JEITA パーソナルコンピュータ事業委員会委員長で日本電気(株)の執行役員の片山 徹氏(右)と、協会専務理事の吹譯正憲氏 |
(社)電子情報技術産業協会(JEITA)は26日、東京・神田駿河台の同本部内会議室にプレス関係者を集め、平成16年度第3四半期ならびに暦年(カレンダーイヤー)の平成16年通期でのパソコン出荷実績を発表した。会見にはJEITA パーソナルコンピュータ事業委員会委員長で日本電気(株)の執行役員の片山 徹氏、協会専務理事の吹譯正憲(ふきわけまさのり)氏らが出席し、内訳の詳細や個人/企業での傾向、来年度の見通しなどを説明した。
発表された出荷実績は次の通り。
平成16年度(2004年度) 第3四半期出荷実績内訳
台数ベース
- 本体総出荷台数
- 311万3000台(前年比114%)
- 内訳:国内284万台/輸出27万3000台
- サーバー&デスクトップ
- 138万1000台(同120%)
- 内訳:オールインワン(※1)83万7000台/本体単体54万4000台
- ノートパソコン
- 173万2000台(同110%)
- 内訳:モバイルノート61万9000台/A4ノートほか111万3000台
※1 オールインワン ここでは液晶ディスプレーとセットで出荷されるモデル、ならびに液晶一体型を合わせて“オールインワン”と呼称している
金額ベース
- 本体総出荷金額
- 4503億円(前年比114%)
- 内訳:国内4149億円/輸出354億円
- サーバー&デスクトップ
- 1981億円(同124%)
- 内訳:オールインワン1257億円/本体単体724億円
- ノートパソコン
- 2522億円(同108%)
- 内訳:モバイルノート855億円/A4ノートほか1667億円
平成16年暦年(1~12月) 通年出荷実績
台数ベース
- 本体総出荷台数
- 1236万7000台(前年比110%)
- 内訳:国内1145万1000台/輸出91万6000台
- サーバー&デスクトップ
- 539万1000台(同113%)
- 内訳:オールインワン309万1000台/本体単体230万台
- ノートパソコン
- 697万6000台(同107%)
- 内訳:モバイルノート238万6000台/A4ノートほか459万台
金額ベース
- 本体総出荷金額
- 1兆7758億円(前年比104%)
- 内訳:国内1兆6569億円/輸出1189億円
- サーバー&デスクトップ
- 7551億円(同109%)
- 内訳:オールインワン4648億円/本体単体2903億円
- ノートパソコン
- 1兆207億円(同101%)
- 内訳:モバイルノート3342億円/A4ノートほか6865億円
この集計には、昨年第2四半期よりデル(株)の実績も含まれ、より実数・実態を示したものになっているが、「特に個人向け製品については二極化が進み、メーカー製パソコンではミドルレンジでもAV機能を搭載したものとなり、ローエンドはホワイトボックス(非メーカーブランド製品)や中古市場に流れている。これらの数字は加味できない」(吹譯氏)と注釈している。
四半期単位での出荷台数の推移 | デスクトップ/ノートと形状別に分類した推移 |
片山氏は平成16年の傾向について、「昨年第2四半期以降、7四半期連続で増加を続けている。これは今年4月に施行される“個人情報保護法”に絡んだ企業のセキュリティー向け投資が牽引役になっていると思われる。個人向け製品ではAV機能に特化したものが各社から出てきており、高付加価値による単価向上に寄与している。出荷台数は平成12年(2000年)が過去最高だが、これに迫る数字に回復してきている。前回(平成16年第2四半期の発表時)は“底堅い”という表現をしたが、今回はより前向きに“回復の兆しが見える”と言える」と、好調な出荷の推移を説明した。
四半期単位の平均単価の推移。一時の急激な価格下落はおさまり、ほぼ(やや下落傾向)で推移している | 四半期単位の出荷金額の推移。2四半期連続で出荷金額はプラス成長を記録 |
形状別にみるとノートパソコンが出荷台数の51%を占め、単価下落を支えている。平均単価は平成16年暦年の平均で、
- デスクトップ
- 12万8000円(前年比95%)
- ノート
- 14万9000円(同94%)
- 全体
- 14万5000円(同95%)
となり、「マクロ的に見て4~5%の下落は健全な推移と考える。今後も企業ではセキュリティー関連で、個人ではAV関連での高付加価値製品が求められるため、価格の推移はほぼ横ばいになるだろう」と見通しを示した。また、価格下落を支えるもうひとつの要因として、「デスクトップでは本体単体ではなく、ディスプレーとセットでの買い替え/買い増しが、ノートパソコンでは従来のA4サイズからモバイルに需要がシフトしてきていることも大きい」と補足した。
暦年単位の出荷台数の推移。2年連続でのプラス成長を記録 | 暦年単位の出荷金額の推移。こちらは平成12年以来4年ぶりのプラス成長となった |
さらに、来年度の見通しについても、「当初は1140万台と予測を発表していたが、これを1200万台に上方修正する。メーカー各社はこの数字をボトムとして、さらなる上積みを期待しながら製品を開発・出荷していくことになる」と明るい兆しがあることを示した。
なお、数値発表のあとで記者から、「日本アイ・ビー・エムは、今後この統計調査にどのように関わるのか?」と質問されると、「個別企業についてはここでは回答しないことになっているが、個人的な印象としては、今後もJEITAの中で引き続き活動していただきたいと考えているし、ご同意いただけると思う」と結論を避けた。