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【SAPPHIRE '04 Vol.3】SAPのターゲットは大企業ばかりではない!『SAP Business One』で新たな市場へ!

2004年06月18日 21時46分更新

文● 編集部 小板謙次

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■SAP Business One

代表取締役の藤井清孝氏
代表取締役の藤井清孝氏

SAPジャパン(株)は17日、中小企業向けのERP『SAP Business One』の出荷を同日より開始することを、都内で開催されている“SAPPHIRE '04”に合わせる形で発表した。この製品については、代表取締役の藤井清孝氏も初日の基調講演のなかでアピールし、次のように語った。「年末までにおそらく700社くらいの会社が何らかの形で導入を検討するだろう。これはすごいことだ。SAPは大企業から中堅・中小企業まですべて網羅することができるようになる」。また、同製品について氏は、ショッピングを例にその位置づけを解説した。



代表取締役の藤井清孝氏

「郊外に大きなショッピングセンターが建てられると、車で日曜日に大量に物を買ってくるだろう。これはスケールメリット、効率を選択するということで、大企業のERP導入にあたる。一方で商店街の店はどうか? 大きなショピングセンターができてすたれてしまうかと思いがちだが、実は違う。コンビニになっている。これは、どういうことなのかというと、お客様のインターフェースは今まで通りだが、裏にあるのが全部システム化されているということだ」

このように話し、中小企業はいかにいいところを残しながらITという武器を使って駅前の商店街で生き残っていくかが問題となっており、SAPはSAP Business Oneによって会社の標準化を手伝うものだと話した。独SAP社にとっては「大企業、中堅企業で培われたSAPのノウハウをいかにそぎおとした形でより小さな企業にもっていくか?」がポイントだという。

一方で、中小企業向けとはいいながらも、SAP Business Oneの市場は大企業の子会社も視野に入れるとかなり広くなる。「子会社にとってITガバナンスを効かせること、またそれが進化すると子会社でCRサービスをやってもいいかもしれない。こういうグループ経営でソリューションを提供できる」と製品の強みをアピールした。



■SAP NetWeaver 2004

また、今回の目玉は言うまでもなく4月に発表された『SAP NetWeaver 2004』と言っていいだろう。展示会場のメインステージでは、ビールを販売する架空の企業内でプロジェクトを任された男女がSAP NetWeaverを導入し、リードタイム4日を実現していく物語を紹介していた。

メインステージ風景 ミーティングで持ち上がった問題点
メインステージ風景ミーティングで持ち上がった問題点
ビール配送の概念図 NetWeaverの概要
ビール配送の概念図NetWeaverの概要

ポイントは次のようなもの。在庫や需要動向を特約店から収集するシステム連携は、データのハブになるシステムがあればいい。ハブだけを考えれば特約店が変わっても柔軟に対応できるからだ。ところが特約店によってはこのデータのハブとつなげないシステムもあるのではないか?という疑問が浮かんでくる。これに対応するには、どんなシステムともつながるオープンなテクノロジーをもったツールを選ぶ必要がある。この問題を解決してくれるのがNetWeaverということだ。さらに、無数にある販売店に対して一件一件効果的な販売方法を教えたり、販売店と情報を共有するのは、その場所であるポータルを設けてやればいい。これによりERPにある在庫情報と合わせれば、特売と連動した販促キャンペーンもできるし、在庫をかかえすぎることもなくなる。特約店にもポータルを用意して、販促品をポータルからWEBで発注してもらうこともできそうだ。SAP NetWeaverには雛形が用意されており、余計な開発の必要なく期間が短縮できるというメリットもアピールされた。

藤井氏も同製品について「SAP全社をあげて大きく舵をとっているエンタープライズアーキテクチャーだ」とその重要性をアピールした。氏はNetWeaverの需要が高くなっている理由として、アウトソーシング、事業の組み換え、買収など企業の事業の変化にともない、いろいろなビジネス局面で自前でビジネスをやるかどうかが問われているという現状、あるいはもっと具体的にはインターネットでのオーダーや社内システムを外に見せるという機会が増えてくるといった事業戦略の柔軟性に対応するようなものが必要とされている現状などを挙げた。

さらに、NetWeaverをもっと進めていくと会社のシステムを横切った形で新しいビジネスプロセスが組み込まれる。「日本の企業システムというのは、よく考えてみると生産、販売、人事、財務とさまざまな部門に分かれているが、それを横串でみる必要がでてくる場面は今でもたくさんある」として『SAP xApps』に言及した。これは、システムを横切った形のプロセスを前もって規定し、それをパッケージ化している。

展示会場では、NetWeaverのブースに注目が集めており、統合開発環境の『SAP NetWeaver Developer Studio』のデモの前で熱心に耳を傾ける来場者の姿も見られた。

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