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東芝、AV機能を特化したノートパソコンの新ブランド“Qosmio”を発表――第1弾として“dynabook Qosmio E10”シリーズ3機種を8月6日に発売

2004年07月22日 23時57分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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“Qosmio”のロゴ
“Qosmio(コスミオ)”のロゴ

(株)東芝は22日、東京・赤坂見附の赤坂プリンスホテルで記者説明会を開催し、TVチューナーを搭載し、Windowsを起動しなくともTV視聴や録画、再生が可能というAV機能に特化したノートパソコンの新ブランド“Qosmio(コスミオ)(※1)”と、その第1弾となるノートパソコンの新製品“dynabook Qosmio E10シリーズ”(3機種)を8月6日以降順次発売すると発表した。製品の詳細については別途レポートするが、ここでは記者説明会の模様を中心に報告する。

※1 Qosmio 新ブランドのQosmioは、Cosmos(“宇宙”を意味する英語)とmio(“私の”を意味するイタリア語)を組み合わせた造語で、“私の宇宙(宇宙的な空間)”を表現し、“ユーザーに身近でかつ無限の可能性(拡がり)を秘めた次世代パソコン”になってほしいという願いを込めたという



取締役執行役専務兼PC&ネットワーク社社長の西田厚聰氏 Qosmioのネーミングコンセプト
取締役執行役専務兼PC&ネットワーク社社長の西田厚聰氏Qosmioのネーミングコンセプト

会場には、取締役執行役専務兼PC&ネットワーク社社長の西田厚聰(にしだあつとし)氏、PC&ネットワーク社PC技師長の真田 勉(さなだつとむ)氏、PC&ネットワーク社PC商品企画部参事の的場 司(まとばつかさ)氏らが出席。新ブランド立ち上げの背景や意気込みなどを語った。

地域別に見るノートパソコンの出荷台数の変遷と予測(IDC調べ) ノートパソコンの出荷台数と平均価格の変遷
地域別に見るノートパソコンの出荷台数の変遷と予測(IDC調べ)ノートパソコンの出荷台数と平均価格の変遷。出荷台数の伸びに反比例する形で単価の下落が進んだ

最初に壇上に立った西田氏はノートパソコンの市場概況について、「苦戦していた欧州で2003年に出荷比率が33.4%(IDC調べ)に上がった。2008年には日米欧で約50%に成長することが期待できる。私はさまざまな講演会などで、2000年にはノートパソコンのシェアが50%を超えるといい続けてきたが、達成できたのは日本だけだった。8年越しにはなるが、ようやくこれが実現されそうだ」と同社が注力しているノートパソコン市場の高い成長性をアピールした。

東芝が唱える新市場“AVノートパソコン”の位置づけ AVノートパソコンの市場は急拡大すると予測
東芝が唱える新市場“AVノートパソコン”の位置づけAVノートパソコンの市場は急拡大すると予測

その一方、最近の同社のパソコン市場への取り組みについては、「パソコンの平均単価が年々下がっている。その理由はODM(Original Design Manufacture、依頼者のブランドで行なう製品開発)メーカーが“コモディティ商品(日用品)”を作り販売するようになったからだ。東芝は当初から、脱コモディティの商品作りを目指してきたが、ここ数年はそうした気概が薄れ、弱まっていた(編集部注:他社と同様の機能を持ち、低価格を売りにする製品投入が行なわれてきた事への反省を示したものと思われる)。ここで改めて脱コモディティを打ち出して、東芝らしい独自商品を積極的に投入していく。新しい需要と次々に喚起・創出していくことこそ企業に課せられた責務だと考える。長らく超デフレーション(製品価格の下落)との戦いが続いたが、需要創出のためにも新しいセグメントを作る、そういった強い意志を示すことが重要だ」と、今回のQosmioブランド立ち上げの理由を述べた。

社内改革については、「従来別組織であったパソコン直販部隊を国内販売会社に統合し、国内外で約500名の人員削減を行なった。これは人員削減やコストカットが目的ではなく、固定費を効率的に運用するため。同時にパソコンを設計の段階から見直し、採用するマザーボードの種類を減らし、部品点数を削減することで、開発効率の改善と商品戦略の建て直しを図った。具体的には、“Light&Thin(薄くて軽い)”“AVノートPC(Qosmio)”といった戦略商品を投入し、脱コモディティ化を進める」「世界共通のモデル戦略を進め、Qosmioは海外でも販売していく。そのためにNTSCだけでなくPAL/SECAMにも対応する“グローバルTVチューナー”を自社開発したのも戦略の一環。ベースとなる基板設計を共通化し、バリエーションモデルを効率的に開発。青梅工場で量産試作を徹底的に行なって、海外で効率的な(低価格での)量産を行なう。これにより、“シェアと利益、低コストと高品質”という従来は相反すると思われてきた4つの方向性をすべて攻めていく」と生まれ変わった東芝の姿勢を強調した。

Qosmioシリーズ3製品を手にするPC&ネットワーク社社長の西田厚聰氏
Qosmioシリーズ3製品を手にするPC&ネットワーク社社長の西田厚聰氏

最後にQosmioについて、「東芝のAV製品開発部隊とパソコン開発部隊を融合して、高画質化や高音質化に注力した製品だが、決して居間に置くようなTVを置き換えるのが目的ではない。1台でTV/DVD/オーディオ/パソコンの4つの機能を、いつでもどこで利用できるのが一番の特徴だ」と紹介。

「TVチューナー搭載パソコンは全出荷数の38.2%と増えているが、ノートパソコンだけで見ると13.1%にとどまる。日本市場では東芝が28.9%と最も高いが、この新商品で更なる市場拡大を目指す。東芝は初のラップトップパソコン(1985年)、初のノートパソコン(1989年)、カラーノートパソコン(1992年)、Windows 95搭載ノートパソコン(1995年)と、パラダイムシフトを起こしてきた。Qosmioが新たなパラダイムシフトとして時代を変える」と新ブランドの立ち上げに向けた強い決意を示した。

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