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コンテンツ海外流通促進機構、海外の海賊版を駆逐するためのロゴマーク“コンテンツ海外流通マーク”を諸外国で商標登録出願

2004年09月03日 20時24分更新

文● 編集部 美和正臣

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コンテンツ海外促進機構(CODA)は2日、海外で販売される正規品と海賊版を区別するためのロゴマーク“コンテンツ海外流通マーク”を作成し、諸外国で商標登録の出願をしたと、都内のホテルで会見を行なった。ロゴマークを商標登録することにより、諸外国で著作物の権利行使をしやすくするのが狙い。このロゴマークは、海外で販売される日本の音楽CD/映像DVD/ゲームソフト/出版物/玩具/インターネットオンラインによる電子出版物・映像・画像などに、シールや印刷、ハードサブ(画像や映像に文字などを埋め込んだもの)などの形で提供される予定。対象地域は、海賊版の被害が大きい中国、香港、韓国、台湾、米国、EU諸国。

“コンテンツ海外流通マーク”を発表する(社)日本映像ソフト協会会長の角川歴彦氏((株)角川ホールディングス代表取締役社長)これが“コンテンツ海外流通マーク”。ロゴの周辺部には“CONTENT JAPAN”と表記されている。デザイン案では、桜や富士山をモチーフにしたものも提案されたが、コンテンツホルダーから「ダサいからやめてくれ」との声が出てきたため、このデザインが考案されたという

まず(社)日本映像ソフト協会会長を務める(株)角川ホールディングス代表取締役社長の角川歴彦氏が、アジア地域での海賊版被害の実情について説明した。角川氏は手に海外で入手した海賊版ソフトを持ちながら「日本では絶対に売っていない“スタジオジブリ”のコンテンツを1まとめにしたものなど、著作権を無視したものが無許可で売られている。映画や音楽、ゲームの違法コピーが、日本のコンテンツホルダーの海外進出の阻害要因になっている。統一した商標権を盾に、日本のコンテンツを守っていくと」と語った。CODAの企画委員長児玉昭義氏は、中国での海賊版の割合を引き合いに出し「文化庁の調査によれば、中国で流通しているコンテンツ全体の84%が海賊版との結果が出た。内訳はゲームが92%、音楽CDが67%、映画ソフトが89%、テレビ番組が88%」と説明。アメリカの調査会社の結果も同等の数字が出たとし、海賊版がいかにひどく横行しているかを紹介した。

海外の海賊版を手に、いかに日本のコンテンツホルダーが被害を受けているか強調する角川氏中国での被害状況を解説するCODAの企画委員長 児玉昭義氏

また、CODA企画委員日本ソフト協会業務部部長代理の後藤建郎氏は、商標登録の出願には2つのメリットがあると説明。1つは権利行使を行ないやすくするという側面だ。従来、コンテンツホルダーが違法なコンテンツを見つけて“著作権の侵害”で海外の当局に取り締まってもらうには、「どこで生産していて、どういう流通で流布しているのかを実証」(同氏)しなければならなかった。これは企業側に莫大な調査費用がかかるため、何もできないのが実情だった。ところがロゴマークを各国で商標登録することにより、“商標権の侵害”という、当局が“著作権の侵害”よりも動きやすい法律で権利の行使ができるようになる。2つめは、品質の保証だ。ロゴマークが付いていることにより、“日本ブランド”の本物の製品として信頼を得られるという。

ロゴマークを商標登録することによるメリットを説明したCODA企画委員日本ソフト協会業務部部長代理 後藤建郎氏後藤氏によれば、商標権の行使は、海外の海賊版に、日本政府、商標権者、コンテンツホルダーの3つがスクラムを組んで当たるという

氏は権利行使の手順として中国での例を挙げ、対処方法を紹介した。まずロゴマークをそのままコピーして販売している海賊版の場合には、「これは商標権侵害ということで“商標法違反”となる。“AIC(工商行政管理局)”に申し立てを行ない、処分してもらう。この部署は対応が早い」と説明。ロゴマークを付けていない場合には「明らかに海賊版と分かるので、こちらは“製品品質法違反”で“TSB(質量技術監督局)”に処罰してもらえる。“NCA(国家版権局)”に“著作権法違反”で処罰してもらうこともできるが、こちらは対応が遅い。現在、文化庁が二国間協議しており、改善されるだろう」と語った。氏によれば、今回のロゴマークの商標登録は「海賊版の製造元や販路を叩くためのもの」とのこと。

中国を例にした商標権の権利行使の流れ。著作権で権利行使をするよりも、「政府当局が動きやすくなる」(後藤氏)会見では海外で発売されている海賊版が展示されていた。よく見ると、レーベルなどの作りが粗い気になるものを発見! キムタクの全集らしいのだが……ジャケットの写真は誰?

会見後、記者からロゴマークがそっくりコピーされた場合の対処方法について質問が出た。後藤氏は「今回は最初の段階として、“明らか”な海賊版を駆逐することにある。ロゴマークが破られた場合には、DNAインク(DNAを複製し、種々のタンパク質や酵素と混ぜ合わせてインクにしたもの)やホログラムシール、特殊インクなどで対応していきたい」と語る。また、現地での調査などの人員はどうするのかとの質問には、「アメリカなどのコンテンツホルダーが雇っている権利行使部隊が海外にはいる。そういったところにアウトソーシングする」と説明した。なお、このロゴマークの詳細は年内にCODAで決定し、諸外国で認可され次第、海外で使用され始める予定。ロゴマークの使用は、CODAの加盟企業ならば無料で使用可能。

“コンテンツ海外促進機構(CODA:Content Overseas Distribution Associate)”は、2002年に文化庁と経済産業省が関係企業に呼びかけて設立した民間組織で、現在会員数は19団体20社。日本貿易振興機構(JETRO)の経済分析部知的財産科が運営する。著作権関係団体やコンテンツ産業の海外進出を手助けするほか、海外における海賊版対策などを業務としている。

問い合わせ先:日本映像ソフト協会業務部 部長代理 後藤(TEL.03-3542-4433)

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