ボーランド(株)代表取締役社長の小手川清氏 |
ボーランド(株)は25日、企業内でのソフトウェア開発プロジェクトを変革する“SDO(Software Delivery Optimization)”ビジョンと、SDOビジョンに基づくプロジェクト管理ツールなどの製品群を日本市場に向けて展開することを発表した。第1弾となる製品は今年前半より登場し、1~2年のスパンをかけて投入する。
同日、報道関係者を集めて行なわれた戦略説明会にて、同社代表取締役社長の小手川清氏は“ボーランド株式会社 2005年の戦略”と題した講演を行ない、「以前ある雑誌に、日本における(システム開発)プロジェクトの成功率は26.7%と書いてあったが、実際その程度ではないかと思う」と、ソフトウェア開発がうまくいっていない企業が多いことを指摘した。そのうえで現在のソフトウェア開発が抱える問題点について、「納期の遅れ、コストの増加、品質の低下。頻繁な変更や仕様がなかなか決まらない」などを挙げた。そこで同社が提唱するのがSDOという概念だ。
同社が指摘する現在のソフトウェア開発の問題点。人材不足や時間の不足だけでなく、発注元が要望を明確にしないため、仕上がった製品が必要な品質を満たせないという、外的要因もあり得るとする |
ソフトウェア開発の問題点を解消するためには、なにかと不確定な要素が多いとされるソフトウェア開発プロジェクトを管理可能なビジネスプロセスに組み込むことが必要で、そのために開発主体となるプロジェクトチームと、企業内の企画やリソース管理、経営判断部門との組織的な連携を行なおうというのが、SDOの考え方だ。単なる開発部門内でのプロジェクト管理の枠を超えた、多段階に渡るプロジェクト、リソース管理、生産性向上のための概念とも言えよう。同社ではSDO実現に必要な製品開発を進めるほか、ソフトウェア開発プロセスのコンサルティング業務を手がける米TeraQuest Metrics社を買収するなど、サービス分野での強化も進めている。
同社ではこのSDOを実践するためのツールとして、3段階でのソリューション提供を計画している。
- コード名 Themis(テーミス)
- アナリストや開発者、テスターといった開発プロジェクトチームの役目に応じて最適化された統合プラットフォーム。開発ツール、自動化テストツール、バージョン管理ツールなどを含む。
- コード名 Hyperion(ハイペリオン)
- プロジェクトチームを束ねる上位の管理者(マネージャー)が、プロジェクトの進捗を管理しやすくするためのツール群。
- コード名 Prometheus(プロメテウス)
- 企業の経営陣やより上位の部門長などが、複数のプロジェクトの状況やリソース(人/物/予算)を把握し、経営判断に利用するためのツール。
SDOを実現するために同社が計画している3段階のソリューションロードマップ。現状ではThemisレベルの製品群は存在するが、より上位の管理者からプロジェクトを把握・管理するためのツール群が投入される |
具体的な製品投入時期は明言されなかったが、Themisは2005年前半に発表するとしている。また小手川氏はThemis登場後1~2年のスパンを経て、HyperionとPrometeusが登場すると述べた。