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type X 解体天国

type X 解体天国

2004年11月22日 00時00分更新

文● 編集部 小西利明

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type X 解体天国

ソニー/ソニーマーケティング

オープンプライス

SONY Flash on ASCII
「type X」はこちらから購入いただけます。画像をクリックするとアスキーとソニースタイルのコラボレーションサイト“SONY Flash on ASCII”に移動します。

ソニー(株)が本年5月に“VAIO 第二章”と題して開催した新製品発表会で、驚くべきマシンが参考展示された。7つのテレビチューナーと1TB(テラバイト)のHDDを内蔵し、なんと1週間分のテレビ番組を丸ごと録り貯めるという怪物、それがこの『VAIO type X』だ。参考出品のコンセプトはそのままに、ついに商品化されて販売も始まったtype X。このマシンに秘められた謎、そして内部構造について、開発者へのインタビューを行なった。その驚くべき内部構造について、とくとご覧いただきたい。



松藤偉織(まつとう いおり):type X全体のリーダー、モバイルエレクトロニクス開発本部 3部 3課 シニア・プログラムマネージャー 府中克樹:type X商品企画担当、ITカンパニー 企画部 3課 係長 中村卓也:X3ビデオサーバー設計担当、ITカンパニー 4部 3課
松藤偉織(まつとう いおり):type X全体のリーダー、モバイルエレクトロニクス開発本部 3部 3課 シニア・プログラムマネージャー府中克樹:type X商品企画担当、ITカンパニー 企画部 3課 係長中村卓也:X3ビデオサーバー設計担当、ITカンパニー 4部 3課
冨田隆広:機構設計担当、モバイルエレクトロニクス開発本部 1部 3課 長谷浩史:X3&DoVAIOソフトウェア担当、モバイルエレクトロニクス開発本部 3部 3課 内田依子:システム全体のソフトウェア担当、モバイルエレクトロニクス開発本部 3部 3課
冨田隆広:機構設計担当、モバイルエレクトロニクス開発本部 1部 3課長谷浩史:X3&DoVAIOソフトウェア担当、モバイルエレクトロニクス開発本部 3部 3課内田依子:システム全体のソフトウェア担当、モバイルエレクトロニクス開発本部 3部 3課
インタビューに参加いただいた開発者の方々
[ASCII24] そもそもtype Xというマシンは、どういう経緯でアイデアが生まれて、製品化されることになったのでしょうか。
[府中] 以前から私どもは“AVに強いパソコン”ということで、VAIOシリーズをやってきました。そして将来のAVパソコンはどうあるべきかを議論しているなかで、やはり避けて通れないのが“ホームAVサーバー”。AVを保存しておける場所であり、AVを配信できる能力、高画質で再生できる能力、そういったものを備えたAVサーバーが必要になるだろう、というのが皆の一致した意見でした。ずいぶん前からこういう話をしていたんです。
そしていよいよ、本気で作ってみた方がいいのではないかということで、type Xを作りました。時期的にハイビジョンが本格的に普及し始める時期でもありますし、DLNAに代表されるホームネットワークの世界もこれから花開くだろうと思っています。そのタイミングに合わせて投入しようという趣旨なのです。
type Xはデスクトップパソコンであると同時にAVサーバーであるという所で、新しいコンセプトで商品を投入しようということになりました。今回は名前も“パーソナルコンピューター”という名ではなく、あえて“AVレコーディングサーバー”という名前にしました。「従来とは違うコンセプトです」ということをアピールしているわけです。
[ASCII24] type Xは“パソコン”なんですか?
[府中] パソコンであることに変わりはないのですが、“パーソナル”かと言えばそうではなかったり、“計算する”という意味でのコンピューティングかと言えば、それも違う気もします。パソコンという言葉では言い表わせない面があったので、新しい呼び名をつけました。
[ASCII24] プロジェクトが具体的に始まったのは、いつ頃なのでしょう。
[府中] 足掛けで言うと2年間ぐらいかかっています。“バイオMX”というマシンがAVサーバーというコンセプトを初めて言い始めて、それの開発が終わった段階から、次世代のAVサーバーを考え始めていました。本格的に設計に取りかかったのは1年前になります。

画質を良くするために昔ながらのアナログチューナーを

type Xの心臓部とも言える“X3ビデオサーバー”これが2枚内蔵されている
type Xの心臓部とも言える“X3ビデオサーバー”これが2枚内蔵されている
[ASCII24] それにしても、トリプルチューナーを2台内蔵というのは、いきなり過激な企画ですね。家電系のHDDレコーダーでもダブルチューナー搭載が増えてきましたし、Windows XP Media Center Editionでもダブルチューナーがサポートされた。とはいえ、3+3+1というのは(笑)。
[松藤] 最初はそこまでなかったのですが、途中から「どうせだったら全部いっちゃえ」と。やはり2~3チャンネルくらいだと中途半端なだけで、概念が変わるわけでもなく、今までの録画と何も変わらない。それであれば思い切ってやってしまえと。
[ASCII24] パソコン部分と完全に独立したユニットに録画をさせようというアイデアはどこから決まったのでしょうか。今ではパソコンに複数枚のチューナーカードを差して、同時動かすというアイデアも珍しくはありませんが。
[松藤] 結構早いうちから、「分けて別にしよう」という話でした。パソコン上で全部やろうと思えば不可能ではないのでしょうが、それをやると完全な専用機になってしまい、パソコンとしては使えない。HDDの書き込みを続けているだけで、けっこうなCPUパワーを取られてしまったりする。元々パソコンの概念を捨てた専用機ではないので、パソコンとして使えるのも重要と考えていました。「パソコンとして使いながら、録れます見られます」というのを考えた時に、早いうちから「独立しかないね」と。
[ASCII24] パソコンはどうしても、ハングアップしたり再起動することがありますからね。しかしX3ビデオサーバーは、今までのVAIOで搭載していたMPEG-2エンコーダーカードとはかなり違うものですよね。
[中村] そうですね。チューナーカードという意味では、違いを出さないために同じチューナーとエンコーダーチップを使ってはいます。最初はエンコーダーチップも1つだけではなくて、チューナーごとに1つの計3つを使っていたのです。そこにタイミングよくカナダのViXS Systems社のエンコーダーチップが登場して、画質も低ビットレートでキレイに録れるので、変更して今の形になりました。
[ASCII24] エンコーダー以外のゴーストリデューサーなども、デスクトップパソコンの“VAIO type R”と同じ物ですか。
[中村] はい。パソコン側のチューナーカードにも同じチップが搭載されています。
[府中] チューナー周りは従来のtype Rと同じものですね。非常に評判のいいチューナーなので、そのまま使いました。
[ASCII24] 今では非常に小型薄型化されたデジタルチューナーもありますが、type Xのは従来型のアナログチューナーですね。
[府中] 基板を見ていただければ分かりますが、チューナーが大きくて残りの部分の集積度がものすごく高い。チューナーに画質の良い物をとこだわっていくと、どうしてもこのサイズになってしまう。なので残りにしわ寄せがいって、そこだけノートパソコンのような基板の集積度になっています。
[松藤] チューナー部分って、すごくアナログなところなので、その近くにデジタルの部品があると悪影響を及ぼすなんてことがしょっちゅうあるんです。だからできるだけ切り離してしまえと。今のチューナーはすごく小さいものも出ていますが、やはり受信感度や特性的には、まだまだ昔ながらのアナログチューナーにはかなわない。画質を良くするためには、あまり感度の良くないものは使わずに、昔ながらのアナログチューナーを使っています。X3の基板も10層基板なんです。デジタル回路の部分はこれだけしかないので、この中に収めるのはかなり苦労しました。
[ASCII24] この大きなカードをパソコンの中に2枚も入れるというのは、相当な冒険だったと思いますが。
[松藤] 入れる場所には苦労しましたね。
[中村] とはいえ、チューナーカードを6つ入れるよりは(笑)。

VAIO type X VGX-X90Pの主なスペック
製品名 VGX-X90P
CPU HTテクノロジ対応Pentium 4 560-3.60GHz
チップセット Intel 915P Express
メモリ(最大) DDR2 SDRAM(PC4200) 1GB(最大2GB)
グラフィックス ATI RADEON X600 XT(DDR SDRAM 128MB)
HDD 1TB(パソコン用500GB、X3ビデオサーバー用250GB×2)
光ディスクドライブ DVD+R DL(2層式DVD+R)対応DVD±RW(DVD+R DL 2.4倍速/DVD-R 8倍速/DVD-RW 4倍速/DVD+R 8倍速/DVD+RW 4倍速/CD-R 40倍速/CD-RW 24倍速)
スロット PCI Express x16×1(空き0)、PCI×1(空き0)、メモリースティック×1、CF TypeI/II×1、xDピクチャーカード×1、SDメモリーカード/MMC×1
通信 10/100/1000BASE-T×1、10/100BASE-TX×1
I/O USB 2.0×5、IEEE 1394×2、DVI-I出力端子、D4ビデオ出力端子、光角型デジタル出力×2など
サイズ(W×D×H、スタンドのぞく) 465(W)×160(D)×430(H)mm
重量 約19.5kg
OS Windows XP Professional SP2

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