このページの本文へ

デル、SAPの中小/中堅企業向けERP『SAP Business One』の提供を開始

2004年11月29日 23時35分更新

文● 編集部 内田泰仁

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

デル(株)は29日、中小企業向け市場における販売強化策の第1弾として、SAPジャパン(株)が中小/中堅企業向けERPパッケージ『SAP Business One』の提供開始と、同製品の“短期導入パッケージ”の提供やサポート体制の整備について発表した。製品は同社のウェブサイトからオーダーすることが可能で、今回の製品により、中小/中堅企業に向けて業種やニーズに応じたモデルを低コストで提供するとともに、システム導入期間の短縮化を実現するとしている。

デルによる『SAP Business One』提供の概要デル代表取締役社長の浜田宏氏(右)とSAPジャパン副社長の関谷泰朗氏(左)

SAPジャパンの『SAP Business One』は、大規模企業向けERPパッケージ『mySAP ERP』を中小/中堅企業向けに製品化したもので、デルでは、この『SAP Business One』と同社のサーバー製品とを組み合わせたソリューションを、中小/中堅企業に向けて提供していくという。ソリューションの購入は、同社のストレージ製品や、同社の技術コンサルティング部門“デル・プロフェッショナル・サービス”による構築サービスなどとの組み合わせも可能。

“Dell SBO短期導入パッケージ”のコンセプト“Dell SBO短期導入パッケージ”の製品ラインナップ
同社エンタープライズ事業本部ソリューション本部長の多田和之氏

さらに同社では、同ソリューション導入期間の短縮を図るパッケージ“Dell SBO短期導入パッケージ”の販売も、同社の専用ウェブサイト“Dell SBOオンライン”(http://www.dell.com/jp/SBO/)で行なう。短期導入パッケージは、同社のEMT64対応Xeon搭載のIAサーバー“PowerEdge”シリーズと『SAP Business One』を組み合わせた製品で、最短2ヵ月でのシステム導入が可能だという。製品の概要を説明した同社エンタープライズ事業本部ソリューション本部長の多田和之氏は、短期導入パッケージでは「(『mySAP All-in-One』に比較して)導入期間は1/3から1/5に短縮でき、導入コストはゼロが1個少なくなる」と述べた。

短期導入パッケージでは、業種別に最適化したパッケージの販売も順次行なう予定で、その第1弾として、ベーシックな構成の“Dell SBO短期導入パッケージ:基本モデル”と、パーソナル情報システム(株)との協業により開発したという金融/保険業向けの製品“Dell SBO短期導入パッケージ:金融・保険業モデル”が発表されている。これらの短期導入パッケージには、ハードウェア、ソフトウェアライセンスに加え、コンサルティングおよび導入サービスが含まれ、金融・保険業モデルには、業種に最適化したアドオン開発プログラムなどが含まれるという。両パッケージの価格は、基本モデルが1575万円から、金融・保険業モデルが2079万円から。

また、今回の『SAP Business One』販売開始に伴い、システム構築のためのアライアンス強化や、選任チームによるサポート体制強化も進めていくという。アライアンスについては、“デル・プロフェッショナル・サービス”のパートナーの拡充を図り、新たにパーソナル情報システム(株)を『SAP Business One』のシステム構築のためのパートナーに加わっている。サポート体制の面では、『SAP Business One』システム構築のための専任チームを、同社中小企業向け営業部門内に新たに編成。同チームは、“デル・プロフェッショナル・サービス”やそのパートナー企業と連携して、システムの構築や設計を支援していくという。



同社代表取締役社長兼米デル社北アジア地域担当副社長の浜田宏氏デルの法人/公官庁/教育機関/医療機関向けの営業体制

同日に行なわれた記者説明会では、新ソリューションの解説のほか、同社の中小/中堅企業向けビジネスの戦略などについての説明も行なわれた。会の始めに登壇した同社代表取締役社長で米デル社の北アジア地域担当副社長の浜田宏氏は、同社の中小/中堅企業向けの取り組みについて、「中小企業のお客様に対して、すべてダイレクトでビジネスを行なっている(日本国内)唯一のベンダー」であると述べ、競合他社に対する優位性をアピールした。

ビジネスセールス本部本部長の天野総太郎氏中小/中堅企業向け“直販”のメリット中小/中堅企業向け事業の実績推移

また、事業戦略を説明したビジネスセールス本部本部長の天野総太郎氏は、同社の中小/中堅企業向けビジネスの概況について解説し、従来のクライアント製品やエントリーモデルを中心としたサーバー/ストレージ製品の好調な売れ行きに加え、中小/中堅企業におけるERPやデータベースの導入事例の確保、パートナー企業のソフトウェア+同社のサーバー/ストレージ製品+設置/サポートサービスのパッケージの拡販なども進展しているとした。今後の展開としては、現在エントリークラスが中心となっている中小/中堅企業向けのサーバー販売について、今回の『SAP Business One』の提供開始に加えて、ミッドレンジ~ハイエンドのIAサーバーおよびストレージの販売や、ハード/ソフト/サービスを組み合わせたソリューションの強化を進め、中小/中堅企業ユーザーに対して、より高度なソリューションを提供するとした。

SAPジャパンの副社長、関谷泰朗氏

また、この日の説明会には、『SAP Business One』の提供開始に伴って協業体制の強化が行なわれる、SAPジャパンの副社長、関谷泰朗氏も出席。同氏はデルについて「プラットフォーム分野において急成長を続ける企業」と評し、ダイレクト販売モデルによる中小/中堅企業向けのソリューション販売を展開しているデルとのパートナーシップ強化により「従来のSAPとは違うマーケットを狙った製品」である『SAP Business One』および中小/中堅企業向け製品の販売戦略の強化を図りたいとした。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン