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【最新パーツ性能チェック(Vol.25)】次世代デスクトップのダークホース・Dothanのパフォーマンスを探る!

2004年06月26日 22時43分更新

文● アスキープラス編集部 野口岳郎

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PART1
バニアスマシンに差し替えしてみた!

ASUSTeKのスタイリッシュPentium Mノート「S5200NE」。ASUSのノートはソフマップなどが扱っている。S5200NEの裏面のCPU装着部。ねじを外すとソケットが見えた。
“Banias”コアによる初代Pentium M。トランジスタ数7700万、動作電圧1.484V。TDPは24.5W。新コア“Dothan”によるPentium M。90nmプロセスに移行したが、トランジスタ数が約2倍の1億4000万になったため、ダイそのものの大きさはBaniasより大きくなっている。動作電圧1.34V、TDP21W。

 Pentium MはμPGA479Mというソケットに装着する。ソケット自体はデスクトップのμPGA478とそっくりだが、デスクトップではふさがっているA2ピン(端っこから2番目)にも穴が空いているため479となっているものだ。
 一方、CPU本体のほうは、大きく異なる。デスクトップのPentium 4にはあるヒートスプレッダーがなく、コアがむき出しになっているので、本体は軽く、繊細な印象を受ける。ソケットにはレバーはなく、CPUの取り付けは、CPUをソケットに差した上で、手前にあるつまみをマイナスねじで回すことでロックされるようになっている。
 今回は、ASUSTeKのS5200NEでCPU換装に挑戦してみた。Pentium 4(Banias)1.4GHzを搭載して販売されている、白い筐体がおしゃれなノートだ。本体背面の蓋をあけ、ヒートパイプとヒートシンクのモジュールを取り外すと、普通にCPUソケットが現れるので、ロックをゆるめてBanias-1.4GHzを外し、Dothan 1.7GHzに差し替えた。電源ONすると、何の問題もなくDothanベースでマシンが起動した。



用途によって特に大きな効果あり

グラフ1/Sandra 2004:Memoryグラフ2/Sandra 2004:CPU Arithmetic
グラフ3/Superπグラフ4/3DMark 2001
グラフ5/Unreal Tournament 2003グラフ6/QuakeIII Arena
グラフ7/Cinebenchグラフ8/PCMark04
グラフ9/TMPGEncグラフ10/Windows Media Encoder9

 今回はたまたまBanias-1.7GHzも手元にあったので、オリジナル(Banias-1.4GHz)とDothan-1.7GHzの3CPUで、パフォーマンスがどう変わるかを比べてみた。グラフ1~11が各種テストの結果だ。
 まず、メモリ性能は、チップセットが変わらないので基本的に変化なし。CPUコアのパフォーマンスを見るSandraでは、Banias-1.7GHzはクロック分上がっているが、同クロックのBaniasとDothanでは整数演算がわずかに上がった程度。Dothanの最大の性能向上ポイントはキャッシュが2MBになったことで、コアの改善点としては割り算の高速化や、ループディテクションなど、比較的マイナーなポイントしかないようなので、、ほぼコア性能に比例するSandraで差が出ないのは致し方ない。

 驚愕の結果が出るのがSuperπだ。BaniasとDothanで、実に23パーセントも速くなっている。頻繁に読み書きするデータのサイズが大きく、Baniasの1MBのキャッシュに入りきらない場合、さらにもう1MBキャッシュできるDothanが強いが、Superπはそれが最も直接的に出た形のようだ。

 グラフ4~6は3D性能のテスト。興味深いことに、どのテストにおいてもBanias-1.4GHz→1.7GHzの速度向上に比べ、Banias-1.7GHz→Dothan-1.7GHzのほうが性能が向上している点だ。ゲーマーにはDothanは特に要注目と言えよう。ただ、3D性能を云々するなら、内蔵グラフィックという選択肢はない。それについては、後半の「デスクトップと対決!」編もごらんいただきたい。
 一方、グラフ7のCinebenchでは、Renderingではほとんど性能が上がらないがShadingではかなりの向上を見せている。RenderingはPentium 4が強く、ShadingはAthlonが強い、という傾向からすると、Renderingはエンコード的な要素が強く、Shadingは3D描画的な傾向があると言える。グラフ9-11のエンコード系のテストでDothanの性能向上があまり大きくないことと合わせると、メモリーのレイテンシーが出ないようにしっかりプリフェッチして、クロックあたり性能が高まるようにチューンされたプログラムでは、Dothanのキャッシュの意味が生きてこないのだろう。

 以上、テストによっては性能があまり上がらないというものはあるものの、少なくともBaniasより性能が落ちているものは一つもない。これは、デスクトップのPrescottが、2次キャッシュを1MBに増量したにもかかわらず、テストによってはNorthwoodに大きく水をあけられることもあるのとは対照的だ。Prescottが遅くなるのは、(おそらく将来のクロック向上に備えて)1次、2次キャッシュのレイテンシを大きくした(1次キャッシュで2倍、2次キャッシュでも1.5倍)のが原因だが、Dothanのレイテンシは1次キャッシュについてはBaniasと変わらず3クロック、2次キャッシュについても9.5クロックが10クロックになった程度だ。つまり、純粋にキャッシュ倍増のメリットを享受できるコアになっているわけだ。したがって、価格差が少なければ、同クロックならDothanを選んで間違いはないと言える。



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