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ネット系サービスと若いクリエイターの才能が一気に開花!!――“第19回デジタルコンテンツグランプリ”レポート

2005年01月28日 21時41分更新

文● 千葉英寿

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引き続き、“第19回デジタルコンテンツグランプリ”の受賞作品から、まず海外部門の受賞作品が発表された。受賞作品は以下の通り。

海外部門受賞作品

●優秀賞
Wild rose
 Han Byung A/韓国芸術総合学校大学院アニメーション科(韓国)
●韓国文化コンテンツ振興院長賞
ESPERANTO
 Oh Ja-Kyun/ハンソ大学映像美術学科(韓国)
●台湾デジタルコンテンツ産業プロモーションオフィス院長賞
The Fashionable vs. the Antiquarian
 Brogent Technologies Inc.(台湾)
●特別賞
Tockie, The Blue Rabbit
 Tee Youk Yeo/Sheridan College, Computer Animation(カナダ)
優秀賞受賞作“Wild rose” 韓国文化コンテンツ振興院長賞“ESPERANTO”
優秀賞受賞作“Wild rose”韓国文化コンテンツ振興院長賞“ESPERANTO”
台湾デジタルコンテンツ産業プロモーションオフィス院長賞“The Fashionable vs. the Antiquarian” 特別賞“Tockie, The Blue Rabbit”
台湾デジタルコンテンツ産業プロモーションオフィス院長賞“The Fashionable vs. the Antiquarian”特別賞“Tockie, The Blue Rabbit”

講評を行なったデジタルハリウッド大学院大学の学長で審査委員の杉山知之氏は、「大変レベルの高い作品が集まりました。受賞4作品の内3作品が学校からの参加で、各国のコンテンツ産業の教育が進んでいることがうかがえました。優秀賞の“Wild rose”は韓国の伝統や文化が、大事にわかりやすく表現されており、審査員の中で評価が高かった」と語った。韓国文化コンテンツ振興院長賞の“ESPERANTOは大学の学生による大勢がかかわった作品で、誰もが理解できる秀作。実に30分以上の大作となっている。



続いて、ヒットコンテンツ部門の受賞作品が発表された。受賞作品は以下の通り。

●DCAj 会長賞
ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
 (株)スクウェア・エニックス/堀井雄二/すぎやまこういち/(株)レベルファイブ
●優秀賞
MINI CONVERTIBLE. “How to Jump”
 ビー・エム・ダブリュー(株) MINI ディビジョン/(有)イディオッツ 代表取締役 真島理一郎
イノセンス
 監督:押井守/制作:プロダクション・アイジー
『鬼武者3』オープニング シネマティクス
 (株)ROBOT
電車男
 (株)新潮社/男たちが後ろから撃たれるスレ/2ちゃんねる
DCAj 会長賞を受賞した『ドラゴンクエストVIII』の制作者を代表して堀井雄二氏が登壇
DCAj 会長賞を受賞した『ドラゴンクエストVIII』の制作者を代表して堀井雄二氏が登壇

会場では、DCAj 会長賞を受賞した『ドラゴンクエストVIII』の制作者を代表して堀井雄二氏が登壇し、「ドラゴンクエストVIIIでは、自分たち(プレイヤー)が実際に体験しているようなバーチャルな空間をCGで作り出しました。そうしたところが評価を得られたことに、本当に光栄に思います」と、受賞の喜びを表現した。

講評を行なったのは審査委員長であり、東京大学大学院 情報学環教授でCGアーティストの河口洋一郎氏。河口氏は「今回は“ハウル(の動く城)”“スチームボーイ”“アップルシード”など、日本が世界に誇るそうそうたる作品が(一度に)集まってしまい、審査委員にとっては苦渋の決断となりました。発表された年が違えばいずれもが大賞を得てもおかしくない作品ばかりでした。そうした中でDCAj 会長賞に選ばれた『ドラゴンクエストVIII』はダントツのヒット作だったところが決め手となりました」と語った。



『イノセンス』 『鬼武者』オープニング シネマティクス
『イノセンス』監督:押井守 制作:プロダクション I.G DVD絶賛発売中(発売・販売元:ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント) (C)2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD『鬼武者』オープニング シネマティクス Character Samanosuke by (C)Fu Long Production, (C)CAPCOM CO., LTD. 2004 ALL RIGHTS RESERVED.
優秀賞受賞作品

(株)プロダクション・アイジーの石川光久氏に、有力な作品が多い中にあって優秀賞に選ばれたポイントについてたずねたところ、「まず、押井監督の作品に対するビジョンが明確だったことがあると思います。そして、長期にわたって制作に取り組んだスタッフの“ひたむきさ”が伝わった成果だと思います」と語ってくれた。

『MINI CONVERTIBLE. “How to Jump”』 『電車男』
『MINI CONVERTIBLE. “How to Jump”』『電車男』

上記の受賞作品は、ASCII24読者なら一度は見聞きした作品と思われるが、その中で優秀賞を受賞した『MINI CONVERTIBLE. “How to Jump”』はご存じない方も少なくないだろう。作者である真島理一郎氏は『スキージャンプ・ラージヒルぺア』で2002年のデジタルコンテンツグランプリ 金の翼賞を受賞した経験を持つ。さまざまにコミカルなスタイルでの“スキージャンプ・ペア”(2人が同時に飛ぶ)という架空の競技をCGで“リアルに”描いた同作品は、DVD-Videoとしても大人気を博している。今回受賞した『MINI CONVERTIBLE. “How to Jump”』は、そのスキージャンプの“架空でリアルな世界”を“MINIコンバーチブルに飛び乗る”動作に当てはめて映像化したもの。助走を付け、背面跳びで頭から後部座席に飛び込んだり、バンジージャンプでチャレンジするも……といった、“誰がこんな事を想像し得たのか”というインパクトの強い作品だった。同作品はMINI(実車)の購入者にプレゼントされるDVD-Videoとして配布されている。



『ComicStudioEX Ver.3.0』
グランプリ(経済産業大臣賞)を受賞した『ComicStudioEX Ver.3.0』

最後にサービス・システム創出部門の受賞作品が発表された。受賞作品は以下の通り。

●グランプリ(経済産業大臣賞)
ComicStudioEX Ver.3.0
 (株)セルシス
●優秀賞
EZ「着うたフル」
 KDDI(株)
jigブラウザー
 (株)jig.jp
mixi
 (株)イー・マーキュリー
『ニンテンドーDS』のワイヤレス・システム
 任天堂(株)

経済産業大臣賞を受賞したセルシスの『ComicStudioEX Ver.3.0』は、マンガをフルデジタルで制作することができるツール。すでに大手の印刷会社などでのシステム導入が進んでおり、日本のコンテンツ産業において重要な位置づけであるマンガ産業を支える製品と言える。

セルシスの川上陽介氏は「2年連続ということで恐縮しています。従来のアナログのメディアからデジタルのメディアにいろいろなコンテンツを出していける環境を漫画、アニメの下支えとして開発を進めていきたいと思います」と、あらためて決意を語った。

“EZ「着うたフル」” 『ニンテンドーDS』のワイヤレス・システム
優秀賞を受賞した“EZ「着うたフル」”同じく優秀賞受賞の『ニンテンドーDS』のワイヤレス・システム

講評を行なった、審査委員長で東京大学大学院 新領域創成科学研究科教授の浜野保樹氏は、「いま、マンガの状況はデジタル化の波に乗れず、あまりよいものとは言えません。『ComicStudio』はマンガのデジタル化によりもうひとつのブレイクを期待させるものです。“EZ「着うたフル」”は、音楽業界の新しいビジネスである日本的なソリューションとして評価されました。“jigブラウザー”は日本において重要なプラットフォームである携帯(電話)で無料のウェブコンテンツを入手・閲覧できます。場合によっては“携帯電話そのもの(ビジネスモデル)の首を絞める”可能性がありますが、記憶にとどめるに足りうることから選ばれました。“mixi”は関係性を得る新しいビジネスとして評価されました。『ニンテンドーDS』は競合機種もあったが、上の層まで広がりを示したことがポイントになりました」と語った。

“第19回デジタルコンテンツグランプリ”の受賞者の面々
“第19回デジタルコンテンツグランプリ”の受賞者の面々

今回の受賞作品の傾向として、2ちゃんねるが関わった新潮社の『電車男』や、“mixi”、“jigブラウザー”のように、これまでのデジタルコンテンツグランプリに選ばれる作品とは大きく傾向が異なる、ネット系の新しいビジネスが選ばれている。それも今年、目を出したばかりで普及はこれから、というものも含まれる。これらが先を見越して選ばれているのには“ノミネーター制の導入”が功を奏した格好と言えるだろう。ノミネーター制というのは、雑誌/新聞など21社の代表から推薦を受ける仕組み。アスキーからも『週刊アスキー』発行人の福岡俊弘氏がこれに加わっている。


優秀賞を受賞した“mixi”
優秀賞を受賞した“mixi”

贈賞式の合間に、特に新ビジネスから選ばれた二氏にお話をうかがった。mixiを運営するイー・マーキュリーの代表取締役である笠原健治氏に、サービスの発想からサービスインまでの期間をお聞きしたところ「開発にとりかかったのが、orkut(米グーグル社のSNS)のサービスがはじまった前後。すでにアイデアはあったので、かなり焦って開発に取りかかり、4ヵ月ほどでサービスをスタートできました」と語ってくれた。

また、jig.jpの代表取締役社長である福野泰介氏に、開発の動機をたずねたところ、「まず“自分が欲しい”と思ったことが開発の動機でした。もともとパソコンでのインターネットを知っているものにとって、携帯のウェブコンテンツは物足りないものだと思っていました」と語った。お二人の共通する声として、ビジネスの発想の原点が“自分で必要性を感じたところ”にあるように見受けられた。しかし、成功の鍵は、発想だけではなく、ビジネスとして立ち上げて、実際にモノにしていけるかどうかにあることは明白だろう。



優秀賞を受賞した“jigブラウザ”
優秀賞を受賞した“jigブラウザ”

贈賞式の最後に、最終選考委員長で東京大学名誉教授の月尾嘉男氏が、「1986年(第1回)から19年。名称がたびたび変わってきましたが、来年で20年を迎えることから、名称、そして仕組みも変わります。その前段階として、今回から賞の対象を整理し、ノミネート制を導入しました」と語り、次回をさらに期待させるコメントで閉幕した。

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