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日立、“Harmonious Computing”に基づく統合サービスプラットフォーム戦略に関する説明会を開催

2004年12月22日 15時35分更新

文● 編集部 内田泰仁

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冒頭に挨拶を行なった日立製作所執行役専務で情報・通信グループ長兼最高経営責任者の古川一夫氏

(株)日立製作所は20日、“Harmonious Computing”(ハーモニアス・コンピューティング)コンセプトに基づくサービスプラットフォーム戦略に関する説明会を開催し、同コンセプトの現状や今後の展開についての説明や、今年9月に発表したブレードサーバー/ストレージ/ネットワーク/管理ソフトウェアを一体化した統合プラットフォーム製品『BladeSymphony(ブレードシンフォニー)』を用いたデモンストレーションなどを行なった。

統合サービスプラットフォームコンセプト“Harmonious Computing”とは、同社が2002年12月に策定したもので、システムの拡張性と最適なコスト運用による“発展”、ビジネスのスピードアップとコアビジネスへの集中による“共創”、ノンストップでセキュアなビジネス/社会基盤を作る“信頼”の3つをキーワードとする。その後、2003年にコンセプト拡充/強化と『BladeSymphony』の開発を表明、今年9月に『BladeSymphony』の製品発表を行なっている。



情報・通信グループのHarmonious Computing統括センタ長、森伸正氏“統合サービスプラットフォーム”の基本構造

サービスプラットフォーム戦略の解説を行なった情報・通信グループ Harmonious Computing統括センタ長の森伸正氏は、ITシステムは、投資額は大きいが有効活用されているかどうかが疑問、という点が課題だと指摘。その理由としては、オープンなハード/ソフトウェアを組み合わせることにより、システムの自由度は向上しているが、その一方で、システムの大規模化と複雑化が進行し、

  • 迅速な構築/変更が困難
  • 運用/管理コストが増加し、TCOが向上しない
  • システム全体の性能/信頼性/安全性に不安

といったことが生じているためだとしている。同社では、これらの課題に対応するために、「日本のモノ作りの強さ」(森氏)だという“擦り合わせ”の手法を応用し、オープンなハード/ソフトを単純に組み合わせるのではなく“擦り合わせ”つつ組み合わせていくことで、システム全体の最適化を図り、“統合された”サービスプラットフォームを構築していくとしており、これが“Harmonious Computing”の基本コンセプトだという。

『BladeSymphony』の主な特徴と構造“Harmonious Computing”コンセプトに基づくミドルウェア群

このコンセプトに基づいて開発された製品としては現在、統合プラットフォーム製品『BladeSymphony』と、統合システム運用管理ツール『JP1』、Eビジネス基盤/分散トランザクション基盤『Cosminexus』『OpenTP1』、データベース『HiRDB』などのミドルウェア製品群。『BladeSymphony』では、エンタープライズ分野を中心に、エンターテインメント/通信/交通用途など、個人/公共にも適用分野を拡大し、各種ISV製ソフトウェアも含めた統合運用も可能な“統合オープン環境”の実現を目指し、グローバル展開も視野に入れた事業の拡大を図っていくという。一方のミドルウェア製品群においては、ハードウェアやアプリケーションフレームワークとの連携を密にし、ITシステム基盤の統合化を進めるとともに、システムの仮想化/ユーティリティー化を可能とする製品の追加投入も目指していくとしている。

統合サービスプラットフォームのロードマップ“Harmonious Computing”コンセプトの今後の展開

また森氏は、“Harmonious Computing”コンセプトの今後の拡充ポイントについては、“ビジネス”と“生活”に大きく2つに分けて説明。まず、“ビジネス”分野では、変化する環境へのビジネスの即応と継続的なビジネスの発展を実現することを目的に“ビジネス発展のサイクル”を作り出すことが重要であるとし、

  • ITを経営資源と捉える経営戦略策定
  • ビジネスとITの統一的モデリングによる整合性評価
  • ビジネスモデルからの一貫したシステム構築
  • IT活用効果の評価と経営戦略へのフィードバック

が可能なソリューションの提供に取り組んでいくという。また、“生活”分野では、サービスやアクセス手段の乱立による複雑さの増大により、業種/業界横断的なソリューションの必要性が向上している状況を踏まえ、「生活とITをつなぐ、“そのとき、その場所、その人ならでは”のシームレスな連携の実現」を可能とする、ユビキタス機器/情報システム/社会インフラなどでの“統合”ソリューションを提供し、“ユビキタス情報社会”を支えていくとしている。

情報・通信グループ、ソフトウェア事業部企画本部長の香田克也氏統合サービスプラットフォームに盛り込まれた技術の概要

続いて登壇した情報・通信グループ、ソフトウェア事業部企画本部長の香田克也氏は、『BladeSymphony』を中心とした統合サービスプラットフォームの技術面の特徴について解説を行なった。同社の統合サービスプラットフォームでは、顧客の求める“迅速なシステム構築”“TCO削減”“高信頼性”の3用件に対して、“業務開発”“運用管理”“製品連携・統合”の3側面からのアプローチで対応し、これらを統合的に実現でき、かつ“環境の変化に自ら即納できる”プラットフォーム製品が『BladeSymphony』だと述べた。同社の推定試算によると、一体化、統合化が図られている『BladeSymphony』の導入により、最大で約40%のIT費用の削減効果が見込めるとしており、これによって顧客は、コアビジネスへの投資など、新たな領域への費用投入が可能になるとした。

デモにも利用された『BladeSymphony』およびミドルウェア群の構成『BladeSymphony』導入によるIT費用削減の試算

香田氏は『BladeSymphony』の特徴について、

  • サーバー/ストレージ/ネットワーク/ミドルウェアの統合化
  • システム拡張の容易化
  • 障害時の可用性向上
  • システム構築/管理の容易化

の4点を特に強調し、以下の4つのデモンストレーションを交えて、実際の『BladeSymphony』の運用の実例を紹介した。なお、デモに用いられたシステムは6ブレード構成で、それぞれのサーバーブレードは、ウェブサーバーおよびアプリケーションサーバーに3基、データベースに1基、拡張用予備サーバーに1基、リカバリー専用ノードに1基が割り当てられていた。

システムスローダウンからの自律回復
デモ用の『BladeSymphony』のサーバーブレードの1基に障害が発生するというシナリオ。管理機能がタイムアウトを検知すると、ロードバランサーが自動的に業務振り分けを停止および他のサーバーブレードに一時振り分けを行なう。その間に障害が発生したサーバーブレードを自動的に強制再起動し、復旧後再び業務の振り分けが再開される。
システム障害に対応する待機サーバーの共有化
システム内で稼動する複数の実行系サーバーの代替を1台のサーバーブレードで対応するというシナリオ(一般的には1つの実行サーバーに対して1台の待機サーバーを用意する)。1基のブレードに障害が発生した際、それを自動検知して、処理中のトランザクションをリカバリー専用ノードがトランザクション情報を読み込んで代替して解決する。
負荷状況に応じた追加リソースの動的配備
負荷が高まったことを検知し、拡張用の予備リソースを適宜投入するシナリオ。ロードバランサーの変更、追加したサーバーへのOSなどの配布、ストレージの設定と割り当てを一括で行なう。
システムを停止しないセキュリティーパッチ適用
システムの運用、サービス提供を中断することなく、各ブレードに対してセキュリティーパッチを適用していくシナリオ。各ブレードに対してパッチを配信すると、ロードバランサーが自動的に1基ずつサービスの閉塞/切り離しを行ない、パッチを適用、アップデートが完了すると再起動とサービスの起動が行なわれる。アップデート処理中は稼働中のサーバーブレードが業務を代行し、サービスを利用しているユーザーにはパフォーマンスなどの影響をほとんど与えないとしている。

この日の説明会とデモンストレーションが行なわれた会場は、東京・品川にある同社の“ハーモニアス・コンプテンス・センタ”。“Harmonious Computing”コンセプトの具現化を目的に掲げた施設で、『BladeSymphony』などのシステムのデモ展示と実稼動や、評価/検証、コンサルティング、セミナー/研修の開催などの業務が行なわれているという。また、同施設に設置されたハード/ソフトウェアを利用し、異プラットフォーム環境での検証やパートナー企業への施設提供、日立グループの海外拠点に設置されている同様の施設との連携なども可能。デモに利用された『BladeSymphony』も、この施設内のサーバールームに設置されたもの。

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