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サン・マイクロシステムズ、プロセッサー戦略などを取り上げたプレスラウンドテーブルを開催――スケーラブル・システム・グループ担当上級副社長が来日

2004年10月18日 20時31分更新

文● 編集部 内田泰仁

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サン・マイクロシステムズ(株)は15日、都内オフィスでプレスラウンドテーブルを開催し、来日中の米サン・マイクロシステムズ社上級副社長でスケーラブル・システム・グループ担当のデビッド・W・イェン(David W.Yen)氏が、プロセッサー戦略に関する話題を中心に、来場した記者の質疑に応じた。

米サン・マイクロシステムズ社上級副社長スケーラブル・システム・グループ担当のデビッド・W・イェン氏

同氏は、同社のスループット・コンピューティング分野を担当し、プロセッサー、エンタープライズシステムおよびSPARC搭載のボリュームシステムイニシアチブを統一し、製品開発/戦略/マーケティング/業務管理全般を統括している。今回のラウンドテーブルでは、主に今後のUltraSPARCシリーズの展開に関する質疑応答が多数交わされた。

まず、同社のプロセッサー戦略についてイェン氏は、「サンは、(プロセッサーのみ、OSのみを作る企業ではなく)システムを作る企業である」という点を強調、プロセッサー開発においても、同社のOSである“Solaris”シリーズと連動して、ネットワークコンピューティングの拡大に向けた製品展開を進めていくものだとしている。

システムラインナップの基本路線としては、高いパフォーマンスを追及したOpteronを搭載したx86プラットフォーム製品と、スケーラビリティーと堅牢性を追求したSPARCプラットフォーム製品の2方向がベースとなる。現時点でのSPARCプラットフォーム向けのプロセッサーとしては、ミッドレンジ~ハイエンド用ではUltraSPARC III後継であるUltraSPARC IVおよび90nmプロセスルールで製造されるUltraSPARC IV+、ローエンド向けには、UltraSPARC IIIiおよび今後登場する90nmプロセスルールで製造される後継製品、と切り分けられるという。

CMT技術の基本的な考え方。1つのスレッドがメモリー待機状態に入っている時間に、別のスレッドでは命令を処理。待ち時間に別の処理を行なうことで、処理効率の向上を図る(写真はSun Fire V490/890の発表会より)
今後のプロセッサー展開は、まず、2006年から2008年にかけて、富士通との協業で進行するAPLサーバー向けのプロセッサー(SPARC64 Vベース)を、また2006年には、ネットワーク集約型プロセッサーである開発コード名“Niagara”(ナイアガラ)を、“チップマルチスレッディング”(CMT)技術を搭載する第2世代製品としてリリース、これらに続いて、データ集約型プロセッサーのコード名“Rock”(ロック)をリリースしていくという。“Niagara”はCMTに加えて、2つのコアを内蔵するデュアルコア構造になり(将来的には8コア/各4スレッド実行で合計32スレッドを同時処理になるという)、“Rock”はCMT搭載・マルチコア(現時点でいくつのコアを持ち、いくつのスレッドを同時に実行するかは明らかにされなかった)構造になるという。

現在のUltraSPARCシリーズとの基本デザインの考え方の違いとして、UltraSPARC III/IVは汎用性が高いプロセッサーで、軽い処理から重い計算までをこなすものとなっているのに対し、“Niagara”や“Rock”では、ネットワーク集約型やデータ集約型というように、「ターゲットに合ったプロセッサーデザインを行なう」としている。これにより「(プロセッサーのランク付けは)ローエンド=安い、ハイエンド=高いというだけではなくなる」として、用途に適したプロセッサー選択が重要になると述べた。

このほか、“Niagara”および“Rock”の特徴としては、質疑応答の中で以下のものが挙げられた。



  • 命令セットはUltraSPARC IIIと同様。過去のソフトウェア資産を今後も生かせるデザイン
  • メモリーコントローラーをプロセッサー上に統合。ただし、メモリーコントローラーを内蔵しない(チップセット側がメモリーコントローラーを持つ)タイプも用意し、最大メモリー容量やシステムの柔軟性を持たせる
  • “Niagara”では、ネットワークI/Oをプロセッサー上に統合(第1世代製品ではGigabit Ethernet、第2世代製品では10Gigabit Ethernetに対応)。このほか、セキュリティー機能として、ワイヤースピードでの暗号通信機能を持つ(プロセッサー上で暗号化されたデータを符号化。対応する暗号方式については「最先端のもの」とのみコメント)
  • “Rock”を用いたプラットフォームでは、ネットワーク機能を“Niagara”で補完することも検討
  • “Rock”での追加的拡張により、Javaコードの実行スピードがさらに向上

変わった話題としては、UltraSPARCシリーズの命名規則や、開発コード名の由来に関する質問も取り上げられた。まず、UltraSPARCシリーズのナンバリングの規則については、“奇数番”(UltraSPARC IIIなど)は新しいパイプラインが設けられるような大幅な仕様の変更のとき、“偶数番”(UltraSPARC IV)の場合は前モデルをベースとした強化のときに使われるという。同社は正式に『UltraSPARC V』としてアナウンスしていた次世代プロセッサーのリリースをキャンセルしているが、APLサーバーのプロセッサーは「世代としては“V”に相当」という。このことから、APLサーバー向けプロセッサーはUltraSPARC III/IV世代からは大きな変更が行なわれることがわかり、同氏によると、ソフトウェアの後方互換性を確保しつつ、新しい命令セットの追加などを行なうという。

開発コード名の“Niagara”の由来は、「流れが集まって世界最大の滝になる」というイメージとネットワーク集約型プロセッサーとのイメージを重ねて命名したという(ちなみに、同社最初のマルチコア製品となる予定だったUltraSPARC Vは、開発コード名は“Gemini”(双子座の意)だった)。“Rock”についても、これと同様に機能/スペックに由来した命名が行なわれているというが、なぜ“Rock”というのかを明かすのは「まだ早い」とし、詳細は明かされなかった。なお、“Niagara”“Rock”はいずれも“ファミリー”の名称で、それぞれ数製品ラインナップされることになるという。

他社のプロセッサーにはない、UltraSPARCシリーズならではの利点を問われたイェン氏は、「たしかに同じこともできるだろう」としたものの、「コンピューターで重要なのはOS」として、OSおよびプロセッサーの開発部門の連携に利点があると考えていると述べた。さらに、「インテルは、さらにプロセッサーを強化していったとき、もっといいOSを探さなくてはならないのかもしれない」とも述べ、OSとプロセッサーの開発を連動させつつ行なっている強みを強調した。

また、今後の製品開発/展開については、「テクノロジーを証明するために製品を作るわけではなく、ボリュームを出して売ることが重要」と述べると共に、「取捨選択はしているが、アイデアが足りなくて困ったということはない」と意気込みを語った。

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