液晶は必要最低限の品質確保に留まる
今度は液晶モニターの表示品質を見てみよう。率直に言って、この点に関しては旧モデルからの改善はほとんど見られない。モニター検証用の画像をフルスクリーン表示すると、色の境界で発生する擬似輪郭が見られるほか、輝度の低さも目立つ(写真)。パワーブックの液晶と比べても、やはり輝度が低い。
もちろん、ウェブページの閲覧やメールの送受信などの一般的な用途ならば視認性は十分であり、パソコンとして使ううえで何ら問題はない。ただし、DVDビデオの観賞では暗いシーンなどが見えづらくなることもあり、少々不満が残るのも事実。
処理性能ではパワーブックに引けをとらなかったiBookだが、液晶の品質に関しては、必要最低限のレベルをキープするに留まっている。このあたりの措置は、低価格化の一因であるとともに、パワーブックとの差別化の一環とも考えられる。
とはいえ、シネマディスプレイやiMac G5の20インチモデルなどに比べると、パワーブックの液晶も決して品質がいいとは言えない。そう考えると、やはりiBookが高いプライスパフォーマンスを実現した製品であることがわかる。
iBook G4 12インチ 正面 | iBook G4 12インチ 45度 | |
iBook G4 14インチ 正面 | iBook G4 14インチ 45度 | |
写真 新iBook G4の液晶を正面と45度の角度から見た状態。写真では輝度が高いように見えるが、実際にパワーブックなどと比べると暗く感じる。また、上下左右の視野角も決して広いとは言えない |
ボディーの強度でもパワーブックより有利
ノートマシンでは、持ち運んで使う際の使い勝手、すなわち機動性も重要なポイントとなる。新iBookは、本体の素材や重量に関しては従来と同じだが、パワーブックを含め、あらためて機動性を評価してみよう。
iBookのポリカーボネートボディーはキズこそ付くものの、アルミ筐体のように長期使用で凹みやゆがみなどが起こる心配がなく、強度面で有利だ。特に12インチモデルは、同サイズのパワーブックよりわずかに重いとはいえ、少々のラフな扱いにも堪える点は魅力。あとはBTOでBluetoothを内蔵すれば、非常に優れたモバイルマシンになり得る。一方14インチモデルは、パワーブックの15インチモデルよりやや重い程度。可搬性の点では劣るものの、バッテリーの持続時間では抜きん出ており、その点ではモバイルユーザーには心強い。
PBを選ぶ理由が一段と少なくなった
ベンチマークテストの結果が示す通り、iBookとパワーブックの性能差は小さく、特にCPU性能を比較すると、両者の差はごくわずかでしかない。どのモデルを選べばいいかは悩ましいところだ。
ウェブの閲覧やメールの送受信といった一般的な用途ではもちろん、スーパードライブを装備したiBookなら、DVD制作などを含む幅広い用途においてパワーブックに引けを取らないほどの性能を備えている。ただ、ビデオメモリーの容量がパワーブックの半分しかない点が気になる人も多いだろう。しかし、GPU自体の性能に大きな差はないことは、テスト結果を見れば明らかだ。
つまり、現状のシステムやアプリケーションを活用するのが目的ならば、iBookで十分と言える。逆に、次期OS Xの「Tiger」や、ビデオメモリーを大量に要求する新作の3Dゲームが「快適に」使えるかという点では、やや不安が残る。
一方、iBookがパワーブックを上回っている点もあるのは見逃せない。バッテリー持続時間がその代表で、持ち歩きをするユーザーには大きな魅力となる。また、ポリカーボネート製のボディーも、少々の衝撃や凹みなどを気にせずに使えるという点では、パワーブックに勝ると言える。
外見などの大きな変化がないため、今回のアップデートは一見地味だが、新iBook G4は、どのモデルも抜群のプライスパフォーマンスを実現している。あえてパワーブックを選ぶ理由は、内蔵モニターの解像度や、入出力ポート類の品揃えをどこまで求めるか、また、前述した「将来性」をどれだけ重視しているかという点に尽きる。そうした点は気にしないというのであれば、iBookを選んで後悔することはないはずだ。
Editor's Conclusion
GOOD
- 価格据え置きのままCPUクロックが向上してパワーブックに迫る性能を実現
- 全モデルがAirMac Extremeカードを標準装備
- PowerBookに対してはもちろん、ウィンドウズノートに対してもプライスパフォーマンスが高い
- 衝撃に強いポリカーボネート製筐体
- パワーブックをしのぐ、最長6時間のバッテリー持続時間
BAD
- FireWire 800、音声入力、DVIなど、パワーブックと比べてポートの種類が少ない
- ビデオメモリーが32メガバイト固定で、次世代OSへの対応など、将来に若干の不安がある
- 14インチモデルでも解像度が12インチモデルと変わらない
- BluetoothがBTOでしか選べない
- 閉じたまま外部モニターで使えない、液晶品質がいまひとつなど、モニター関連の制限が多い
Spec
iBook 12インチ(1.2GHz/コンボドライブ)の主なスペック | |
アップルストア価格 | 12万5790円 |
---|---|
CPU/クロック周波数 | PowerPC G4 1.2GHz |
2次キャッシュ | 512KB |
フロントサイドバス | 133MHz |
メモリー容量 | 256MB(PC2100 DDR SDRAM) |
最大メモリー容量 | 1.25GB |
ハードディスク容量 | 30GB |
ATAインターフェース | Ultra ATA/100 |
光学式ドライブ | コンボドライブ(24/16/24/8/-) |
グラフィックチップ/ビデオメモリー容量 | Mobility Radeon 9200/32MB(DDR SDRAM) |
最大モニター解像度 | 1024×768ドット |
インターフェース | FireWire 400、USB 2.0×2、VGA出力、ヘッドホン出力、イーサネット(100Base-TX対応)、56kbpsモデム(v.92対応) |
無線通信 | AirMac Extreme搭載/Bluetooth対応(オプションで内蔵) |
本体サイズ(幅×高さ×奥行き)/重量 | 28.5×3.42×23センチ/2.23キロ |
iBook 14インチ(1.33GHz/コンボドライブ)の主なスペック | |
アップルストア価格 | 14万6790円 |
---|---|
CPU/クロック周波数 | PowerPC G4 1.33GHz |
2次キャッシュ | 512KB |
フロントサイドバス | 133MHz |
メモリー容量 | 256MB(PC2100 DDR SDRAM) |
最大メモリー容量 | 1.25GB |
ハードディスク容量 | 60GB |
ATAインターフェース | Ultra ATA/100 |
光学式ドライブ | コンボドライブ(24/16/24/8/-) |
グラフィックチップ/ビデオメモリー容量 | Mobility Radeon 9200/32MB(DDR SDRAM) |
最大モニター解像度 | 1024×768ドット |
インターフェース | FireWire 400、USB 2.0×2、VGA出力、ヘッドホン出力、イーサネット(100Base-TX対応)、56kbpsモデム(v.92対応) |
無線通信 | AirMac Extreme搭載/Bluetooth対応(オプションで内蔵) |
本体サイズ(幅×高さ×奥行き)/重量 | 32.3×3.42×25.9センチ/2.7キロ |
iBook 14インチ(1.33GHz/スーパードライブ)の主なスペック | |
アップルストア価格 | 14万7790円 |
---|---|
CPU/クロック周波数 | PowerPC G4 1.33GHz |
2次キャッシュ | 512KB |
フロントサイドバス | 133MHz |
メモリー容量 | 256MB(PC2100 DDR SDRAM) |
最大メモリー容量 | 1.25GB |
ハードディスク容量 | 60GB |
ATAインターフェース | Ultra ATA/100 |
光学式ドライブ | スーパードライブ(16/8/24/8/4) |
グラフィックチップ/ビデオメモリー容量 | Mobility Radeon 9200/32MB(DDR SDRAM) |
最大モニター解像度 | 1024×768ドット |
インターフェース | FireWire 400、USB 2.0×2、VGA出力、ヘッドホン出力、イーサネット(100Base-TX対応)、56kbpsモデム(v.92対応) |
無線通信 | AirMac Extreme搭載/Bluetooth対応(オプションで内蔵) |
本体サイズ(幅×高さ×奥行き)/重量 | 32.3×3.42×25.9センチ/2.7キロ |
BTOオプションの例 | ||
iBookのモデル | 12インチ | 14インチ |
---|---|---|
ハードディスク | 30GB(標準状態) →60GB:9030円 →80GB:1万8060円 |
60GB(標準状態) →80GB:9030円 |
内蔵Bluetoothモジュール | 6090円 | 6090円 |