スタジオ撮影、取材ロケ、旅行、結婚式……
撮っても撮ってもまだ撮りたい写真データをいかに確実に保持するか
「撮影した写真データをいかに確実に保持するか」これは、デジタルカメラを使うプロカメラマンの命題である。CFカードに保存された撮影データをどのくらい大事にしているかといえば……
- データは小分けで記録する
- だいたい256~512MBのCFカードを8本携帯して、撮りためていくスタイルをとっている。GBクラスのCFカードも発売されているが、1枚のカードに撮影データを全て記録してしまうと、万が一の事故でカードが破損した場合、それまでの仕事がすべて無駄になってしまう。
- 3ステップのバックアップ
- (1)撮影終了後にパソコンのHDDにコピー
- (2)撮影依頼主へ納品するデータをCD-Rに保存
- (3)自分用のバックアップとして別のCD-Rへ保存
- ──という3ステップを経ない限り、メモリーカードから絶対に消去しない。
といった、日ごろのバックアップ術を紹介すれば、イメージがわくだろうか。気持ちとしては、不意の事故を防ぐため、スタジオに帰る前に撮影現場でもデータをコピーできればより安心なのだが、普段からノートパソコンを持ち歩いていても、パソコンの操作で撮影のリズム感を失いたくはないし、急いだ挙句に手違いでデータを消失するようなリスクも避けたい。もちろん、そうしたバックアップ用機材を持ち込めない撮影環境での仕事だってある。
これらは撮影を生業とする立場での話だが、旅行や運動会、結婚式といった撮り直しがきかない撮影機会は日常生活でもあるわけで、バックアップの問題は、本質的にプロ・アマの差がない。
実際のところ、このHDPS-M1に撮影の現場で使えるほどの実力があるのだろうか? 今回は、それを探るべく、(株)アフィニティネイションの協力で、とあるモデル撮影会に潜入した。
果たしてスタジオ撮影で使えるのか
撮影会のモデル、AYUMIさん。(生年月日:1985年3月13日、身長155cm、B92/W60/H85cm、Hカップ。趣味はボディボード、スポーツ観戦、映画鑑賞、ネットオークション。特技は書道(特待生)、秘書検定1級という) |
東京・月島のスタジオで行なわれた撮影会には、一般ユーザーが50人ほど参加し、約1時間の間、休憩なしでモデルを撮り続けた。参加者のデジタルカメラ率は8割、残りは銀塩とビデオカメラというところで、デジタルカメラでも一眼レフタイプが多い。皆、複数枚のメモリカードを用意していたようだが、カットを選んで撮影することでメモリーの浪費を抑えている姿も見受けられた。
用意した機材は、キヤノンの「EOS D60」と「EOS D30」、256MBのCFカード2枚、それにHDPS-M1。CFカードは交互に使い、メモリーがいっぱいにカードをHDPS-M1にコピーしながら、もう一方のカードで撮影を続けた。始めてみるまでは、コピーの準備や操作に時間がかかり、撮影のリズムが乱れてしまうのではと危惧していたが、コピーに要した時間は、256MBのCFカードにフル撮影したもので約2分30秒程度。メモリカードの種類やサイズでの差はあるだろうが、想像していたより高速だった。
600万画素CMOSを搭載したEOSデジタルのニューモデル キヤノン「EOS D60」レビュー(写真をクリックすると当該レビュー記事に移動します)。 |
HDPS-M1でのコピー操作は、電源を入れ、CFカードを差し込んで本体上部のコピーボタンを押すだけという簡単なのもの。あとは放置していてもコピーが進行・完了しているので、撮影のリズムが崩れにくいのもうれしい。これならCF2枚でも十分に回していける使い心地だ。
ちなみに、CFカードからHDPS-M1へのコピーの際にはメモリカードを差してHDDへコピーするごとに日付と時間が冠された新規フォルダーが作成され、それぞれにデータが保存される。たとえ内容がまったく同じメモリカードのコピーをしたとしても、コピー開始時刻が違えば、別データとして扱われる。これには大きな利点がある。たとえば、1枚のメモリカードを容量途中でHDPS-M1にコピーを行ない、その後フルになってまたコピーしたとしよう。この際、1度目のコピーと2度目のコピーは別々のフォルダに保存され、同じファイル名でも上書きされないので、2重のバックアップの意味合いが生まれるのだ。HDPS-M1は、私が冒頭で挙げたようなデータ保持の1つの解決策にもなるだろう。