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【ワイヤレスジャパン2004 Vol.2】Wi-Fiアライアンス、Wi-Fi認定プログラムの強化策を説明――IEEE 802.11i準拠の“WPA2”や家電分野への展開など

2004年07月21日 21時23分更新

文● 編集部 内田泰仁

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無線LAN製品の相互接続性認定試験を行なっている業界団体、Wi-Fiアライアンスは21日、東京ビッグサイトで開幕した“ワイヤレスジャパン2004”会場内で、今後の同団体の活動内容などを説明する記者会見を開催した。会見では、新しいセキュリティー規格の認定プログラムへの追加や、認定プログラムの展開範囲の拡大、試験施設の導入などといった施策が報告された。会見でプレゼンテーションを行なったのは、Wi-Fiアライアンスのマネージング・ディレクター、フランク・ハンズリック(Frank Hanzlik)氏。

Wi-Fiアライアンスのマネージング・ディレクター、フランク・ハンズリック氏

Wi-Fi認定製品の出荷台数を示したグラフ。台数比率的にはコンシューマー向け製品が大多数を占めており、家庭への普及が市場を牽引していると分析を述べている
Wi-Fiアライアンスがこれまでに認定した製品は約1400で、製品認定試験は米国、欧州、アジア(東京および台湾)にある第三者機関で実施している。認定試験では、初回の試験で3製品にひとつ程度の割合で不合格になっており、試験に通らなかったた製品の中には、新技術を用いたものだけでなく、IEEE 802.11b採用製品のような成熟した技術を用いたものも含まれているという。Wi-Fi認定の目的は、カスタマーが相互接続の問題を気にすることなく安心して無線LAN機器を導入できるように「ユーザー体験を保証する」(ハンズリック氏)することにあるというが、実際の販売状況を見ても、Wi-Fi認定を受けた製品のほうが受けていない製品よりも返品率が低いという成果も出ているという。



Wi-Fi認定製品のロゴマーク。サポートする規格に応じて“a”“b”“g”の文字(ロゴマーク右側)が付くWi-Fi認定を受けていない製品で発生する可能性のある問題の例。こういったトラブルを未然に防ぐのがWi-Fi認定プログラムの狙い

Wi-Fi認定プログラムの新しいサポート範囲となる家電機器。「我らの友達、AIBOも対象となる」(ハンズリック氏)
無線LAN規格は、複数の通信規格やさまざまなセキュリティー機能など、当初に比べて複雑になり、普及に伴ってチップセットの製品数やMACアドレス実装が増大していることから、相互接続性の低下という悪影響も考えられるという。また、価格競争の激化が製品品質に及ぼす影響や、家庭/職場/公共アクセスポイントなどでさまざまなブランド、さまざまな規格が混在する状況も考慮すべきだとしている。Wi-Fiアライアンスでは、このような現状においては今後さらにWi-Fi認定の重要性が増すと見ており、認定プログラムの充実と強化に力を入れていくとしている。

規格強化の施策としては、2003年9月にWi-Fi認定のために義務付けたセキュリティー規格“WPA(Wi-Fi Protected Access)”に続いて、9月に“WPA2”の認定を開始するという。WPA2は、大企業や政府機関などを主なターゲットとし、6月23日にIEEE(米国電気電子学会)が認証したIEEE 802.11iをフルサポート(従来のWPAはIEEE 802.11iの一部仕様を導入したセキュリティー規格)したより高度な安全性と拡張性、暗号化技術を持った規格。これに伴い、同団体では、教育/サポートプログラムの実施も予定しているという。なお、WAPはWi-Fi認定の“必須”条件となっているが、WAP2については、現時点ではオプション扱いになり、Wi-Fi認定の必須条件とはならないものだとしている。

また、現在認定製品はノートパソコンとパソコン用周辺機器に集中しているが、家電製品の無線LAN接続に対する需要が、2007年度には現在の水準の5倍に当たる1億5000万ドル(約160億円)に達すると見られていることから、今後は家電製品や電話機器にも対象を拡大し、「市場の本流への進出を図る」としている。家電分野では、音声や動画といったマルチメディア・アプリケーションに対するサポートが必須であることから、同団体では9月より、マルチメディア相互接続性認定を新たに導入し、認定製品は今年のクリスマス時期にも出荷される可能性が高いという。

さらにこれらの規格面での強化に加えて、無線LAN機器の世界的な需要増加に対応するために、認定試験施設の追加導入も実施し、新たに日本、台湾、韓国、ドイツ、スペイン、米国に施設を設けるとしている。

なお、プレゼンテーションでは特に取り上げられなかったが、IEEE 802.11規格やWi-Fi認定要件を超える特性や機能拡張がなされている製品に対しても“Wi-Fi認定要件に定められた性能を阻害しない(既存のWi-Fi認定機器との相互接続性を妨げない)”ことを条件にWi-Fi認定を与えるという拡張策が米国時間の21日付けで発表されている。質疑応答でこの発表について問われたハンズリック氏は、「特にIT業界では他社製品との差別化を図るために、既存規格をベースに各社独自の拡張を図るケースが多く、無線LAN機器でもこの傾向が強まってきている」と背景事情について説明し、Wi-Fi認定要件が定める相互接続性を保障しつつ、各メーカーによる技術や製品の革新や進化を促進したいと述べた。また、次世代の無線LAN規格、IEEE 802.11nへの対応時期についての質問に対しては、現状は仕様の策定中で、Wi-Fiアライアンスでの認定への対応は2年をめどとしているとした。



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