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【SAP TechEd '04 Vol.3】日本HPがSAP MDMマスターデータ管理・導入ノウハウ事例を紹介

2004年12月03日 21時54分更新

文● 編集部 小板謙次

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11月30日から2日まで3日間にわたって開催された“SAP TechEd '04”では、120ものセッションが用意されていた。これらセッションは大きく“SAP NetWeaver統合・開発”“SAP NetWeaverライフサイクル管理”“ハンズオン”に分けられており、SAP関係者やメーカー担当者がテクノロジーや導入事例について説明を行なっていた。ここでは、そんなセッションのなかから、2日に開催された日本ヒューレット・パッカード(株)による顧客への導入事例のセッションを紹介しよう。

コンサルティング・インテグレーション統括本部製造本部製造ソリューション本部の原聡志氏
コンサルティング・インテグレーション統括本部製造本部製造ソリューション本部の原聡志氏

同社が今年の夏から導入に取り組んだのはSAPのMDMとXIだ。MDMとはMaster Data Managementの略で、システムがデータベースとして保持しているマスターデータをさまざまなシステムから取得し、ひとつに統合してクリーニングするもの。異なるシステムに存在するマスターデータを管理する。XIはExchange Infrastructureの略。異種環境のもとででプロセスの誘導や自動制御が可能。SAP以外のアプリケーション同士を連携させることもできるものだ。

システムを有機的につなげたり、マスターを統合したりする基盤が必要
システムを有機的につなげたり、マスターを統合したりする基盤が必要。これをMDMとXIで対応する

説明にあたったコンサルティング・インテグレーション統括本部製造本部製造ソリューション本部の原聡志氏は「企業のシステムを見てみると事業管理、経営管理などの階層があるが、これらを横断することではじめて、変化対応力を持った強い企業を作ることができる」と話した。とはいえ企業ひとつをとってみてもERPをはじめとした既存のレガシーシステムがたくさんあり、組織もばらばらだ。そこで重要になってくるのがシステムを有機的につなげたり、マスター統合を行なうための基盤づくりだ。

同社がポイントとしたのは以下の4点

(1)マスターのコードの集中管理
各拠点の違い、部署の違いなどでも品目型番が違っていたりする。ここを集中管理する必要がある
(2)データ精度向上統合の仕組み
ひとくちに統合管理するといっても、すぐに統合できるわけではない。そこを業務をまわしながら徐々にデータの統一を図っていくことが必要
(3)データ統一基盤
マスターコードを使ってシステムからシステムへ同じコード体系で引渡しを行なう仕組みが必要だ。これにより、システムがすべて有機的につながり、あたかもひとつのシステムであるかのように動く
(4)データの蓄積
上記3点でデータが統合されマスターもひとつになる。そこではじめてデータの蓄積を行なって、分析が可能となる。

これらを実行する上で、MDMとXIにはいくつかのメリットがあったと原氏は話す。たとえば営業部門では、ある製品コードに関してAであったものが生産拠点のほうではBとなっている場合がある。そのため、在庫がどれだけあるか把握しにくいといったケースがあるが、MDMにはマッピング機能があり、複数のマスターコードに対して同じものか違うかを分析可能となっている。また、顧客側で不整合なデータを自動的に修正・整備することができず、トランザクションデータとの連携が難しいというケースが考えられる。これに対しては、MDMのマッチング機能が有効だ。マッチング機能ではコードとコードの整合性をとり、同じマスターと違うマスターを判断し、運用上グルーピングしたり分けたりする仕組みがあるという。このほか、ある条件に沿ったマスター配信を行なう際に、メンテナンスしたマスターの結果を各レガシーシステムに配信する必要がある。あるAというシステムにはある条件に沿って渡す、別のシステムには別の条件で渡すといったことが必要だが、XIにはBPM(ビジネスプロセスマネージメント)機能があり、あるビジネスロジックにのっとってプロセス管理をすることが可能だ。

MDM、XI採用のメリット MDM、XI採用のメリット
MDM、XI採用のメリット

さらに氏は、開発のポイントとして、どういったマスターを定義するか、データモデルの定義を行ないながら何回か繰り返すプロトタイプアプローチが効果的だったと話した。

開発の流れ
開発の流れ

データモデルの定義、MDMの標準マスターの拡張、独自マスターの定義、システム情報の定義、アダプター定義など、それぞれについて技術的な説明を行なっていった。たとえばMDMの拡張定義では、項目拡張ウィザードで必要な拡張項目を追加し、簡単に実際にテーブルのほうに反映されるようすや、MDMのポータル画面で視覚的に確認可能なようすなどが紹介されていった。

氏は今回のMDM、XIの導入によってマスターの集中管理におけるTCOの削減、マスターの精度向上、システム結合によるデータ可視化の仕組みの実現といった効果を挙げた。

MDMの標準テンプレートを利用してワークフローに様々な定義を組み込むことが可能
MDMの標準テンプレートを利用してワークフローに様々な定義を組み込むことが可能
XIのマッピング定義画面
XIのマッピング定義画面

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