オープニングに表示される「REALTIME ACTION ADVENTURE」の文字。(C)1985,2004 HUDSON SOFT |
「チャレンジャー」は、ナイフ使いのチャレンジャー(主人公)が、女王マリアを救う自称リアルタイム・アクション・アドベンチャー。この“自称”というのは、タイトル表示の前に数秒間「REALTIME ACTION ADVENTURE」と表示されるところからだ。しかし、画面にはスコア表示もありタイムボーナスなども採用されている事を考えると、アドベンチャー要素のあるアクションゲームというのが正しいジャンルかと思う。
ゲーム中のステージは全部で4つ。列車に飛び乗り屋根を伝って車内に入り込むシーン1。100画面にも及ぶステージの中でアイテムを探しながら進むシーン2。噴水を足場に、洞窟の奥にある3つの財宝を集めるシーン3。そして、悪の親玉“ドン・ワルドラド”が待ち受けるシーン4だ。
「チャレンジャー」が画期的だったのは、これらのシーンごとにゲームのスタイルが大きく変わる点だ。シーン1は横スクロールアクションだが、シーン2では全方位スクロールのトップビューシューティングに切り替わる。一粒で何度もおいしいゲームだったのだ。また、100画面もあるワルドラド島を移動し、シーン2とシーン3を交互にプレイしながらアイテムを集め、ボスのいるシーン4までたどり着く流れは、当時としては非常にドラマチックな展開だった。しかし、100画面のフィールが無駄に大きかったのもまた事実。敵はアバウトに配置され、かつ目先の敵には反射に近い俊敏さで襲ってくるため、ゲーム性が非常に薄かった。革新的なゲームシステムでありながら、なんともはやなゲームバランスだったのだ。
また「ゼビウス」で火のついた“裏技ブーム”に乗せられる形で、「チャレンジャー」にも裏技が数多く採用されていた。シーン1では屋根でナイフを投げずに車内まで進むと空飛ぶくじら(名前は“まっとうくじら”)が登場したり、シーン3では左の噴水の上で右を向きながらジャンプすると洞窟が光り出すなど、テクニックの必要とするモノから遊びゴコロのあるモノまで、多くの裏技が採用されている。クリアーが難しかったゲームだけに、ゴールを目指さないで裏技を探して自慢するために長時間費やした人も多いのではないだろうか。
登場する敵キャラがどことなく“何か”に似ている部分も見逃せないところ。主人公の考古学者でかつ冒険家という設定は、どこかイン●ィジョー●ズ風であり、黒ずくめでヘルメットとマントをつけた悪の親玉はどこかダース●イダー風である。また、列車から「HELP」と叫ぶ王女マリアは、そのお団子頭がレ●ラ姫と重なるところもある。「チャレンジャー」が1985年発売ということからも、これらのキャラクターが当時の大ヒット映画をモチーフにしているのは確実と言えそうだ。
「チャレンジャー」は、当時としてはかなり野心的なゲームシステムでありながらも、いま冷静に振り返ってみるとなんともいい加減なゲームだったと言える。文字どおり“チャレンジャー”なゲームだったのだ。