レスポンスの向上で
さらに快適な撮影感を
写真3 特徴のバリアングル液晶は今回も装備。サイズが2インチに大型化した。バリアングル液晶を左に開いて、ちょっと傾けた状態のカット。 |
画像処理エンジンも改善されており、起動時間やズーム速度、AF速度などかなり高速化しているほか、9点測距AFやマクロ機能なども強化されている。また、目新しい機能としては、シャッター速度優先や絞り優先モードを利用中に、適正露出が得られないほど露出オーバー/アンダーなシーンでは自動的に設定したシャッター速度や絞り値を変更する「セーフティシフト機能」が加わった。
写真4 バッテリは付属のBP-511Aのほか数種類に対応。7.2V/1390mAhと高容量なものになっている。記録メディアはCF TypeII。 |
実際に撮影してみると、従来機より大幅に動作速度の上がったG6はかなりキビキビと撮れるのが気持ちいい。同社デジタルカメラには姿勢センサによって縦位置撮影であることをカメラが自動的に判断してAE/AF制御を行うが、AF点が9点となったこともあって縦位置撮影での合焦ミスはさらに少なくなったようだ。広角35mmからの4倍ズームレンズはワイド側の開放F値2.0と明るく、使い勝手がいい。これはG1以来貫かれたポリシーなのだという。撮れる絵は、解像感は高いもののノイズは少なく、鮮やかながら不自然さの少ない色作りも好感が持てる。
全体を縦480ドットにリサイズ(縮小)したもの。 | 中央部を640×480ドットでトリミング(切り抜き)したもの。 | |
サンプル1 明るい空を背景に建物をやや逆光ぎみに撮影。空のグラデーションがきれいに出ている。ただし、建物と空の境界部分にかなりハッキリとした色収差が見られるのは残念(写真左手前の柱と白い空の部分に注目)。条件的に厳しいこともあるが撮影時には注意したい。 |
不満があるとすると、やや高級感に欠けるきらいのあるボディ質感だろう。四角くなったボディや大型化したグリップのため、手に持った感じではニコンの「COOLPIX 5000」シリーズやオリンパスの「CAMEDIA C-5060」シリーズに似た印象となったのだが、シルバーのボディカラーに加えてあっさりとした表面処理のおかげで重厚感がなく、上記2機種やG5に比べると安っぽい感じは否めない。
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また、ラインナップ内での位置付けも少々微妙になりつつある。Gシリーズは「PowerShot」のフラッグシップの座を長らく占めてきたが、同シリーズの最上位モデルを担う機種として「PowerShot Pro 1」が発売されている。さらに普及クラスのPowerShot A95は500万画素化し、バリアングル液晶モニタやコンバージョンレンズへの対応など、システム面での拡張性はGシリーズに近づいてきている。もちろんそれぞれ機能や特徴の差異はあるが、普及機の機能向上とともに「高級機」の差別化が難しくなっているのは確かだろう。
とはいえ、レンズ一体型デジタルカメラでは各社のフラッグシップ機がいずれも高画素/高級機を歌って10万円を超える価格になっており、Pro 1も蛍石レンズや超音波モーターを装備など豪華な仕様となっている。G6は高級化路線に走ることなく高機能を目指しており、今後のハイエンドデジタルカメラにおけるひとつの水準となるだろう。
PowerShot G6の主なスペック | |
製品名 | PowerShot G6 |
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撮像素子 | 1/1.8型原色CCD |
画素数 | 有効710万画素 |
焦点距離 | 35~140mm相当(35mmフィルム換算) |
開放F値 | F2.0~3.0 |
出力サイズ | 最大3072×2304ドット |
記録メディア | コンパクトフラッシュ(TypeI/II) |
記録形式 | JPEG/TIFF/RAW |
液晶モニタ | 2.0型低温ポリシリコンTFT(約11.8万画素) |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(BP-511Aほか) |
バッテリ寿命 | 約300枚(液晶ON) 約900枚(液晶OFF、いずれもCIPA基準) |
サイズ(W×D×H) | 104.9×72.8×73.1mm |
重量 | 約380g(本体のみ) |