ワンタッチで側面が大きく開く。手前に見える電源の取り外しもドライバー不要 |
type Rの筐体は、増設がしやすいものとなっている。ボタンひとつで下側の筐体の側面がパっと開く構造だ。全体の商品企画を担当したITカンパニーの戒能正純氏は「メーカー製のパソコンで、増設をしろと言わんばかりに、お腹を開けて待ってるのは珍しい」と表現する。
動画編集ソフトが充実しているtype Rだが、録画や動画編集作業で手元に増え続ける動画コンテンツのために、HDDを増設する時がいずれやってくるだろう。もちろん、それを考慮してVGC-RA70シリーズでは250GBのHDDを2つ搭載しており、RAID 0により、それを1つの500GB HDDとして使えるようになっている(※1)。それでも足りなくなった場合に合わせて、増設しやすい構造となっているのだ。
※1 ソニースタイルのCTOサービスでHDD2台の組み合わせを選択した場合は、RAID 0の状態で出荷される。ユーザーがRAID 1ないしRAID OFFの設定にすることは可能だが、その場合はサポート対象外となるHDDが3台装着できる3.5インチベイはレバーを倒すと引き抜くことができる。4台目はその上に取り付ける(写真はVGC-RA50シリーズ) |
実際にHDDを増設する場合には、側面のパネルを開け、HDDへの電源や信号線を取り外し、ブラケットを外してディスクを固定、元に戻してケーブルを接続するだけでよい。ブラケットにHDDを固定するときにドライバーが必要だが、それ以外はドライバーなしでできる。
3.5インチベイには3台まで装着でき、VGC-RA50シリーズではFDDがある場所に、VGC-RA70/VGC-RA60シリーズではさらに1台装着できる(FDD搭載スペースにHDDを搭載できるのはVGC-RA70/VGC-RA60シリーズのみ)。250GBのHDDを合計4台装着すれば、1TBの記憶容量を持つマシンが完成する(ソニースタイルで注文可能な、HDDを4基搭載した場合の最大容量は1.6TB)。なお、HDDを増設する場合には、シリアルATAケーブルは別途用意する必要がある
type Rの内部構造(画像提供:ソニースタイル) |
DVD1枚にドラマが全話収録できる2層記録対応DVD±RWドライブ
type Rに初めて搭載されたものがある。それはDVD+Rの2層記録が可能なDVD±RWドライブ(DVD+R DL対応DVD±R/RWドライブ)だ。type Rの発表とほぼ同時期に、単体のドライブが市場に出回りはじめた。新たなものが登場すれば、間髪入れずに市場に出回るパソコンパーツの世界だが、それを組み込んだ完成品をすぐに登場させるのは容易ではないはずだ。
光ドライブ担当の大西氏 |
前述の光学ドライブを担当する大西氏は「普通なら、このスケジュールではやらなかった」と語る。同ドライブの搭載が決定したのは2月。「決まったときはドライブの現物は手元にない、メディアもない、ドライブの部門から“(開発は)進んでるよ”とだけ言われた状態からのスタートだった。しかし、フラグシップモデルにふさわしいドライブはこれしかないと実感し、その後、ドライブ部門や評価部門とチーム一丸となって、わずか2ヵ月で出荷までこぎ着けた」と振り返る。
2層記録への対応は、ドライブ以外にも書き込みソフトの対応が必要となる。従来の1層では必要なかった“層の切り替えにおける問題”にも対応させた。その問題とは、層が変わるときにタイムラグが発生すること。1層なら内側→外側とピックアップが移動していけばよいが、2層だと内→外の後で再び内側に移動するとピックアップの移動のタイムラグが生じる。規格上は2種類が認められており、内→外→外→内と記録する方向を採用した。
また、内蔵するドライブも、単体で市販される2層記録が可能なDVD±RWドライブとは別物になっている。大西氏は「静音マシンなので、それにふさわしいチューニングをしてもらった」と語る。「実際に音楽を聴いていただけるとわかるが、かなり静かになっている」と回転数を抑えるカスタマイズを行なったことを明らかにした。
さらに大西氏のこだわりは続く。「メディアのトレイが出てくるとき、試作品はガーっと音がして、素早く出てきた。もっと上品にしてほしいと注文を付け、トレイの移動速度を遅くしてもらった。トレイの移動もデフォルトのギア駆動ではガーっと音がするので、ベルト駆動に変えてもらった」。この結果、ゆっくりと静かにメディアトレイが出てくるtype R専用の光学ドライブが完成したのだ。
では、2層記録のメリットはどんなところにあるのだろうか。最大で8.5GBというこのドライブにより、Do VAIOの高画質モード(MPEG-2の8Mbps)で録画した2時間番組も1枚に収まるようになる。もちろん、TVドラマの全話収録といった、多少画質を落としても1枚にまとめるライブラリー利用にも十分にこたえられる。
「今はメディアの流通量が少ないが、これが将来増えてくれば、DVDの楽しみがもっと拡がるだろう」と、戒能正純氏は2層記録の可能性に期待を寄せた。
連続物のTV放送を全話19時間収録したDVDメディア(『TMPGEnc 3.0 XPress』でエンコード)。ある程度の画質を維持しながら、こんなことができるのも2層記録ならでは |
DVD作成ソフトは複数の選択肢を用意
商品企画担当の戒能氏 |
type Rをはじめとする、VAIOシリーズには各デジタルコンテンツを記録・再生するソフト『Do VAIO』が搭載される。
テレビ録画・再生を中心として、音楽ファイルの再生やCD/DVDの再生もサポートする。ネットワークを使ってほかのVAIOに保存したコンテンツを楽しむこともできる。付属のリモコンを使って操作できるように、画面や操作性が最適化されていることも特徴だ。type Rでは、録画した番組などをすぐにDVD化するための指示も可能となっている。
実はtypeRでは、さまざまなDVD作成ソフトがプリインストールされている。例えば、ハンディカムで撮った動画をDVDにしたければ 『Click to DVD Ver.2.1』を、録り溜めたテレビ番組を収録するにはチャプター/カット設定が快適な『TMPGEnc DVD Author 1.5 for VAIO 』を、メニュー画面の背景やアイコンをデザインしてオリジナリティーの高いメニューを作成したければ、『DVDit! 5』を、といった具合に目的に応じて選択できるのだ。
このようにソフトウェアがたくさん入っていることについて戒能氏は「なんでこんなに(同じ目的のソフトが)いっぱい付いてるの? という意見もあったが、逆にDVD作りにこだわりたいユーザーには、選択肢がたくさんあることになる。DVDが作成できるパソコンが珍しくない今、逆に好みで使い分けできることを理解して選んでいただいている方も多い」と語る
Do VAIOのDVD作成画面 |
最新性能を静かな環境で提供
type Rは、動画編集をはじめとした、パソコンにできる“最も重い処理”といわれる作業を楽々こなす。そして、そのときでも静音性をはじめ、使う人の快適性まで追求している。
パソコンでテレビ録画や編集を楽しみたいが「あの騒音ではちょっと」と二の足を踏んで、DVDレコーダーを購入していたユーザーも、この静音性には満足できるだろう。周囲が寝静まった夜中でも自分の部屋で思う存分使える、最新CPUとトップクラスの静音性を同時に兼ね備えたマシンだ。