びアトランティスに訪れてみてはいかがだろうか。ぜひ、ラストの真偽を確かめてほしい。でも、実際に遊んでみると、謎ではなく当時の思い出の方が見つかってくるかもしれない。まあ、それが「なつゲー」の味わい深さでもあり、“それもアリ”。いざ行かん、アトランティスへ!



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