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【ワイヤレスジャパン2004 Vol.10】両雄の“3D対決”がここでも!?――ATIと技術提携したクアルコム、エヌビディアが携帯/PDA向けグラフィックスチップを紹介

2004年07月24日 14時53分更新

文● 編集部 内田泰仁

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すでに一昔前の家庭用ゲーム機並みのスペックを実現している携帯電話だが、“ワイヤレスジャパン2004”の会場では、近い将来には現在のゲーム専用機に迫る高度な3Dグラフィックス描画が可能な端末が登場するかも!? という予感を抱かせるグラフィックスチップの展示も行なわれていた。

クアルコムブースで稼動していた“MSM7xxx”シリーズのデモデモ画面の拡大映像。3Dで描画されたバイクレースゲームが滑らかに動作中

クアルコム製チップを搭載した3G携帯電話。auの最新機種をはじめ、日本でおなじみの製品が多数並ぶ
12日に発表されたKDDI(株)/沖縄セルラー電話(株)の最新端末に携帯電話向け新CPU『MSM6500』を提供しているクアルコムジャパン(株)/米クアルコム(Qualcomm)社だが、展示ブースでは、3Dグラフィックス機能を搭載した携帯電話/PDA向け“MSM7xxx”シリーズのデモ展示を行なっていた。

“MSM7xxx”シリーズは英アーム社のARM11およびARM9のコア、自社製DSP(2基)、グラフィックコントローラー、ハードウェアコーデックをワンチップ化した製品。ラインナップはWCDMAやGSMなどに対応する『MSM7200』、CDMA2000 1xやCDMA 1xEV-DOなどに対応する『MSM7500』、CDMA2000 1xやCDMA 1xEV-DO、WCDMA、GSMなど多くのプラットフォームに対応する『MSM7600』の3製品。現在は開発中で、2005年から2006年にかけて量産出荷されるという。

注目のグラフィックスコントローラー部分は、カナダのATIテクノロジーズ社との提携により開発されたもので、3D処理性能の目安としては秒間300万~400万の三角形処理可能だという。展示されていたデモ環境では、QVGA表示の液晶ディスプレーで滑らかな描画で3Dグラフィックスのバイクゲームが動作していた。APIとしてはOpenGL ES 1.0/1.1、JAVA JSR 184をサポートする。このほか、600万画素クラスのデジタルカメラや秒間30フレームでの動画録画/再生をサポートし、GPS機能やMP3/AAC/aacPlus形式の音声再生機能も装備する。

ブースでの説明によると、端末全体のパワーがかなりハイスペックになる(=コストも高くなる)ため、現時点では、低価格化が進む日本市場の携帯電話というよりも、PDAやスマートフォンといった、普及タイプの携帯電話よりも欧米での需要が中心となる高性能で高価なモバイルデバイスへの搭載が主になるのではないかという。しかし、日本の携帯電話のスペック向上は目覚しいものがあり、現時点ではそのように予測していても、実際にチップの出る2006年にはどうなっているかは予想が難しいとも述べている。



エヌビディアブースでのデモ。残念ながら実際のチップを使ったデモはまだとのことだが、性能を再現したデモで遊ぶことができたこちらは空戦モノのフライトシミュレーター

携帯/PDA向けグラフィックスチップ“GoForce”シリーズのロゴマーク
一方、エヌビディア(株)/米エヌビディア(NVIDIA)社は、ブースでは実働デモやサンプルの展示は行われていなかったが、現在量産に向けた最終段階に入っているグラフィックスチップ『GoForce 4000』に続く製品として、3Dグラフィックス機能を搭載した『GoForce 3D』を開発中だという。

『GoForce 3D』は、複雑な変換計算やセットアップ計算を行なってCPUの負荷を低減するジオメトリー・プロセッサーや、プログラマブル・シェーダー、マルチ・テクスチャー、ミップマッピングなどといった、パソコン向けグラフィックスチップでもおなじみの3Dグラフィックス機能を装備。処理性能としては、毎秒2500万ピクセルの描画と、毎秒500万の頂点処理と三角形処理が可能だという。3DグラフィックスAPIは、OpenGL ES 1.0/1.1とDirect3D Mobile、JAVA JSR 184に対応する。チップには、64bitの2Dグラフィックス機能、液晶ディスプレーコントローラー、MPEG-4のエンコーダー/デコーダーなども装備される。また、未使用パイプラインの自動電源切断機能“nPower”を含む各種電源管理機能も搭載し、チップの高性能/高機能化による負荷低減と合わせて、省電力化を進めた製品となっているという。



ブースではエヌビディア製チップを搭載した製品の展示も。残念ながら現状では海外製品がほとんど
日本での展開についてはクアルコムとは対照的に、携帯電話への搭載に向けた動きが主になるだろうとしている。主な理由としては、ハイスペックなPDAの市場が欧米よりも活発ではないこと、日本の携帯電話の進化やの3Dグラフィックス需要の高さを考慮した場合、携帯電話にも3Dグラフィックスの性能を求められると考えられることを挙げている。

なお、近日登場する『GoForce 4000』は、3Dグラフィックス機能こそ持たないものの、JPEG/MPEG-4/H.263ハードウェアコーデック、静止画のデジタルズーム、SDおよびSDIOのインターフェース、液晶コントローラー、640KBオンチップメモリー、電源管理機能などを備えた製品。特に各種コーデックやデジタルズームの搭載は現在の携帯電話の“トレンド”を強く意識したものだ。

展開の方針にやや違いがあり、2005年~2006年にかけて携帯電話がどこまで進化しているかにもよって日本での展開は変わってくると思われるが、携帯電話/PDAの世界でもグラフィックスチップ業界の2大巨頭の戦いが繰り広げられそうだ。チップが出揃った先に、携帯電話自体がどのような進化を見せるか、携帯電話でどのような3Dグラフィックスを活用したコンテンツが登場するか、といったあたりも含めて、今後の動向に注目したい。



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